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サカキシンイチロウノホトンドゼンブノブログ
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    サカキシンイチロウ
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    性別:
    男性
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    1960/01/26
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    野暮用にて中野。
    折角だから、早めの時間のここ、覗く。

    11238633.jpeg第二力酒蔵にちょこんと座る。
    雨がちらほら降り始めた、まだ4時台の時間ながらもカウンターはほぼ埋まりテーブル席にもグループ客が陣取りだした。
    おいしいお店はピークが長い。
    居酒屋ながら2時開店という店で、だからもう長い時間、ここでジックリ粘ってたんでしょう。
    酔っぱらって出来上がり、メートル上がったおじさんたちが大きな声で日本の景気のあれこれを憂える景色。
    それを見守るお店の人の、にこやかな様。
    まだ忙しいわけじゃない、厨房の中で板前さんが腕組んで「さぁ、どんな注文がやってくるか」と身構えている姿もこれまた粋なもの。

    いつものメニューに加えて季節の素材がいくつか。
    中でも今は「牡蠣」と「ふぐ」。
    カキフライを作ってもらう。

    b2ebca9f.jpegカキの料理がいくつか並ぶ、一番大きな文字でかかれていたのは「生カキ」。
    たしかに今の季節といえば、プルンとした生のカキの渋味と旨味と磯の風味を味わう、しそれがシアワセ。
    それにシャブリ。
    キリっと冷えた辛口の白…、というのが粋というもの。
    けれど今日の右手にお茶で、ならばフライにしましょうか、って。
    実はカキの食べ方で好きなものといえば、1にフライで2に生のまま。
    3にチャウダー、それからバタ焼きという順番。
    細かく付いたパン粉がサクサク揚がって、ムッチリとしたカキの食感軽く引き立てる。
    生のときには感じる渋味が、熱が入ると不思議になくなる。
    変わりに甘味が増すようで、旨味もギッシリ凝縮される。
    タルタルソースじゃなくってレモンとウスターソースで食べるという、気軽な感じがまたご馳走。

    bd3007cb.jpegもひとつ貝。
    ホッキをバターで焼いたもの。
    貝殻を立て、中に小麦粉をはたいてバターでシットリ仕上げた貝焼き飾る。
    海の水がぬるむにあわせて、貝がどんどんおいしくなる。
    冷たい海に、落ち葉を始め山の栄養をタップリ含んだ川の水。
    そのミネラルが混じって海辺の貝や魚をおいしくさせる。
    秋は貝の正月ですネ…、って、昔、仲良くしてもらってた寿司屋の大将がそう言っていた。
    確かに今日の貝は分厚い。
    ムッチリしてて噛むとジュワッと海の旨味が滲みだす。
    しかもザクっと歯が沈み込み、それをやさしく包み込むよな頑丈さ。
    焼いてる途中に一旦、鍋に吐き出した貝の旨味にバターが混じり、貝を包んだ粉に戻って貼り付いた、旨味を無駄にせぬ調理法。
    ウットリします、ご馳走です。

    生の青柳をつかったヌタ。

    78c96da5.jpegボクにとって冬の貝といえばイコール、実は青柳。
    それも生でなく、この青柳を干物にしたもの。
    細い針金に貝の紐が串刺しされて、4、50本が一塊になったモノ。
    それを一個、一個、串からはずしてそれをストーブの上に乗っけて炙りながら食べるのが、冬一番のおやつだった。
    火が通ってくと、貝がよじれるようにして動き回るのが面白くってその焼き上がりをじっと眺めるだけでなんだかシアワセになる。
    甘い香りが漂って来て、ハフハフしながら口に含むと、海の旨味にまた幸せになる。
    そんなご馳走…、なつかしい。

    ちなみに実は、生の青柳を食べたのは、関東に来てはじめてのコト。
    知ってた干物とはまるで違った、プルンとした肉感的な食感と、驚くほどのみずみずしさ。
    ホワンと漂うアンモニア臭に、あぁ、これは大人の味だ…、ってビックリしました。
    甘いヌタ味噌をタップリつけて、口に運ぶとまさにその味。
    ワケギにワカメ。
    どれもがシャキッと冷やされて、貝と同じくらいにフルフル、みずみずしくて口がスッキリ、潤ってくる。

    2c7a2f82.jpegそして煮豆腐。
    魚の煮付けを作った煮汁。
    甘辛くってこくのある、その煮汁だけで十分ご飯のおかずになりそなおいしい汁でクツクツ煮込んだ、絹ごし豆腐。
    見事に表面、飴色で、しかもパカっと割ると中まで色がにじんで色黒さんになっている。
    外から中に徐々に色白になっていき、あるところから急にスパッと豆腐自身の色白肌になってしまう。
    まるで日焼けの肌に残った水着の跡。
    豆腐、なめらか。
    しかも熱々。
    煮汁をタップリしみ込ませ、舌にのせるとフルフル、そこで震えているのがいとしくて、しばらくそっとしておきたくなる。
    出汁の味がジンワリ舌に溶け出して、上あご近づけ力を入れるとフワッと壊れる。
    体がやさしくなるような、そんな味わい。
    いつも通りの夜となる。

    〆をどこでと考えて、それで近所の立ち蕎麦にした。

    1c2b6adb.jpeg最近、飲む店で〆をとることが少なくなった。
    飲ませる店は料理や肴に力をいれたく、なにより飲んだらササっと帰ってくれるお客様のことが大好きだろう…、って。
    そんなコトを思ったら〆たのしむための長いをするのも無粋かなぁ…。
    むしろそうした飲ませるお店の近所の飯屋。
    そば屋や寿司屋を知ってる方が、食べるたのしみが広がっていく。
    例えば第二力酒蔵で〆をしようと思えば、今ならいくら丼とか鯖押し寿司とか。
    どれもかなり値のはる料理になってきちゃう。
    それでお店を脱出し、中野駅前。
    ロータリーに面してある立ち食い蕎麦の「かさい」という店。
    前からちょっと気になっていて、なにより近所に住む友人が、ここのお店はかなりいけてるって言うものなだから、それでやってくることとした。

    熱々の蕎麦にちくわの天ぷら、のっけてもらう。

    b975137d.jpeg太くてちょっと角ばった、田舎風の色黒の蕎麦。
    かなりきつめの醤油風味の出汁にゆらりと、湯気、ふわり。
    歯ごたえしっかりした麺だけど、決してボサボサしてる訳じゃない。
    噛むとポワンと蕎麦の風味を吐き出して、徐々にヌンメリ、まるでそばがき食べてるみたいな粘り気を出す。
    癖があるけれど、ボクは好き。
    カウンターにすった生姜が用意されてて、それを入れて食べてください…、って貼り紙がある。
    うどんに生姜はよくあるけれど、蕎麦に生姜は珍しい。
    たしかにすった生姜を入れて出汁に溶かすと、立ち食い蕎麦の出汁独特のちょっと化学的なる匂いが消えて、とてもスッキリ。
    体もジンワリあったまる。
    若くて無口な作り手の、無愛想な表情に最初はちょっとドギマギしたけど、腕は確かで安心できる。
    なによりお冷やが無くなると、それに気づいてすぐにお替わり持ってくる気がきいたところにかなり感心。
    ココはかなりのオキニイリ。

    雨、雨、雨の土曜日の夜。
    明日、天気になぁれと思う、夜のコト。

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    新宿マルイアネックスの地下に出来た「ブルックリンパーラー」というお店。
    先日、出来たばかりのときに来て、確かにブルックリン的かもしれないなぁ…、って思いながらも利用をせずに帰ってしまった。
    開業をしてもう1ヶ月ほど。
    そろそろ落ち着いたかなぁ、と思って今日、やってくる。

    bp.jpg夜のこの店。
    雰囲気、なかなか。
    シットリとした間接照明。
    木の床やレンガの壁に跳ね返る甘い光が、とてもやわらかでやさしい景色を演出してる。
    それがブルックリン的かどうかは棚上げしても、港区的であることだけは確かでしょうな。
    日本を代表する商業集積を誇る新宿。
    今までこうしたお店がここになかったコトが不思議なくらい。
    しかも土曜の夜というのになぜだか、かなりユルユル。
    どうしてなのか?
    こうしたお店を必要とする人が新宿という街にはいないのか。
    それともスーツ姿でノソっと突っ立ち、お客様を監視するような気のきかない、マネージャーの存在が、無言の拒絶を発散しているからかもしれない。
    気取りすぎてて気軽がなくなる。
    お洒落な店にありがちなコト。

    とはいえ座り心地の良い椅子と、耳触りでない音楽がかなりの長居をうながす空間。
    ヴァージンブラッディーマリーを飲みます。

    aba1f12b.jpegヴァージンと言えば、カクテルをアルコール抜きで作るモノ。
    例えばヴァージンストロベリーマルガリータと言えば、ライムジュースとイチゴと氷で作ったストロベリーフラッペみたいな冷たいジュース。
    トマトジュースにクラムジュースに、セロリスティックで作った飲み物。
    つまりブラッディーマリーのお酒抜きのコレ。
    セロリシードがタップリ中に沈んでて、セロリの香りがかなり強烈。
    蛤の煮汁の旨味が、トマトジュースをワンランク上のさっぱりとしたスープのようにしてくれている。
    カナダに行くと「クラマト」っていうクラムとトマトのミックスジュースの缶詰がある。
    それほど二つの相性抜群。
    これに限らずここの商品。
    どれも丁寧で、シッカリしてて、しかもお水がおいしいことにはビックリしちゃった。
    サービス水準が高くなり、もうちょっとだけ新宿価格に下げてくれれば結構はやるに違いない。
    今度はお茶の時間を狙ってやってきましょう…、もうワンチャンス。

    まだお腹に余裕がちょっとあるよね…、ってそう言いながら新宿の街をフラフラ歩く。
    そして発見、気になる看板。

    hunter.jpgハンターグリルというお店。
    ペロリと舌出す牛のロゴが、まるで「万世」のロゴのように見えておおっと立ち止まる。
    看板の下がメニューボードをかねていて、メインの料理が「てこねハンバーグ」だって書いてる。
    ビッグボーイの売り物料理によく似た筒状のパテ。
    次に力を入れているのが「ハンター焼き」ということで、これがビックリ。
    細いスパゲッティの上に焼肉風の牛肉が乗っかっているというモノで、これはお茶の水。
    キッチンカロリーの名物料理のカロリー焼きにまたそっくり。
    いろんなお店の名物料理をパクってメニューを作ったのかなぁ…、って、それはそれはでありかもしれない。
    冒険精神旺盛だわい、とそれでちょっと覗いてみることにいたします。

    お店に入ると、そこはビックラ、中近東系の人ばっかりが働いている。
    ホールの人も。
    厨房の中の人もみんな中近東、あるいは南アジアの人ばかり。

    5569240d.jpegメニューを開くと、シシカバブだったりアラビア風のサラダだったり、サイド料理のほぼほとんどがお店で働く彼らの故郷料理をアレンジしたものばかり。
    天井の上にぶら下がってるシャンデリア。
    アラベスク模様の壁紙などなど、お店の端々にアラビア風が横溢してて、おそらくココは中近東の人がやってるお店なんだろう…、ってそう思う。
    多分、彼ら。
    日本にやってきて、ケバブ料理やアラビア料理の専門店で成功をした人たちなんでしょう。
    けれどそうした故郷の料理ばかりやっててこれ以上の成功を手にすることができるだろうか?って考えたとき、もっとローカライズしないと市場を広げることはできないだろう。
    そう思いつき、それで特異な「肉を使った専門店」をしてみよう。
    いろんな繁盛店を勉強し、それで出来たのがこのお店、…、ってコトじゃないかとそう推察もした。

    スゴいコト。
    だってボクらがアメリカに行き、日本料理以外の料理で商売しようか…、ってなかなか思い付かないし、思いついてもそれを実行する勇気まで持てるかというと決してそんなコトはない。
    彼らの勇気にノックアウト。
    実際食べた、てこねバーグとハンター焼きの盛り合わせ。
    予想通りに「どこどこ風」と「どこどこ風」のまんまなぞりの組み合わせにて、味はそこそこ。
    けれどおいしさ以上の勇気と努力を感じてシアワセ。
    こうしたお店ができる東京って、本当の意味でインターナショナルシティーになったというコトなんだろう、って。
    それを思うとうれしくて、小躍りしたくなっちゃった。

    ちなみにこの店のナイフとフォーク。

    70ab4d56.jpeg100均なんかで売っていそうなペラペラのモノ。
    薄くてエッジが立っていて、強く握って切ったり重い塊を持ち上げたりすると、手に食い込んで激しく痛い。
    それもまたよし。
    給食っぽいたのしさがある。

    階段上がって街にでる。
    ちょっと寒くて、風も冷たい。
    肩をちょっとすくめて思わず口をついて出てくるメロディーは、「悲しくてやりきれない」のさびのとこ。
    切なくってやりきれない、悲しいニュースの主が作った昭和の名曲。
    悲しい思いも、たのしいコトも、生きていればこそ。
    明日もニッコリ、元気でたのしく、ほがらかに…。

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    銀座なのにまるで銀座じゃないみたいな、大衆的で気軽な居酒屋。
    三州屋。

    68af412b.jpegなんだか魚を食べたいねぇ…、って、それで選んだ、ひさしぶり。
    ガラッと扉を開けて中に入るとほぼ満席で、最後に残った相席テーブルのど真ん中。
    2人分の席をやっとみつけて、体を隙間にねじ込むようにササっと座る。
    両隣さんと肩ふれあうような密着感が、こうしたお店の醍醐味でもある。
    どっちにしたってみんな見事にサラリーマンで、なんの気兼ねもする必要ない。
    メニューはない。
    壁に貼られた品書き見ながら、気になる料理をあれこれたのむ。
    商品説明なんかなくっても。
    当然、写真やイラストなんかの力も借りず、すらすら食べたい料理をたのめるシアワセ。
    よくぞ、日本に生まれけり。

    きんきのアラ煮に、ほっきの貝わさ。
    北寄貝を刺身にひいてわさび醤油で食べるという、普通に言えばホッキの刺身。
    それを「貝わさ」と呼ぶ呼び方を初めて知った。
    たしかに「板わさ」という料理があるのだから、カマボコを貝に置き換え「貝わさ」という。
    理にかなっている、しかも粋。
    ひつこい程に脂ののったきんきの煮付けも甘くてムッチリ。
    魚を食べてる…、って気持ちになる。

    ここの名物「とり豆腐」。

    da8e9e6c.jpegこぶりの丼でやってくる、小さな水炊き。
    ぶつ切りにした鶏。
    ガッシリ頑丈な木綿の豆腐。
    鰹だしに鶏の脂がキラキラ浮かぶ、まさに鍋のような出来。
    青みは春菊。
    だからその春菊の青い匂いがスープに混じってますます鍋な様相呈す。
    そのまま食べても十分おいしく、ちり酢を垂らして食べるとスッキリ、これまた旨い。
    安くてしかもお腹がポワンとあったまる。
    酒を飲む前のウォームアップに最適でもある粋な一品。

    マグロのヌタをとってみれば、甘味控え目、味噌の風味がかなり強めの大人味。
    大人の味、というよりも、酒がおいしく飲める味…、って言った方がいいのかなぁ…。
    冷やっとつめたい食感のマグロの赤身もおいしく感じる。
    なんかシアワセ。

    目先を変えてホタテのフライ。

    625ca6b4.jpegバター焼きやら塩焼きやらと、ホタテを使った料理があれこれあって、でもやっぱりこれが大好きで。
    外はサクサク、パン粉が軽く上がってて、なのにホタテはベリーレア。
    ホタテ君はこうして揚げてもらうために生まれてきたに違いない。
    そう言いながら、サクサクプチュン。
    満足なりぃ。

    ところでこの店、若い人たちが連れだって次々やってくるのにビックリ。
    もっとシニアなお店なんだろう…、ってずっと思っていたけれど、今日は特に景色が若い。
    若い人たちもおいしいものを食べたいとき。
    おいしいお酒を飲みながら、みんなで気持ちよくなりたいときにはこうしたお店を選ぶんだなぁ…、ってそう思ったらほっとする。
    「大衆割烹」というこうした日本の文化が先に、こうして続いていくんだろうなぁ…、ってそう思ったらうれしくなった。
    とはいえちょっと不思議なのが、先輩に連れてきてもらってる風の若い人たちがいないこと。
    先輩に元気とリーダーシップがないからか。
    それとも今の若い人たちは同ジェネレーションでかたまり飲むのを好むのか。
    どっちにしてもちと勿体ない、老婆心。

    〆をラーメンとテクテク歩く。
    銀座松富で担々麺。

    d704d0fb.jpeg最近、気づけば飲む一軒目と〆の二軒目でワンセット…、っていう食事がとっても多い。
    料理がおいしいお店の〆は、単純であるかそれとも過剰に立派であるか。
    さっきまでの三州屋は、〆がほとんど定食でそこまでキッチリ食べたい訳じゃ今日はなかった。
    それで二軒目。
    スッキリとしたきれいなスープと、極細なのに不思議とホツっと歯ごたえ豊かな噛み応えがある麺に特徴あるお店。
    飲んだ後。
    あるいは料理でお腹がほぼ一杯になりはじめているお腹にやさしい〆ラーメンにピッタリのココ。
    中でもこの担々麺は、中国料理的なる担々麺とはまるで違って、サッパリ、やさしい。
    胡麻のペーストを使うのじゃなく、すったばかりの胡麻で風味を軽くする。
    辛味スッキリやさしく、食べ始めるとどんどん食欲湧いてくる。
    まるでこの真っ赤なスープがお腹の中に道を作って、麺をスンナリおさめてくよう。
    そんなたのしい今日の〆。
    大人な銀座の大団円。

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    四谷三丁目、杉大門通りについ先日、出来たばかりの餃子専門店。

    5a27ab3c.jpeg「いっぴん」っていう名前のお店。
    某餃子専門店で修行して、若いながらに独立を果たした人の店ときき、やってくる。
    餃子を焼く大きな鍋が並ぶ厨房。
    それを眺めるカウンター。
    奥に小さな個室風のテーブル席という、こじんまりした店。
    メニューをみると、ほぼ餃子だけ。
    最小限のおつまみに、焼酎、酎ハイ、生ビール。
    正真正銘の専門店。
    店名のいっぴんは「逸品」のいっぴんだろうと思っていたけど、実は「一品」のいっぴんなのかもしれないなぁ…、って。
    自慢の一品にかける意気込み、いいかもしんない。

    なにしろここ杉大門通り。
    これ一品的専門店がギッシリひしめく街でもあって、だからこうしたお店の方が生き残り易いに違いない。

    ここのメインの一口餃子。

    dda3f2ab.jpegデパ地下や通信販売で売っている「点天」の餃子のような姿形。
    一口でパクッといける小さな三角形をした見慣れた形。
    けれどこれを注文ごとに手ぐるみにする。
    大きな鉄の分厚い鍋に、スープをはって強火でカリッと焼き上げる。
    今まで、この形の餃子は自分で焼いて食べるモノ…、って思い込んでたそれをこうして焼いてもらって食べるという、その感覚がまず新鮮。

    皮がカリッと焼き上がってて、外はサクサク。
    中身のあんの旨味が全部、皮が吸い込み噛みしめる度、ジュワッと油が滲みだしてくる。
    一緒にどうぞ、と出された自家製ラー油がこれまた旨くて、思わず「お土産」って叫んでしまいそうになる。

    餃子以外の料理はシンプル、ちょっとした一手間かけた工夫の料理。
    例えば、スモーク魚肉ソーセージって言うのがあって、これが逸品。

    efa8e84b.jpegあの魚肉ソーセージをスモークしたのを、フライパンで焼き上げたもの。
    餃子用の焼き油にて、表面カリカリ。
    切った断面にポツポツ小さな穴があくほど火を通し、マヨネーズとマスタードをつけつつ食べて…、という趣向。
    何もつけずにそのまま食べると、魚肉ソーセージ独特の魚の風味と薫製をした煙の香りがズドンと鼻から抜けていく。
    魚肉ソーセージというよりも、なんだかドイツの見知らぬ地方のソーセージ…、みたいな不思議な味わい。
    おもしろい。
    生のキャベツを塩水にくぐらせてたべる「おつまみキャベツ」とか、乱切りキュウリを塩ダレと一味で食べる「パリパリキュウリ」とかほんとに単純。
    けれど味は的確なたのしい料理が結構そろう。

    けれど〆。
    白ご飯と玉子かけご飯くらいしかそろってなくて、是非に〆ははしごでどうぞ…、ってメッセージ。
    この街なりの割り切りがいい。
    若い二人が一生懸命、料理を作ってサービスをして笑顔もきれいで元気いい。
    またまいりましょうって〆を求めて街に出る。

    ぶらりぶらりと散歩して、結局、四谷三丁目にある「かつ新」っていう店にくる。

    7cb342e6.jpeg本当は「鈴新」ってとんかつ屋さんでカツ丼食べよう…、って最初は思った。
    お店に行って、ごめんください…、って行ったらば、「ごめんなさいね、今日は寄席の日」。
    とんかつ屋の部はもう店じまい。
    ご主人じきじき表にでてきて、頭を下げて見送られちゃう。
    このお店。
    カウンターの中に高座をしつらえ、月に一回、寄席をしている、残念ながらその日に当たった。
    とはいえ頭の中はカツのイメージで満タンで、それでも一軒、とんかつ専門店のここが頭にポーンと浮かぶ。
    鈴「新」、かつ「新」、何か互いに所以があるのか?
    それともただの偶然か?
    機会があれば来てみよう…、とずっと思ってて、なかなか機会がなかったお店。
    これ幸いとやってくる。

    e3361d79.jpeg中に入って、ほほぉ、と思う。
    見慣れた景色。
    民芸調のあんどん型のランプシェイドに太い柱、そして梁。
    1970年代に流行った和食店のインテリアの代表的な意匠そのまま。
    ボクの父が四国でやってた飲食店もまさにこんな雰囲気で、なんだかとてもなつかしい。
    昔は多分、大繁盛だったのでしょう。
    お店の奥にはお客様用のエレベーターが置かれてて、多分、昔はビル全体をお店に使っていたのでしょう。
    ビルの名前は「かつ新ビル」。
    今では2階は別の屋号の日本料理のダイニングレストラン。
    3階以上はオフィス使いになっていて、時代の変遷、しんみり感じる。

    お店の奥にはオープンキッチンって訳じゃないけど、見通しの聞く厨房があり、注文通った途端にコンコンカツカツ。
    リズミカルに包丁がまな板叩く音がする。

    結局、ボクが選んだのはとんかつじゃなく、生姜焼き。

    deca658a.jpeg薄切り肉以上、ステーキ以下の厚めに切られた豚ロース。
    生姜の風味と甘味は最小限の、醤油の旨味がシッカリとした大人味。
    生姜焼きというよりも、醤油風味のソテーのような上等感にかなりウットリ。
    噛むとクチャっと、分厚い肉が歯にまとわりつき、ピトっと口に貼り付いてくる。
    肉感的で色っぽい。
    感心したのはサイドのキャベツ。
    ただの千切りじゃなく、塩と若干のお酢で揉んでしんなりさせた即席コールスローのような不思議な味わい。
    旨い。
    シャキシャキとしたキャベツ本来の食感そのまま、そこにみずみずしさが加わって口がサッパリ、リセットされる。
    厨房の中から響いてた、コンコンカツカツ、包丁の音はこのサイドのためのキャベツを刻んでた音だったんだろう…、って。
    いい店、一軒、発見す。
    夜はさすがに肌寒い。

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    夜、ひさしぶりにテング酒場をのぞきに来る。

    tgs.jpg安い。
    けれど決してチープじゃない。
    日本中が賢いお金の使い方の方向に向かってる、今という時代にあった新しい居酒屋だ!って一時期ちょっと熱狂してた。
    ちょっとしばらく来るのを忘れて、最近、どんな具合なの?って。
    この半年ほどで、居酒屋業界は新たな安売り時代に突入。
    既存のお店のメニューの値段を下げるくらいじゃ済まなくなって、新業態がどんどん出来る。
    均一料金のお店であったり、デフュージョン系の安いラインであったりと、その先駆けの一つがこの店。
    相変わらずの超満タンで、それもほとんどがサラリーマン。
    みんなグビグビお酒を飲んで、真っ赤な顔して笑ってる。
    居酒屋ってどういったって「酒をたのしく飲むお店」。
    個室感覚のお洒落な空間や、中途半端な創作料理は本当は必要ないはずで、その原点にキチンと戻れば飲みたい人は必ずこうして戻ってくる。
    簡単だけど、思い切るのはむつかしい。

    ホッピー、それからサイコロステーキ。

    244bdd9d.jpegジュウジュウバチバチいいながら、ハラミの肉が焼かれてくる。
    大根おろしにポン酢を添えて、ちょっと和風のたのしい商品。
    ここはこうした鉄板使った料理が多い。
    レバニラ炒めの鉄板焼きとか、お好み焼きとかモヤシ炒めとか…。
    ジュウジュウしてる熱々を、ハフハフしながら食べるとなんでもおいしく感じる。
    なにより酒がグングン進む。

    それにしてもこの店。
    地下にあるのだけれど満席近くになるとお店の人が階段付近にスタンバイする。
    階段を降りてくる人の気配を感じると、顔を出し「何人様ですか?」って声かける。
    階段を地下まで降りて、それで満席でしたではガッカリしちゃう。
    とってもステキでいい配慮。

    ここは刺身に力を入れぬ分、串焼きがあれこれ充実してる。

    fa7974d8.jpeg焼鳥、豚焼き、ホルモンなどなど。
    串をはずすと、肉のかけらになってしまうのがちょっと切ない。
    そもそも串焼き。
    効率のことを考えるなら、ぶつ切り肉をそのまま炭の上においた網でゴロゴロ焼けばいい。
    実際、宮崎風の鶏焼きはそうして焼くし、それはそれで結構おいしい。
    けれど串焼き。
    焦げてるところと、肉と肉がふれあった部分はフックラ焦げずに焼ける。
    その焼け具合の不均等が、多分、串焼きのおいしさの元なんだろう。
    鶏皮、シロにネギ、餅ベーコン。
    七味をタップリふりかけて、それぞれの味をたのしんだ。

    チーズメンチに千切りキャベツ。

    e652a28d.jpegホッピーやハイボール。
    最近はやりの「バチバチ」してて「軽い」口当たりの飲み物には不思議なほどに揚げ物があう。
    それも天ぷらみたいなフックラ系の揚げ物じゃなく、唐揚げやこうしたフライ。
    揚げる素材は脂や肉汁が多けりゃ多いほど、パン粉や衣の軽い食感が引き立って、だからメンチはこうした居酒屋の揚げ物料理のベストチョイスの一つでしょうな。
    カサカサとした衣の食感と脂の味わい。
    ジュワッと口に広がる肉汁や素材の旨味が、パチパチドリンクをおいしくさせる。
    ソースたっぷり。
    七味にそれからマヨネーズ。
    キャベツシャクシャク、舌がスッキリ、ぬぐわれるよう。

    それからここの卵焼き。

    99bceb0f.jpeg焼きたて。
    ジュワーっと出汁がほとばしり出る…、ってうたい文句のまんまの味わい。
    形はとても不格好。
    けれどシットリ。
    そしてフルフル。
    まるで茶碗蒸しのような食感、味わい。
    多分、玉子が固まらなく寸前くらいまでタップリ出汁を含ませて、それでジュジュっと焼き上げるんでしょう。
    唇、口、舌、そして喉。
    この卵焼きが触れたところがもれなくポワンと熱くなり、お腹の中がほんわかあったかになるやさしいご馳走。

    こうして今日も堪能し、それでなんと一人1200円とちょっとという、ファミレス価格で仕上がった。
    うーん、夜にファミレス行くのがほんとにバカらしくなる、こんなたのしさ。
    ありがたい。

    〆をしようかと弁天庵に顔を出す。

    00ed950e.jpegそばを一杯!
    ほんとはその一言であっさりすんだはずなのだけど、なんとなんと。
    先客座るテーブルの上に並んでいるのは、鴨焼き、唐揚げ、卵焼き。
    それに合わせてビールや焼酎のそば湯割りと、ほとんどのお客様がつまみに酒を飲んでいる。
    そば居酒屋っていう業態ができはしたけど、こうした正真正銘そば屋で酒をみんなが飲んでるところに遭遇するのって、なんだかステキ。
    なんとも大人で粋な風景。
    それで板わさをたのんでしまう。

    分厚く切られたかまぼこと、ネギにそれからわさび漬け。
    かまぼこの上にタップリわさびを乗っけて食べると、ビビッと辛味が脳天向かって突き抜ける。
    「てやんでぃ」って感じでしょうか。
    粋な男になった気分。

    天ぷらのっけたぶっかけそば。

    136d755c.jpeg正真正銘、これが〆。
    冷たくしまったそばにタップリ、出汁かけまわす。
    サクっと揚がったかき揚げ天ぷら。
    エビもふんだんに入っているけど、ここのかき揚げのボクが一番好きなところはサイコロレンコン。
    カリカリ。
    サクサク。
    噛むとどんどんトロミがでてきて、衣と混じって口にどんどん広がっていく。
    そばが冷やっとのどかけぬける。
    ほどよき夜の金曜日。

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