朝、銀座で仕事をすることがありそれで「銀座ウェスト」で朝食にする。
数日前に、風邪のおみまいにともらったシュークリーム。
それを食べてながら、そういえば長い間、ウェストのサンドイッチを食べてないなぁ…、次々、サンドイッチがおいしい店をなくしていくこの東京で、まだ素晴らしいサンドイッチを作ってくれているあの店に行かなくっちゃと、それで今朝のこの訪問。
ホッといたします…、落ち着くお店。
いつもにぎやかというわけでなく、ユッタリのどかな空気が流れるお店でしかも朝はひときわ静かでのんびり…、気持ちがやさしくおだやかになる。
しかも背筋がのびる心地良い緊張感もあるのがステキ。
真っ白なレースのカバーがかかった椅子にアイロンのかかったテーブルクロス。
銀のお盆に並んだポットにピッチャー。
サンドイッチ用の塩を入れたケースもすべてピカピカキレイに磨かれていて、見れば椅子の張り生地がちょっと濃い目の色のモノに貼り替えられていたりした。
古いお店。
全体的に床が傾いているほど古くて、けれどシッカリ手を入れメンテナンス怠らない。
だから「古ぼけてない」というのが何よりステキ。
サンドイッチのセットをたのむとまずはコーヒーがやってくる。
温かいカップ。
程よく重たく、けれど取っ手に引っ掛けた指が負担にならぬ程度に軽く感じるカップのサイズ。
口をつけるとほんのり唇あたたかく、おいしいコーヒーをこれから飲むんだっておいしい予感にウットリします。
コーヒー自体もとてもおだやか。
濃すぎず香りが強すぎず、お腹が重たくならないコーヒー。
最近のコーヒー専門店のコーヒーって自己主張が強くて、一口目には「ハッと」するけど飲んでるうちに疲れてしまう。
一発芸に秀でた芸人ばかりが重宝されるテレビ時代のコーヒーみたいで苦手。
豊かな時間のかたわらに、コーヒーがある…、そんなステキを演出してる、甘くやさしくなめらかなココのコーヒー、オキニイリ。
しばらく待ちます。
コーヒーを一杯お替りするタイミング。
チリンチリンとベルが厨房の中から鳴って、サンドイッチが仕上がったコトを教えてくれる。
サービススタッフがそれを合図に厨房にゆき恭しくもやってきたのがこのサンドイッチ。
真っ白な皿。
レースペーパー。
矢車状に盛りつけられたサンドイッチ。
ココのサンドイッチはハムに玉子、野菜やツナと何種類か用意されてて、それを自由に組み合わせ楽しむコトができるようになっている。
今日はハムと玉子サラダの組み合わせ。
パンはライブレッド、トーストしたのではさんでもらった。
これで玉子が卵サラダじゃなくて卵焼きなら言うことなしのオキニイリ。
まぁ、しょうがない。
ココのハムは分厚く、ムッチリ前歯においしくて、しかも肉そのもののうま味が素直に伝わる。
防腐剤や添加物をほとんど使わず、だから足が早くて普通、喫茶店では絶対使わぬ上等なモノ…、その味わいを活かすよう、マヨネーズやマスタードはほんの少々。
レタスとハムの持ち味で味わう趣向にいつもウットリ。
卵サラダも今作ったばかりのモノで、みずみずしくて白味がプチプチ、奥歯で爆ぜる軽快な味がたのしく、レモンを少々しぼると玉子の甘みが引き立ち、キリッとしまる。
サンドイッチをひとつ、そしてまたひとつ。
口に運んで味わって、その度、コーヒーで口を潤しリセットさせる。
今日のBGMはレスピーギ。
逝ける女王のパヴァーヌからはじまって、古典舞曲にユッタリ、そして華やかに曲は移ろい朝の時間が贅沢になる。
それにしてもテーブルの上にコーヒーカップがある景色。
それがなんだかリズミカルに思えて、よぉく見つめてみたら、なんと。
カップソーサーの形が正円でなかったことに初めて気づく。
変わったのかなぁ。
前来たときは気づかなかった。
小ぶりのカップが三角形に近い歪なお皿の上で、まるでワルツを踊ってスカートひらりと宙に舞う、踊り子のように見える景色が、なんともキレイで愛おしい。
銀のお盆の上に並んだシュガーポットにミルクピッチャー。
ポットの方には銀座ウェストの天使のロゴが刻印されて、一方、ピッチャー。
無印だけど注ぎ口に対して直角についた取っ手が、ここオリジナルを教えてくれる。
肘を張らずに小さな仕草で、ミルクをそっと注げる仕組み…、女性が優雅に見える配慮がいつもステキと思います。
せっかくだからとお替りをした最後のコーヒー一杯に、ミルクをツツっと。
ミルクを入れるとここのコーヒーは味が劇的にかわるのですね…。
乳脂肪のやさしい甘味と、ふっくらとした豊かな香り、ミルクも良ければコーヒーも素直な味で違いが互いを引き立ててスッキリとしたミルクコーヒーになっていく。
あぁ、シアワセと金曜の朝がはじまった。
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