サカキノホトンブログ杜の都で神田そば

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杜の都で神田そば

仙台にて勉強会の仕事をします。

この街でかなり有名な繁盛店。
とある店舗なんかこの前のゴールンでンウィーク中、２時間待ちを越える行列が出来たほどの繁盛店。
お客様に来ていただくために、値段を下げることが当たり前のように行われている今の日本で、むしろ客単価がいまだにちょっとずつ上がっているという、つまりお客様からの支持をしっかり受けているこの上もなく幸せな状況で、それでもやっぱり気を抜くと、お客様から見放されちゃう。
特に忙しい故、料理の提供が遅れてしまったりお客様のこまやかな要望に応えられなかったりと、うれしい悩みをひとつひとつ潰していかなきゃいけなかったりするワケです。
どんなやり方があるんだろう…、と具体的な事例を挙げて、あれこれ思案。
いろんなアイディアがやってくる。

それにしても最近、お客様の感度が下がってきたかもネ、と切実なる問題いくつも。
例えば大きなベビーカーをそのままお店に持ち込んで、６人席をたった２人のご近所ママで独り占めする。
お店の外でお客様が待っているのに長居する。
そうした無礼にボクらはどこまで無力でいられる？…、ってちょっと頭をひねる午後。

仙台の街…、杜の都は緑の匂いにむせ返るよう。
勉強会が長引いて、昼を食べる暇もなし。
次の予定も立て込んで、それで蕎麦をズルッとたぐる。

仙台駅前の「そばの神田」という小さなお店。
座れる席もあるけれど、基本、立ちそば。
夜中までもやっていて、この街で小腹が空くとここでズルンと蕎麦たぐるのがたのしみの店。
お店の横の工事囲いは、仙台ホテルの解体工事。
父の代からずっと仙台ではこのホテル、と決めて泊まっていた宿で、フレンチトーストがウットリするほどおいしかった。
たしかに古くて薄暗く、設備も老朽化してはいたけどこうしてスパッとなくなっちゃうのはかなり残念。
しかもココ。
再開発のために取り壊されるはずだったのに、再開発計画がまとまらず５年限定の仮設店舗ができるんだという。
ならばなんで急いだの？って、かなり切ない。
それだけ日本の景気先行き不安というコト…、さみしくなっちゃう。

気を取り直してココの蕎麦。
ちょっと細目の角がほとんどない蕎麦で、注文ごとに茹でてくれる。
だからちょっと待ちはする。
けれどその分、ツルンとなめらか。
みずみずしくて、蕎麦の風味もシッカリしてる。
冷たくすると喉越しさわやか、熱々にして食べてもあまり伸びずにそばの味わい壊れぬ頑丈なとこがボク好み。
今日は季節の商品の「牛肉つけ蕎麦」っていうのを選んでたのんでみます。
牛バラ肉を甘辛に煮て、あったかくした漬けダレに入れ冷たく〆た蕎麦をつけつつ食べる食べ方。
東京港区の「港屋」がはじめた流儀で、いろんな専門店が出来はした。
けれどなかなか定着しない、それでも最近、フレッシュネスが真似して店を展開しようと準備をしてる。
専門店は市場が小さく成功するかはわからないけど、こうして普通のそば屋の商品としてたのしめるのはいいんじゃないか…。
蕎麦は体によいけれど、サッパリしすぎて元気が出ない。
蕎麦を一緒に肉を食べるコトができれば…、ってニーズは必ずあるもので、今日も結構、これ、売れていた。
それも女性のお客様が立て続けにこれをたのんで食べていたのに、ちょっとビックリ。
おもしろい。

ここの漬けダレ。
かなり濃厚。
醤油の色で真っ黒で、まるで富山ブラックみたいな濃厚風味。
味はドッシリ。
魚の風味がガツンと強い、旨み、香りも濃厚な出汁がキチンときいてるからでありましょう。
醤油辛さをあまり感じぬ。
そばをトプンとかなりタップリ浸して食べても、十分おいしく味わえる。
肉の脂がタレに混じって、コッテリ味を足してくれ、脂の風味が甘みに変わる。
天ぷら油では得られぬ風味。
かなりタップリ七味を入れて、ズルズル食べると脂の甘みがなお引き立ってコクある味になるのがステキ。
やっぱりココの蕎麦は好き。

一緒にゴボウのかきあげたのんで追加した。
お皿に入れて、手渡す直前。
出汁をこれにかけましょうか？って。
サックリとした天ぷら衣を味わうのなら、そのまま食べればいいのだろうけどそば屋の天ぷらは出汁に使ってはじめて完成するものでしょう。
だから一言、お願いします…、と。
するとすかさず、温かいのにしましょうか？それとも冷たい出汁にしますか？と。
温かいのをかけてもらって、これもちょっとしたカスタマイズな感じだよネ…、って思ったりする。
噛めば噛むほど甘みと土の香りを発するゴボウのかきあげ…、味もなかなか、しっとり出汁を吸い込んだ衣もフワフワ、堪能す。
ほどよくお腹も満たされて、今日はも一つ、勉強会。

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2010/06/08 (Tue) 東京以外のレストラン Comment(6)

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無題

富山以外にもあるんですね…醤油ガツン。食べて見たいなぁ。他のお店も同じ様に悩んでいるんですね。僕もニッコリ頑張ろうと思いました。有難うございます。

変わり者ミダさん / 2010/06/08(Tue) /

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仙台！

懐かしい・・・。
親元を離れて初めて住んでいた町です。
仙台ホテル、なくなったんですね。ウチも、両親がやってくるときには宿泊は必ずココでした。多分、ある時期まで東北のフレンチを牽引したホテル、ですよね？

私は「素材の味」なるものを、この町で初めて学びました。一番町の稲毛屋のご夫婦は元気かなぁ。解体の許可を持っている鶏肉屋さんで、ここで出る蔵王地鶏の足（モモではなく）を、裏の祥撥順という老舗中華料理屋と取り合ったのがいい思い出です。あの足でとったスープのかきたま汁は、その後どこで足を見つけて作っても再現できません。あー懐かしい！

ウランさん / 2010/06/08(Tue) /

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がっつんです

> 変わり者ミダさん
でもやっぱり、富山ブラックのがっつんにはかないませんね。
久しぶりに食べたいなぁ…。
お客様とお店の気持ちの良い関係をどのように維持するのか…。
とても大きな問題ですね。
笑顔でがんばりましょ。

サカキシンイチロウさん / 2010/06/09(Wed) /

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素材の都

> ウランさん
仙台ホテルはボクにとっても思い出のホテルで、ちょっとセンチメンタルになっちゃいました。
確かに仙台という街。
素材に恵まれた街でもありますよね。
海の幸、山の幸、どちらにも恵まれていて、だから逆に料理文化が単調になってしまったのかなぁ…、と思うほど。
何を食べてもおいしい街だと思います。

サカキシンイチロウさん / 2010/06/09(Wed) /

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仙台は今が一番いい季節です。

もう、お戻りでしょうか。
仙台は、今が一番気持ちのいい季節です。
お楽しみいただけていれば嬉しいのですが。

がんこさん / 2010/06/09(Wed) /

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とてもたのしい一時でした

> がんこさん
仕事、仕事でユックリしたわけではないのですけれど、仙台という街のステキな夏の気配を感じる、良い出張でした。
これからはしばしば、仙台を訪れるチャンスに恵まれそうで、それにワクワク。
お気遣い、どうもありがとうございました。

サカキシンイチロウさん / 2010/06/10(Thu) /

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