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サカキシンイチロウノホトンドゼンブノブログ
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    年齢:
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    性別:
    男性
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    1960/01/26
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    鎌倉で仕事があって、ならばちょっと寄り道しよう。
    江の電でゴトゴト行った七里ケ浜に、ビルズってレストランがひっそりとある。

    bills.jpgオーストラリアを代表するスターシェフ「ビルグレンジャー」のレシピに添って作られる、肩肘張らぬカジュアルな料理でもてなすカフェダイニング。
    ここの朝食。
    世界で一番おいしいスクランブルエッグを食べることができる…、っていうので有名で、本当は朝。
    ユッタリ気分で来たかった。
    朝には朝の仕事があって、それでこうしてランチに来ます。
    お店に入ってテーブルにつく。
    海がすぐそば…、気持ちいい。
    ちなみに画像は、多分、日本で一番景色がよくて気持ちいいスモーキングチェアーのあるテラス。

    1時過ぎにして満席で、しばらくお待ち下さい…、と。
    いわれた人はノンビリ海を眺めながら、ブラブラ、周りを散歩気分で待っている。
    時間が止まったような場所。
    そういう意味ではまるでココはハワイのようで、みんながノースケジュールでココにいる…、ような気がする。
    スンゴい贅沢。

    278a0483.jpeg海の見えるテーブルに付き、飲み物たのんで料理がくるのをぼんやりと待つ。
    サービスも、厨房の中の作業もスローで、でもスローなリズムがここにはあってる。
    波の音。
    例えばハワイアンのBGMも、どれも同じ自然の息吹を感じる速度。
    レモンビターを浮かべたソーダドリンクを飲むと、泡がジュワッと口でほどける。
    その破裂する速度もなんだか、街で飲むよりユックリと「プワッチ」とはじけるような気がする。
    気のせいだけど…。

    ランチにパスタやオージービーフを使ったハンバーガーもあるのだけれど、せっかくだから朝食メニューからスクランブルエッグをとってみた。

    61b9f29d.jpegツヤツヤとした、目にも普通のスクランブルエッグと違ってみえる、ポッテリとした卵色。
    スモークサーモン。
    それにアボカド。
    バジルの葉っぱをフワッとちらした、色鮮やかな目のゴチソウ。
    食べるとシットリ。
    舌にのっかりじんわり玉子の旨味と香りを発散しながら崩れてく。

    生の玉子を容赦なく。
    ドロンと頑固な白身のハリを切るようにして、黄身と一緒に混ぜ合わせ、玉子のコシを完全に奪ってしまった玉子液。
    そこにミルクをタップリいれて、バターをゴクゴク、飲ませるようにしながら火を通す。
    パラパラにせず、固まり始めた玉子をザックリ丁寧に、折り込むようにして一つ塊にまとめあげると、みずみずしさを失わぬこうした玉子が出来上がる。
    これを焼く前の液状玉子にふるった粉を加えて練れば、バターパンケーキの生地になる。
    玉子をつかった何か新しい料理のような、そんな食感。
    なるほど旨い。

    胚芽パンにたっぷりバター。

    84b2d293.jpeg酸味を持ったサワードーのような木目がザックリ粗いパン。
    その酸っぱさと素っ気ないほどに素朴な食感。
    それをバターがジュワッととけて、したたかキレイに包み込み、ゴチソウにする。
    バターのパワーにひれ伏すゴチソウ。

    パンに玉子とサーモン、それからアボカドのっけてオープンサンドにして食べる。
    これまたご馳走。
    バターの脂。
    スモークサーモンの磯の匂いを抱いた脂に、ネットリとした森のバターの食感が、一挙に口を満たすたのしさ。
    カロリーのことはしばらく棚上げ。
    だってこれは本来、朝食メニューでございますゆえ…、そんな強気なメッセージ。
    ニッコリ笑って、お腹におさめる。
    隣のテーブルに鎮座していたリコッタチーズのパンケーキ。
    ゴールデンブラウンに輝く見事なその焼き上がりを、思わず一口、横取りしたくなるステキ。
    次はあれっ、って思って店をあとにする。

    世界一のスクランブルエッグかどうかはわからぬけれど、コノのどかさと、コノのびやかは確かに日本で有数の心のご馳走。
    そう思う。

    再び江の電。

    26b08533.jpegゴトゴト乗って仕事に向かう。

    実は今から30年も前。
    ボクが16才の冬のコト。
    父と一緒に生まれて初めて江の電にのり、鎌倉を出て鎌倉高校前という駅に向かった。
    編入試験を受けるため。
    父が事業を失敗し、それでボクらは新天地を求めてこの湘南に引っ越すことの準備をしてた。
    寂しかったなぁ…。
    なにがどうこうという訳じゃななく、東京駅から電車にのって田舎に向かってゆくんだという、物悲しさに気持ちが冷えてた。
    鎌倉を出てしばらくは、山の中をゴトゴト走る。
    古い民家の軒下を、まるで逃げ回るように這うように走る小さな電車に、ああ、辛いなぁ、と哀しい気持ちに拍車がかかる。
    電車は大きく左に曲がり、長谷の駅をちょっと過ぎたその途端。
    目の前がパッとひらけて明るくなって、アッと思ったら、海があった。
    太平洋。
    冬寒く、波は高くて厳しくはあり、けれど輝く水面は明るくみえた。
    海が見えたよ…、ってボクは小さくつぶやいた。
    傍らにいた父も一言。
    ああ、海だなぁ…、きれいだネ、って。
    ボクはなんだか救われたような気持ちになって、それからずっとここからの海はボクの希望の景色になった。

    あの頃、あのときと同じ海。
    でも今日の海。
    あのときの海とは違って、夏の明るい真っ青な海。
    波も穏やか、海水浴の人たちが集まりにぎわう希望の海はニギニギしい海。
    ニッコリしながら、駅、降りる。

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    無題
    江ノ電,大好きな列車です.
    まだ海水浴が楽しめるんですね.

    佐藤は実家に日本で一番短い路線を走る路面電車があったせいか,逆に路面電車好きです.

    荒川線も風情があっていいですね.
    佐藤Rさん / 2009/08/19(Wed) /
    松山にも
    > 佐藤Rさん
    ボクが育った松山にも路面電車が走ってました。
    でもあまり乗る機会がなかったなぁ…。
    ちょっと寂しいことがあるとその路面電車にのって、ボンヤリ街を眺めるのが好きなおセンチな男の子でありました。
    サカキシンイチロウさん / 2009/08/19(Wed) /
    同感
    お気持ち、とってもよくわかります。

    鎌倉で生まれ育った私も、あのパーっと視界がひらけて海が見える瞬間は毎回目を奪われ、気持ちが穏やかになります。

    私は車で名越のトンネルを抜けた瞬間、海がひらける景色も同じくらい好きです。

    鎌倉に帰ってきた~!という気持ちになるんですよね。
    333さん / 2009/08/19(Wed) /
    名越隧道
    > 333さん
    実は葉山から逗子に引っ越したとき、住まった場所が逗子と鎌倉のちょうど中間。
    久木という場所。
    逗子以外のどこに行くにもトンネルを通らなくては行けない場所で、だからこそ、パッと視界が開けるあの地域独特のその瞬間が大好きだった記憶があります。
    名越隧道。
    ボクが引っ越したあと、ちょっと有名になっちゃいましたねぇ。
    陰陽渦巻く三浦半島ならではのさまざまであろう…、と思ったりもいたします。
    サカキシンイチロウさん / 2009/08/19(Wed) /
    こことサインに五味八珍
    9月に帰国の際には
    この3ッつを訪れたい
    と計画しています。
    タイミングよくレポート。
    いただきました。
    鎌倉の河岸沿いのデニーズを秘かに愛用していました僕には
    わくわくする店です、ビルズは。ロケーション・レストランここで味わうのは、まるっとその土地の環境でしょうか。
    ジッサさん / 2009/08/20(Thu) /
    人それぞれ
    サカキさんの江ノ電にまつわる思い出にチョットしんみりしました。私は20年程、ヒルズってレストランの真上辺りに住んでいました。年に数回、鎌倉に戻って江ノ電に乗るとワクワクします。当たり前ですが人ってその場所に色々な思い出があるんですね。ヒルズはオシャレ過ぎちゃって行き難い感じがします。地元の人からの「美味しかった情報」が聞こえてこないんですよね、今のところ。いつでも行けるから、と思っているからかな?ロケーションは最高ですね。
    エルさん / 2009/08/20(Thu) /
    海が見える場所
    > ジッサさん
    海が見える場所にショッピングモールやレストランを作る。
    日本のいろんなところで同じような試みをしているところがたくさんあって、でもこれほどそのロケーションを活かして成功しているところって、他にはないだろうなぁ…、って思いました。
    鎌倉から江ノ島にかけてのこのエリアの神秘的なパワーを感じます。

    ちなみにコノ店。
    もしR社が全盛の頃にライセンス供与を受けていてやっていたら、なんて思いました。
    サカキシンイチロウさん / 2009/08/20(Thu) /
    旅人のための店
    > エルさん
    レストランには生活する人のための店と、旅する人のための店の二種類がある、と思うんですね。
    コノ店はあくまで旅人のためのお店。
    東京のような都会から、ひとときリラックスを求めてやってくるその旅先にこうしたお店があると、とても幸せな気持ちになれる。
    そんな店。
    もしボクが今、この地域に住んでいてコノお店を喜んで使うか?というと、ちょっと違うように思います。
    料理ではなく空気と経験を売るお店。
    それもまたよし、ということではないでしょうか?
    サカキシンイチロウさん / 2009/08/20(Thu) /
    海は海でも・・・。
    鎌倉ですか〜。景色がよさそうですね。まさにリゾート!!で、リゾートと言えば、実は私の父が愛媛の今治市出身でして・・・。法事などの時に私も供に行ったりするんですが、
    その時に、ほとんど伊予水軍という海鮮料理屋(http://www.iyosuigun.co.jp/SUIGUN/index.html)で食事をするんです。もうこのお店から見える景色が絶景でたまりません!!大きなガラス張りの窓から、来島海峡が一望できるんです。もちろん大橋もバッチリ見られてうっとりです。そして、お料理はいわずもがな、で絶品ですよ。
    りりこりあさん / 2009/08/20(Thu) / URL
    瀬戸内ですか!
    > りりこりあさん
    瀬戸内は日本が世界に誇るすばらしい海。
    特に今治沖と、宇多津沖は眺望といい、そこに集まる魚といい、もうため息が出るような見事さですよね。
    昔、地中海クルーズに出かけて、ギリシャ沖で現地の人が「スゴいだろう」と自慢するのを、なんだか世間知らずだなぁ(笑)って思ったコトがありました。
    サカキシンイチロウさん / 2009/08/20(Thu) /
    江ノ電
    コドモが子鉄なので、うちから近くて海あり鉄道ありのこの辺りは
    時々ふらっと来るのにとってもいい場所です。
    あの海がぱぁーっと開けるところはほんとに気持ちがいいですよね。
    ビルズは一度そんなに混んでない時に並んでみたのですが、
    コドモの我慢がきかず、パンケーキに後ろ髪引かれる思いで後にしました。
    小田急線ですが鵠沼海岸に天然氷のカキ氷やさんがあり、
    今年はまだ行けてないなぁ、夏が終わっちゃうなぁ、と
    ちょっとあせってます。
    あーたさん / 2009/08/20(Thu) /
    夏もいいけど秋の始まりも
    > あーたさん
    いろんな車両が次々やってくるのがまたいいですよね…、江の電。
    夏の湘南もいいですが、夏が終わって秋が始まる9月の中旬。
    とてものどかでステキですよ。
    ビルズのパンケーキ。
    実は食べようと試みたのですが、時間がかかるということで断念。
    コノ店は我慢強くあることが必要なようですね。
    サカキシンイチロウさん / 2009/08/20(Thu) /
    七里ヶ浜
    こんばんは。ご無沙汰をしています。

    え?って驚くほどサカキさんとはシンクロしている事がよくあるんですが、一日違いで行っていました、ここ。
    同じビルの中の美容室に通っているため、2ヶ月に一度の七里ガ浜詣でをしております。
    卵が苦手なため、2ヶ月に一度、こちらではパンケーキをいただいているのですが、毎回、出来上がり具合が違うんです。
    リコッタパンケーキ、レシピは同じでも生地の状態とか、焼く人の技術とか、大きく左右する一品なんだなと思いました。

    サカキさんの16歳のお話。
    ごくごく近しい人から同じような体験談を聞いた事があって、しみじみ読ませてもらいました。
    こうして皆さんにお話できるまでには、ずいぶんと心の葛藤とかあったはず・・・。
    ご両親もきっと素晴しかったのですね。
    hiyokoさん / 2009/08/23(Sun) /
    玉子という素材
    > hiyokoさん
    玉子という素材。
    同じように調理しても、ちょっとした違いで大きな違いが生まれてしまう、とてもデリケートな食材なんだ、って思いますね。
    にも関わらず、おかあさんが作る卵焼きって、いつも同じように感じてしまう。
    なんてスゴいことなんだろうとも思います。

    昔の話。
    どんな辛いことも、今となってはステキな出来事。
    今のボクを作ったあれやこれ、すべてをいとおしく感じます。
    サカキシンイチロウさん / 2009/08/23(Sun) /
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