神保町のミロンガヌオーバーでココアを飲んだ、冷たい雨のふる東京。
昼食を丸の内で終えてそれからちょっと気になるお店があって、神田淡路町まで移動をしました。
実は、さみしいニュースを聞いた。
神田の「フルーツパーラー万惣」という店。
東京を代表する老舗フルーツパーラーのひとつ。
特に本店にある喫茶室で食べることができるフルーツサンドとホットケーキがおいしいというので有名な店。
ところがそこが、今月末に閉店してしまう。
人気がなかったわけじゃないです。
丸ビルなんかにも出店していて、傍目には順調に経営しているようにみえた。
閉店のキッカケは、本店のビルの耐震性に不安があって建て替えなくちゃいけないんだけど、経済的な余力がないから。
本店だけじゃなくて支店も全部一斉に閉店してしまうというコトだった。
いろんな意味であまりにさみしい。
ココのパンケーキが食べられなくなるコトが哀しいと同時に、この会社。
おそらくすべての店舗の赤字を、本店ビルの家賃収入でまかなっていたのかもしれないなと、そう思うとなおさら切なく、今の日本の外食産業がおかれた危うい立場のコトを思ってしまう。
せめてあのホットケーキを食べて気持ちを落ち着けさせましょう、と思って行ったらなんと長蛇の行列で、とてもじゃないけど待ってまでもと、それでテクリと神保町まで歩いていった。
ミロンガヌオーバ。
時代を超えて生き残った、しなやかにしてしたたかなアルゼンチン・タンゴとコーヒーのお店であります。
静かでひっそりした小さな路地で、雨の降る日は一層シットリ。
歩く人すらまばらでけれど、ドアをあけるとお客様が食事をしたりコーヒー飲んだり、いつも通りの空気が流れる、ホッとする。
ニュースはたちまち行き渡り、それまでまるで無関心な人までひきつけ一瞬ブームを作るのだけど、しばらくするとそんな熱狂があったことすら誰も思い出さない時代。
ニュースと無縁であることが飲食店にはシアワセなコトなのかもしれない。
雨を歩いて来た靴の中。
ジットリ冷たく、綿のソックスがグッショリ濡れた。
考えれば考えるほど釈然とせぬ閉店ニュースに、気持ちもグッショリ濡れちゃった。
お店の隅っこ。
ストーブが置かれた横の椅子に座って、体も気持ちもあっためましょう。
そしてココアを飲みましょうか…、といつもはコーヒー飲むのだけれどポッテリ甘い飲み物にする。
ホットケーキを食べようと思って開けておいたお腹に、シナモントースト。
空気をタップリ含んでやけた田舎風のフランスパン。
薄切りにしてバターをタップリ。
コンガリ焼いて、そこに砂糖をシナモンたっぷり。
やってきた途端にシナモンの切ない香りが鼻をくすぐる。
齧るとサクリ。
トーストとラスクの間のような食感。
一口分がサクッと歯切れて、サクサク口の中でこわれる。
一緒にザラッとグラニュー糖が歯茎をくすぐり、たちまち溶ける…、後には焦げたパンとシナモンの香りが残ってニッコリとなる。
ココアにトプリとシナモントーストひたしてパクリと食べる。
舌に乗っかるポッテリとしたカフェモカみたいな香りのトースト…、まるで即席パンペルデュのようでお腹の疲れがフワッととれる、気持ちも明るくなりました!
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夜は家で作って食べる。
ステーキ焼きます。
オージービーフのサーロイン。
ほどよい品質のお肉を売っていて、それを使って夜のステーキ。
調理する1時間ほど前に冷蔵庫の中から出しとく。
温度をちょっと上げて、外気となじませておく。
それから塩。
胡椒をタップリ。
ほどこしたらばそこを下にして、チンチンに熱したスキレットの上におく。
しばらく動かさず、軽く煙が出てきたら肉を動かし焼き目を直角に付けていく。
塩を再びほどこして、ひっくり返して同じようにガンガン焼いて、休ませる。
うま味を含んだ肉汁が、完全に安定したらザクザク切って、ガツガツ食べる。
顎においしい。
脂をあんまりもたないかわりに、肉のうま味がシッカリしてて、あぁ、牛肉を今、食べているんだって気持ちになれる。
付け合せには季節の野菜…、菜花を炒める。
買ってきたのを水にしばらく活けるようにして、水飲み込ませてシャキシャキさせる。
塩水くぐらせ、それをオリーブオイルをひいたお鍋に入れて蓋してコンガリと焼く。
バチバチ音がしてそれで、焦げ目がついたら出来上がり。
菜の花も茹でるのと違ってうま味が凝縮されて、持ち前の苦さがビリッと強調される…、「もうすぐ春!」の味がする。
それから貝の刺身をあれこれ。
年中、安定して手に入る貝ではあるけど、春から夏にかけておいしくなるのが多い。
水がまだまだ冷たくて、けれど徐々にあたたかくなり栄養分が増えてくるとき。
今がまさに貝の正月。
それでかデパ地下で安く売っていた刺身。
赤貝。
ミル貝。
北寄にホタテ。
どれも身厚でプリプリしてて、貝によって歯ごたえ微妙に異なっている。
プルンとハリのある赤貝に、ホッキはサックリ。
ホタテはムッチリ、ネットリとしたミル貝は軽い渋みを発揮する。
歯ごたえ、味わいそれぞれ違って、けれどどれもが海のうま味を吐き出していく。
そのおいしさがドッシリ舌に居座る感じがオゴチソウ。
それからカニ。
ズワイガニの浜茹で。
一度も凍ったコトがないというのが売り文句で、なるほどフックラ。
殻からの身離れもよく、口の中でシットリほぐれるカニ独特の繊維がおいしい、テレビをみながらカニの身せせってかに酢に浸し、パクパク食べるとなんだか気持ちが華やかになる。
冷たい雨も部屋に入ればあたたかい。
明日にはちょっと用事があって、だから今晩、明日の分までユックリしましょう…、のんびりと。
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