忍者ブログ
サカキシンイチロウノホトンドゼンブノブログ
2024 . 04
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • カレンダー
    03 2024/04 05
    S M T W T F S
    1 2 3 4 5 6
    7 8 9 10 11 12 13
    14 15 16 17 18 19 20
    21 22 23 24 25 26 27
    28 29 30
    カテゴリー
    最新TB
    プロフィール
    HN:
    サカキシンイチロウ
    年齢:
    64
    性別:
    男性
    誕生日:
    1960/01/26
    バーコード
    ブログ内検索
    アーカイブ
    P R
    アクセス解析
    ×

    [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

    鎌倉で仕事があって、ならばちょっと寄り道しよう。
    江の電でゴトゴト行った七里ケ浜に、ビルズってレストランがひっそりとある。

    bills.jpgオーストラリアを代表するスターシェフ「ビルグレンジャー」のレシピに添って作られる、肩肘張らぬカジュアルな料理でもてなすカフェダイニング。
    ここの朝食。
    世界で一番おいしいスクランブルエッグを食べることができる…、っていうので有名で、本当は朝。
    ユッタリ気分で来たかった。
    朝には朝の仕事があって、それでこうしてランチに来ます。
    お店に入ってテーブルにつく。
    海がすぐそば…、気持ちいい。
    ちなみに画像は、多分、日本で一番景色がよくて気持ちいいスモーキングチェアーのあるテラス。

    1時過ぎにして満席で、しばらくお待ち下さい…、と。
    いわれた人はノンビリ海を眺めながら、ブラブラ、周りを散歩気分で待っている。
    時間が止まったような場所。
    そういう意味ではまるでココはハワイのようで、みんながノースケジュールでココにいる…、ような気がする。
    スンゴい贅沢。

    278a0483.jpeg海の見えるテーブルに付き、飲み物たのんで料理がくるのをぼんやりと待つ。
    サービスも、厨房の中の作業もスローで、でもスローなリズムがここにはあってる。
    波の音。
    例えばハワイアンのBGMも、どれも同じ自然の息吹を感じる速度。
    レモンビターを浮かべたソーダドリンクを飲むと、泡がジュワッと口でほどける。
    その破裂する速度もなんだか、街で飲むよりユックリと「プワッチ」とはじけるような気がする。
    気のせいだけど…。

    ランチにパスタやオージービーフを使ったハンバーガーもあるのだけれど、せっかくだから朝食メニューからスクランブルエッグをとってみた。

    61b9f29d.jpegツヤツヤとした、目にも普通のスクランブルエッグと違ってみえる、ポッテリとした卵色。
    スモークサーモン。
    それにアボカド。
    バジルの葉っぱをフワッとちらした、色鮮やかな目のゴチソウ。
    食べるとシットリ。
    舌にのっかりじんわり玉子の旨味と香りを発散しながら崩れてく。

    生の玉子を容赦なく。
    ドロンと頑固な白身のハリを切るようにして、黄身と一緒に混ぜ合わせ、玉子のコシを完全に奪ってしまった玉子液。
    そこにミルクをタップリいれて、バターをゴクゴク、飲ませるようにしながら火を通す。
    パラパラにせず、固まり始めた玉子をザックリ丁寧に、折り込むようにして一つ塊にまとめあげると、みずみずしさを失わぬこうした玉子が出来上がる。
    これを焼く前の液状玉子にふるった粉を加えて練れば、バターパンケーキの生地になる。
    玉子をつかった何か新しい料理のような、そんな食感。
    なるほど旨い。

    胚芽パンにたっぷりバター。

    84b2d293.jpeg酸味を持ったサワードーのような木目がザックリ粗いパン。
    その酸っぱさと素っ気ないほどに素朴な食感。
    それをバターがジュワッととけて、したたかキレイに包み込み、ゴチソウにする。
    バターのパワーにひれ伏すゴチソウ。

    パンに玉子とサーモン、それからアボカドのっけてオープンサンドにして食べる。
    これまたご馳走。
    バターの脂。
    スモークサーモンの磯の匂いを抱いた脂に、ネットリとした森のバターの食感が、一挙に口を満たすたのしさ。
    カロリーのことはしばらく棚上げ。
    だってこれは本来、朝食メニューでございますゆえ…、そんな強気なメッセージ。
    ニッコリ笑って、お腹におさめる。
    隣のテーブルに鎮座していたリコッタチーズのパンケーキ。
    ゴールデンブラウンに輝く見事なその焼き上がりを、思わず一口、横取りしたくなるステキ。
    次はあれっ、って思って店をあとにする。

    世界一のスクランブルエッグかどうかはわからぬけれど、コノのどかさと、コノのびやかは確かに日本で有数の心のご馳走。
    そう思う。

    再び江の電。

    26b08533.jpegゴトゴト乗って仕事に向かう。

    実は今から30年も前。
    ボクが16才の冬のコト。
    父と一緒に生まれて初めて江の電にのり、鎌倉を出て鎌倉高校前という駅に向かった。
    編入試験を受けるため。
    父が事業を失敗し、それでボクらは新天地を求めてこの湘南に引っ越すことの準備をしてた。
    寂しかったなぁ…。
    なにがどうこうという訳じゃななく、東京駅から電車にのって田舎に向かってゆくんだという、物悲しさに気持ちが冷えてた。
    鎌倉を出てしばらくは、山の中をゴトゴト走る。
    古い民家の軒下を、まるで逃げ回るように這うように走る小さな電車に、ああ、辛いなぁ、と哀しい気持ちに拍車がかかる。
    電車は大きく左に曲がり、長谷の駅をちょっと過ぎたその途端。
    目の前がパッとひらけて明るくなって、アッと思ったら、海があった。
    太平洋。
    冬寒く、波は高くて厳しくはあり、けれど輝く水面は明るくみえた。
    海が見えたよ…、ってボクは小さくつぶやいた。
    傍らにいた父も一言。
    ああ、海だなぁ…、きれいだネ、って。
    ボクはなんだか救われたような気持ちになって、それからずっとここからの海はボクの希望の景色になった。

    あの頃、あのときと同じ海。
    でも今日の海。
    あのときの海とは違って、夏の明るい真っ青な海。
    波も穏やか、海水浴の人たちが集まりにぎわう希望の海はニギニギしい海。
    ニッコリしながら、駅、降りる。

    拍手[1回]

    PR
    市ヶ谷のタベルナで昼。

    tbln.jpg本格的にお盆の休みでレストランが休業はじめるこの時期にありがたい、ほぼ完全無休のこのお店。
    かつての日本テレビの本社前。
    「ズームイン!」って徳光さんが毎朝叫んでたまさにあの場所の斜め前にある、という立地柄、一年中。
    週末だって祝日だって、働き続ける人のため休まぬお店になったのでしょう。
    今日も午後の2時ちょっと前。
    なのにお店は満席で、ボクらが入ったそのあとも、次々、人がやってくる。
    小さな厨房に調理人がなんと5人。
    サービスをする凛々しいおばさまも、今日もおかげさまで忙しくって…、って汗をふき拭き飛び回る。
    忙しい店。
    お客様がひっきりもなしやってくる店で食べるご飯は不思議とおいしい。
    おいしさ以上に美味しく感じる、雰囲気がある。
    ありがたいこと。

    昼のサービス。

    25af573a.jpegピッツァがひとりに一枚、やってきます。
    刻んだガーリックがたっぷり入ったジェノベゼソースで味付けをした、薄焼きピザ。
    塩の風味がビビッとしてて、疲れた体がシャキッとなる。
    それ食べながら、お店の壁にところせましと貼られたメニューをみながら何にしようかなぁ…、としばらく思案。
    ランチならではのセットメニューがたくさんあって、しばらく迷うもグラタンセットにすることにする。
    サラダにグラタン。
    それで1000円。
    しかも今日のグラタンはシーフードドリアっていうことで、こりゃ食べなくちゃとそれにする。
    洋食メニューで一番好きな料理はドリア…、なのであります。
    抗しがたい。

    まずはサラダ。

    f58bb575.jpegなんてことはない普通のサラダ。
    レタスにオニオンスライス、それからトマト。
    油をあまりつかわぬサラっとした自家製の、フレンチドレッシングをやさしくかけた、本当に普通のグリーンサラダででもおいしい。
    レタスがシャキシャキ。
    目が覚める程にみずみずしくて、なにより甘い。
    ほのかな苦みもさわやかで、この野菜の味を邪魔せぬほのかな酸味がとてもたのしい。
    そういえばこのフレンチドレッシング。
    昔、小学校の調理実習で習って作ったサラダドレッシングにとっても似てる。
    お行儀よくてシンプルで、とても単純、だけどだから味わい深い飽きぬ味わい。
    その上等で、丁寧なモノ。
    なんだかちょっとなつかしく、慢性的に野菜不足になってる自分の食生活をちょっと恥じつつ、バクバク食べる。
    体が中から潤ってくる。

    そしてこれ。

    199a16a3.jpeg見事な焼き色。
    ココット皿の中を覆ってふつふつ沸いた、ベシャメルソースのつややかな色。
    スプーンをグサっとそこに突っ込み中をそっと持ち上げてやる。
    するとボワっと蒸気が上がって、サフランライスの明るい黄色がとびこんでくる。
    ココの夜のメニューに「エビのライスグラタン」って料理があって、バターライスに10匹以上の大きなエビがゴロゴロ入ってる。
    ご飯料理というよりも、エビの料理のそれがボクは大好きで、しかもそれを肴に酒を飲む。
    ああ、極楽!って、思って食べる。
    けれど1800円くらいだったかなぁ…、結構、高い贅沢料理。

    その贅沢の、上等ソースをそのまま使い、ランチのコレはエビだけじゃなく、ホタテに魚。
    それに、風味豊かであらかじめ味をおいしく整えたサフランライスの組み合わせ。
    そうして値段を安くして、けれど味に妥協をしない。
    なによりここのドリアはベシャメルソースがそもそもおいしい。
    だからハフハフ。
    心置きなく、そのなめらかに舌鼓。

    一緒に行った友人がとったここの名物。

    58409750.jpegエスカロップ。

    牛はらみ肉を薄切りにして、オリーブオイルとバターで焼いたエスカロップをサフランライスとバジリコスパゲッティにのっけてどうぞ。
    炭水化物天国の上に肉をのっけた、とても大人でイタリアァンなワンプレートの名物ランチ。
    芯がスパッと通ったほどよいアルデンテの細めのパスタに、バジルの香り。
    それとハラミのステーキを一緒に食べる。
    脂がジュワッと滲んでこぼれ、それがパスタにからんで消える。
    ご馳走です。
    気軽なご馳走。
    ほぼ満席の30人ほどのお客様の、その10人ほどがこのエスカロップを食べている。
    みんなニコニコ、ハッピーな顔。
    休まず仕事、する人の顔。
    おだやか、にこやか、元気良い。

    おごちそうさまと、お店をあとに街、歩く。

    f0bef42f.jpeg空は青空。
    そこにフワフワ、雲、浮かぶ。
    麹町から番町にかけてのこの界隈。
    空き地がかなり、目立って見える。
    地上げの跡の更地に工事囲いだけ立ち、なかなか工事が始まらない。
    着工予定日ははるかに過ぎて、それでもずっとほったらかしにされてる土地も結構あって、なんだかちょっと寂しい景色。
    半年前まで住んでいた。
    見知った場所であるだけに、この半年間でまるで景色が変わっていない置き去られ感を切なさ感じる。

    遠くに蝉が静かに鳴いてる。
    それに合わせて、空に浮かんだ雲がフルフル、揺れてるように見える八月。
    金曜日の午後、まだ秋、遠し。

    拍手[0回]

    四ツ谷でお昼。
    メラグラーナドーロっていうイタリアンレストランにて。

    jb.jpgというのもココ。
    「女王のランチビュッフェ」って銘打ったバイキングが有名らしく、しかも平日限定にして予約を取らぬ…、というので来る機会をなかなか気軽にもてなかった。
    それで今日。
    天気もこんなで、しかも街は半分、盆休み。
    くるっきゃないネ…、ってやってくる。

    場所はオフィスビル然としたビルの2階。
    外からみるのではここにレストランがあるかどうかわからぬほどに素っ気なさ。
    階段あがって二階にあがり、ドアをあけると、おやまぁ、ビックリ。
    高い天井にテーブルクロスをともなったテーブルがズラッときれいに並ぶ。
    バフェカウンターの向こう側には階段3段分ほど上がったところにしつらえられた、まるで舞台のようなオープンキッチン。
    ドラマティックなしつらえの店。
    1800円のランチブッフェには上等すぎるほどの、大人の空間。

    ホテルのバフェや、バフェ専門のレストランと違って最初っから料理がタップリ用意されてる訳じゃなく、ボクが入った開店直後にはサラダとほんの少々の前菜料理が置かれていただけ。

    自然、お皿に盛るコトができるのはサラダが中心。

    d605ef05.jpegレタスやサラダ菜をちぎってそれでサラダとす…、って感じじゃないのが専門店のゆえんでしょうか?
    チコリ、シコレにエンダイブ。
    マスタードグリーンやディルにバジルと、ハーブ野菜が中心で口に一口運んだ瞬間、香りと苦みにビビッと来ます。
    これからタップリ召し上がれ!って、言ってくれるような食欲増進系の味。
    赤いパプリカをピュレにしてお酢とあわせたドレッシング代わりのソースも、スキッと酸味鮮やかで、香りもさわやか。
    個性的な野菜たちの癖を封じ込めるのではなく、スポットライトを当てて個性をひきたてる。
    そんなたのしいプレゼンテーション。
    ブロッコリをタップリ入れて焼き上げた、スペイン風のオムレツもフンワリ、シャッキリ、大人味。

    サラダとはいえ、これはこれにてイタリア料理になるんだよなぁ…、って思いながら食べ進めてるとお店の人が近づいてきて、前菜のご用意も徐々に出来ておりますから、って。
    バフェカウンターに言ってみれば、おや、うつくしい。
    形さまざまの小さな器に一口ずつ分の前菜が盛りつけられていて、並んでた。

    6dda6e27.jpeg楕円形の器の上にはタマネギのピュレと茹でたエビ。
    大きなスプーン状の器には、トマトとチーズのムースをのっけて、料理と料理の味が混ざらぬよき工夫。
    丸いガラスのボールの中には、ホタテのムースの冷製などなど。
    これ、どんな味なんだろう…、って味見しているみたいな気持ちになれてたのしい。
    なによりいいのが、無造作に、気軽に盛ってもまるで料理人が盛りつけたようにうつくしくなる。
    料理は目で味わうモノでもあるわけで、だけどバフェの料理は絶望的なほど目にうつくしくなくなったりするのが悔しい。
    でもここの、こうした工夫。
    「女王様的」とはこういうことをいうのでしょうな。

    ジェノバ風の冷たいカッペリーニであったり、イタリア風のライスコロッケ。
    どれも出来立て。
    出来た分だけちょっとづつ、その都度、適量、カウンターにやってくるから、おいしい状態のままたのしめる。
    悪くないなぁ…、って思います。

    厨房の中から「パスタが出来上がりましたぁ」と声がする。

    137a5503.jpegボンゴレビアンコ。
    牛頬肉をじっくり煮込んだソースの中にトマトと唐辛子をドッサリ加えて、ピリ辛ソースにしたアラビアータ。
    鶏のほぐし身をメインの具にしたクリームソースとあれこれ揃う。
    どれも5、6人前くらいの量でしょうか。
    だから絶えず出来立てが、お皿に盛られて食べられるのを待っている。
    バフェのパスタ…、って感じではない。
    厨房の横で出来上がる、出来立てパスタを一口ずつ味見をさせてもらってる…、そんな感じがかなりうれしい。
    アルデンテ。
    ソースと麺のバランスもしっかりしてて、食べ始めると手が止まらない。
    炭水化物を一杯食べると、お腹がふくれていろんな料理が食べられなくなる。
    だから控えなくちゃ…、と思っていても、お代わりしちゃう。

    なにか炭水化物以外のものを食べなくちゃ…、どうしよう…、って悩むボクの気持ちを助けるようにコレ。

    303e994e.jpegエビとイカのフリットが出来ました!って。
    厨房の中でシェフが口にした一言を、サービススタッフが食卓の間を歩きながら繰り返す、まるでおいしいこだまのようなステキなサービス。

    それにしてもこのフリットは絶品でした。
    サクサク、カリカリ。
    エビは中がほのかにやわらか。
    噛むとジュワッとエビの旨味とやわらかな身が滲みだす。
    一方イカは中でカリカリ。
    水気をほとんど吐き出して、イカの旨味だけが残ったまるでイカチップのような軽い歯応え。
    イカの唐揚げとはまるで違った、イタリア的なるフリットに、ああ、久しぶりとウットリします。

    それに続いてパスタが続々。
    ワタリガニのトマトのパスタや、小柱をタップリ使ったバジルソースのパスタであったり、食べちゃいけない。
    我慢しなくちゃと思いながらも、次々、パスタができあがってくる「ウレシイ悩み」を心置きなくたのしむ時間。
    具沢山のミネステローネや、カボチャの冷たいポタージュで時間稼ぎをしながら今日のメインがやってくるのをぼんやり待ちます。
    お客様も徐々に増え、ほどよく満席になりはじめたその頃合いで、お店の中にワゴンがしずしずやってきて、ローストビーフのサービスです!と。

    お店の中が色めき立って、みんながお皿を片手に立ち上がりワゴンに並ぶ。

    be586ca3.jpegイタリア料理のお店といえども、贅沢たのしむ肉はやっぱりわかり易い料理が一番。
    例えばココで、イタリア風の豚の煮込みとか、子羊のハーブ風味のロースとだとか、そんな料理が出来てきた、ちょっとガッカリ。
    ローストビーフやステーキが、やっぱりみんなにとってのご馳走で、押さえるべきところはしっかりキチンと押さえてる。

    旨味は強いけれど、繊維が強くて硬い多分、ブリスケットって呼ばれる部位。
    そこをジックリ時間をかけてローストをした、噛み応えも抜群で口の中でホロホロ繊維がほどけていくような「オトコ」な感じの顎のご馳走。
    レストランを満たす空気がアドレナリンを含んでザワザワ、にぎやかになるのがまたたのし。

    肉を食べると人は幸せになるのでしょうか?
    ニコニコ、みんなが笑顔になって、さてそろそろ今日のたのしい締めくくりでも…、と思う気持ちを見透かすように、ウェイトレスの一人が鐘を片手でならしつつ、出来立てジェラートのサービスです!って。

    9f725512.jpegよく考えてます。
    バフェというより、自分で自分をおもてなしするフルコース。
    1時間半ほどのお店の人が描いたおいしいストーリー。
    そのシナリオにまんまとのせられ、でもたのしんで、お腹いっぱいをたのしむ趣向。
    よく出来ている、と思います。

    最後の〆のジェラートも、見事な味わい。
    カシスの果汁をそのまま氷に閉じ込めた、そんな濃厚なカシスのソルベ。
    氷点下温度の生キャラメル的カラメルジェラートや、口の中でたちまちココアになっていくチョコジェラートと、どれを食べても味わい豊か。
    コストパフォーマンス、抜群ですな。
    もしかしたらこの値段帯におけるベストバフェのひとつかもしれない程です、堪能す。

    このクオリティならバフェでなくとも十分、納得できるだろう…、って真剣、思う。
    夜には夜で、いいお店なんだろうって、そうも思った。
    いいお店。

    拍手[0回]

    青山の折れて曲がったへんてこりんなビル「ao」。
    白人系外国人が集まって週末の夜、大変なことになっているレストランがあるんだよ…、というので見にくる。

    「トゥルームス グリル|バー」っていうお店。

    842c7dc4.jpeg東京+白人系外国人+週末の夜+バー&グリル。
    なんだかバブルの頃の「ニューヨークグリル&バー」を思いだすよなぁ…、って思っていたら、なんとなんと。
    かつてのニューヨークグリルのシェフとサービススタッフが集まって作ったお店。
    なるほど、なるほど。

    モノトーンのインテリア。
    客席のまるで隣にあるような、開放的なオープンキッチン。
    とはいえ決して硬くシャープになりすぎぬよう、プールがあったり空中庭園の緑の塊をしつらえたり…、と空間デザインがすばらしい。
    テラスを挟んでグリルとバーがほどよき距離に向き合っていて、こりゃかっこいい。
    西新宿をはるかに眺める大きく開いた窓の向こうに、パークハイアットホテルのビルが見えるというのも、ちょっとした符号めいてて面白い。

    まずはパン。

    3995ab73.jpeg自家製のフォカッチャブレッドにオリーブオイル。
    飾り気のないシンプルな皿。
    なんだかこれもパークハイットホテルゆずりな感じで、ちょっとなつかしい。
    見た目、硬そうにみえるのだけれどフッカリやさしくやわらかい、空気をたっぷり含んだパン。
    サンフランシスコ名物のサワードーブレッドのような、ほんの少々涼しげな酸味があってオリーブオイルとよくあっていい。

    ランチのセットは前菜とメインの二皿構成。
    メインはパスタ、魚と肉という必要最小限にして十分の、シンプルな品揃えなのがわかり易くていい。
    料理一つ一つの説明が、とても丁寧で情熱的で、食べてほしい…、って気持ちが伝わる。
    キリっと髪を後ろで縛ってクルクルりんと頭の後ろにのっけて束ねたテーブル担当の女性の姿も凛々しい限り。

    肉と魚を選んでシェア。
    最後にコーヒーがつくという。

    さて前菜。

    b9158db0.jpeg魚の前菜は茄子の冷製。
    ドッシリ大きな米茄子を茹でて冷やして、縦に切り目を入れておく。
    そこに茄子のピュレ。
    ババガナッシュって中近東なんかでよく食べられる、茹でた茄子の実とオリーブオイルで作ったモノをたっぷり詰めてヴィネグレットとオリーブオイル。
    ツルンと舌触りすらもなめらかな茹で茄子と、ムッチリとしてクリーミーな茄子のピュレ。
    同じ茄子でも調理法でこれだけ違った、風味に食感。
    その変幻自在に感心しながら、スルンと食べる。
    夏の陽気に火照った体が中からひんやり、癒されるよう。
    そこにたっぷり添えられた、ルッコラの葉が目が覚める程に苦みをもってて、ああ、甘やかされずに育った丈夫な葉っぱなんだなぁ…、って。
    感心しながら、また食べる。
    茄子のピュレの上に散らかるようにあしらわれたトウモロコシのグリルがサクサク、奥歯にとても軽い食感。
    たよりない茄子の食感おぎなって、歯ごたえ楽しい料理にしてる。
    心地よい。

    肉の前にはアスパラガスにローストをしたパン粉をのっけて、オーブンの中でトロンととかしたゴルゴンゾーラをソース代わりに添えた物。
    大人の風味で大人味。
    ハーフカットのイチヂクが、アスパラガスの若い渋みとゴルゴンゾーラの香りをつないで一つにまとめる。
    幸先の良い見事なスタート。

    さて、魚。

    0c6d4829.jpeg甘鯛のグリルのガスパチョソース。
    驚く程にパリパリっと、まるでブリュレを覆うカラメルのようにキレイに焼き上がった皮がすばらしい。
    皮が嫌いなボクがバリバリ。
    人にも譲らず黙々食べる…、それほど見事な焼き上がり。
    そのせっかくのパリパリを台無しにせぬよう、ソースをお皿に敷いてから魚を盛る。
    しかも魚に直接ソースがふれぬよう、ソースの中に大きめに作ったクルトンを置き、それを台にして魚自体を持ち上げる。
    ユックリ、クルトンがソースを吸い込み、真っ赤に染まる。
    そのソース。
    ガスパチョ風味のトマトソースで香り明るい、夏の味。

    魚自体に味がキッチリ乗っかっていて、それだけ食べるとこんがり焼いた魚の香りが鼻から抜ける。
    オリーブオイルだけをつけると、イタリア料理。
    ガスパチョソースにとっぷり浸してパックリやると、なんだかブイヤベースを食べてるみたいなそんな風合い。
    一口ごとに変わる味わいたのしむ料理。
    シンプルなのに、複雑で、食べ手のイマジネーションをためすような味と味の組み合わせ方がとても斬新。
    おもしろい。

    肉はオージービーフをカリッを焼いたもの。

    5d2fedd1.jpegオーガニックの緑の葉っぱ。
    そっと肉にのっけただけで、肉の蒸気を吸い込んでしんなり徐々に、蒸したようになって香りと甘みを強くする。
    お皿の上で徐々に料理が出来上がっていく。
    そんな臨場感がたのしかったりする料理。

    お肉の上にはクルミのソース。
    これが甘くてムッチリしてて、オージービーフにそもそもかけた脂っぽさとコッテリとした旨味を足すのが良い工夫。
    皿一杯に作ったばかりのベーコンビッツをちらしているのも、オージービーフに足りぬ憎らしい脂の香りを補ってやるためなんだろう…、って思ったりする。

    ここのシェフ。
    決してどこにもないような新しい料理を創作しようとは思っていない。
    あくまで作る料理の基本はクラシック。
    しかし素材の持ち味をもっと引き出し、より印象的な料理にするためほんの少しのひねりを加える。
    その塩梅がとても良い。
    ボクが好きな料理のひとつの方向性。

    ちなみにこの店。
    予約をしたときのレセプションの女性の声がとてもほがらか。
    受け応えも的確で、先味おいしい店でした。
    ドレスコードはあるんですか?…、って聞いたら即答。
    毎日、暑ぅございますから、涼しく気軽な装いでお越し下さい…、ってハキっと答える。
    ショートパンツでもいいですか?
    ハイ、どうぞ!って。
    だから今日は、まるでリゾート気分の食事が出来た。
    気取りがなくて、やさしいお店。
    今度は夜に。
    思いっきりのお洒落を味わいにまいりましょうぞ…、また来よう。

    拍手[0回]

    銀座三越。
    ライオンの鼻先にて午前11時15分。

    dea60b92.jpegそれが今日の待ち合わせ場所、そして時間。

    暑い。
    暑い。
    暑い。
    暑い。

    日向に出るとあまりの暑さに体がとけてなくなってしまいそうな、そんな暑さにもかかわらず、銀座の街の人出はすごい。
    さすがに日曜。
    銀座の真ん中。

    三越のシンボルとでもいいましょうか?
    銀座四丁目のシンボルでもあるのでしょうか?
    ラインの前で記念撮影をするおばさまたちが結構いるのにちと、ビックリ。
    海外からの団体旅行の人たちの待ち合わせの場をかねてもいるのか、ライオンの前には人だかりにて、それを押し分け、それをへしわけ、ライオンの鼻の下に陣取る。

    cc14db89.jpeg接写でパチリ。
    心無しかライオン君の鼻もブハっと広がって、必死に空気を吸い込もうとしているように見えてたのしい。
    鼻のとこだけ塗装が剥げて、地の金色がにじみだしてきているのがまた、愛らしく、近づいてみるとギリシャ系の雄々しい軍人顔にみえるのもまたおもしろい。

    調子に乗ってパチパチ、写真を撮ってたら待ち合わせの人が来たのに気づかずズッと写真を撮ってた。
    その様が、あまりに真剣で滑稽だったのでありましょう…、ブハハと笑われ、愉快になった。
    とてもたのしい待ち合わせ。
    さてさて、会食、移動します。

    目指した場所はロテスリーレカン

    lecin.jpg日本を代表するフランス料理レストランの「レカン」が初めて手がけたカジュアルバージョン。
    ロティセリマシン。
    鶏をぐるぐる回しながら強火の遠火で時間をかけつつむらなく焼けるという、ちょうどバームクーヘン焼き器のような調理器で仕上げた鶏。
    それをメインにした手頃な価格の気軽なお店。
    パリなんかだと、そのロティセリマシンを積んだ移動販売車がおいしい匂いをふりまきながら一羽丸ごとの鶏を普通に売りまわっていたりする。
    けれどこの店ができた当時はまだ珍しく、そのあと、いろんなお店が真似た。
    真似たお店はほとんどなくなり、結局、最初に始めた人が本物になりしっかり残った…、みたいな感じ。
    焼けばいい…、ってもんじゃなかったのでありましょう。

    長らくご無沙汰…、久しぶり。
    銀座で会食、後、打ち合わせというシチュエーションで気軽に話が弾む店を探していたらば思い出し、早速予約。
    電話の受け答えがウットリするほど丁寧で、しかも快活、的を射ていて気持ちは小走り。
    いそいそと来る。

    bb8f32b2.jpeg決して贅沢な店じゃない。
    カフェっぽい小さなテーブル。
    座り心地は良いけれど、固くて自然と背筋がしゃんとなるような合理的な椅子。
    木の床、明るい窓に壁。
    銀座のメイン通りから二本はなれた町外れ感が漂う立地と、どれもビストロっぽい合理的。
    けれどサービスだけははさすがにグランメゾン的でしっかりしてる。
    なにしろサンペリグリノをたのんだら、ソムリエさんに恭しくボトルを捧げ示されて、プシュっと抜いて注いでくれた。
    ただのガス水。
    それががまるでシャンパンのようにとても大切に扱われ、それ飲むボクらもなんだかちょっと上等になる。
    そんな気がした…、悪くない。

    まずはポタージュ。

    532d87da.jpeg冷たいジャガイモのヴィシソワーズ。
    お皿の真ん中にはトウモロコシのピュレを島に盛り、そこにカリカリベーコンをタップリ散らしたトーストバゲットをペコンとのっける。
    乾いたパンの食感が、スープのみずみずしさを引き立て香りも添える。
    コーンピュレを溶かすと甘みがスープに混じり、ヴィシソワーズが冷たいコーンポタージュのようになる。
    一皿で、二つの料理をたのしむご機嫌。

    開店直後にやってきて、それからたった10分ほどでほぼ満席になっちゃった。
    ほぼ80%が女性客。
    残り2割の男性も、ほぼ確実に女性と一緒にやってきている、つまりココは銀座マダムの隠れ家なのでありましょう。
    まあ、それもよし。

    メインのチキン。

    f2975807.jpegさすが、グランメゾンの支店が渾身を混めて名物にした料理であります。
    見事なモノ。
    鶏の皮をあまり好まぬボクにもおいしくたのしめる、パリっと焼けたその表面。
    もともと皮が薄くて脂を抱かぬひな鳥ばかりを選んでローストしているからでしょう…、皮そのものがサッパリしてて、余分な脂を吐き出しながら焼けていくからパリっとしてる。
    身はシットリで、何よりハーブの香りがやさしい。
    ハーブ以外に使われているのは塩だけで、ソースいらずの素直でしかも濃厚な味。
    黙々食べて、気づけば骨が残っただけ。

    フレンチフライがタップリサイドにつくのもカフェっぽくってボクは好き。

    ブリュレとコーヒーを最後にもらい、ほどよき銀座の昼となる。

    647d2c4c.jpegそれにしても不思議なのが、ここの売り物のロティセリチキン。
    一番安いランチコースでだけ食べることができる…、のですね。
    なんだか不思議。
    コースは全部で3種類。
    当然、値段に差があって、こうした場合、お店が一番売りたいものは真ん中の値段のコースでしょうが、それではチキンが選べない。
    羊か魚。
    手の込んだ料理の中からメインをひとつ選びなさい…、と。
    フランス料理の悪い癖。
    鶏、豚、牛より、羊や子牛。
    そんなものより鴨やウサギや鳩の方が高級ですよ…、とそんな独りよがりがメニューを作る。
    一番高いコースはなぜだか、料理を選ぶコトも出来ない「調理人の言うがまま」って押し付けがましいモノになっちゃう。
    未だに解せぬ不思議なしきたり。
    心置きなく、一番安いコースを食べて、それで満足。
    ありがたい。

    拍手[0回]

    前のページ HOME 次のページ
    Copyright © サカキノホトンブログ All Rights Reserved
    Powered by ニンジャブログ  Designed by ピンキー・ローン・ピッグ
    忍者ブログ / [PR]