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ヨツサン界隈はしご酒

四谷三丁目の駅の前にあるペンシルビル。
そこの２階にちょっと気になるお店が一軒…、「一杯屋」っていうお店。

レトロ居酒屋って言うサブタイトルがついていて、ビルの入り口におかれてる看板をかねた黒板に書かれた文字がとてもやさしく、どんな店なんだろう？
そう思っていた。
真剣に来ようと思った夏の一時期。
ずっとお店を閉めていて、それでなおさら来たい気持ちが募ってた。
今日見たら、お店の電気がついていてそれでよしよし、覗いてみよう…、と。

お店のドアを開けたらそこは、カウンターにテーブル４つの小さなバー。
笑顔のキレイな女将が一人で、料理を作ってサービスをする。
腹一杯を目的にせぬお店はとても久しぶり。
照明暗めで、それで画像がうまく撮れないお店もやっぱりひさしぶり（笑）。

トリハイたのんで、つまみをいくつか。
えびを叩いてミンチにしスティック状に揚げた春巻き。
ホツホツとした海老の弾力のある食感が、ゴージャス感を盛り上げる。
出汁巻き玉子の芯に巻いてる野菜はなんとセロリの葉っぱ。
ハーブの香りとシャキッと歯触り軽快な、自分で真似して作ってみたくなるオモシロサ。
浅漬けザーサイのおひたしや、ジャコと大葉の冷や奴など、手はそれほどかかってないけど気の利いたたのしい料理が沢山揃う。
ひとつひとつの作業は丁寧。
シットリとした女将さんの仕草や表情、言葉づかいがこの店一番のオゴチソウ。

それにしてもこのお店から眺める四ツ谷三丁目という街。
雑然として、なんだかちょっと色っぽい。
真っ正面にあるビルの、ちょうど目線の先にダンスホールがあって、社交ダンスのレッスン中。
お店の中には先客二組。
どちらもアダルト男女のカップル風で、なのに他人行儀に敬語で語り合う。
会話の内容のよそよそしさと不釣り合いなほど濃密な空気にちょっと当てられた（笑）。

ここで仕上げをするのは粋じゃないよね、と場所を移してサイゼリア。

一転、空気が明るく軽快。
ファミリー客やグループ客がワイワイしながら食事をする場。
金曜の夜のココのメインの客層は、仕事帰りの３、４人連れ。
ワインを飲んで料理をつまみ、会話をたのしみ騒いで帰る。
かつて居酒屋でたのしんでいた、そんな時間をこのサイゼリアで過ごす彼らは、もしかしたらばとても賢く正しいのかも…、って思ったりする。
ボクも今夜はその使い手でココを選んだ。
デカンタの赤をたのんでゴクッと、気軽でいいなぁ…、ってホッとする。

ボクらの後ろで真っ赤な顔をして飲んでいる陽気なサラリーマンの二人連れ。
なんとワインのマグナムボトルを一本おいて分け合っている。
１．５リットルのスーパーサイズ。
それで１０００円ちょっとなワケで、コストパフォーマンス抜群だわい…、って感心しました、でも真似はせぬ。
因みにメニューブックがあたらしいのに変わっていました。
メニューの中身はほとんど変わらず、茸系の料理が増えてた秋模様。

はじめてたのむ料理をいくつか。

グリーンピースのスープ炒めという料理。
本当は温泉玉子が上にのっているのだけれどそれは別添えにしてもらう。
折角の豆の風味や食感を、タマゴで壊してしまうのなんて忍びない。
コツコツ、奥歯を軽く叩く程度に食感残して仕上げた、甘くてやさしい豆料理。
口の中を転がる様もおもしろい。
それにしてもひとつひとつが、いとおしくなるほどに小さな粒の緑のお豆。
多分、家庭用の冷食や業務用の食品にするには小さすぎて、だから安く仕入れられるんでしょう。

日本の食品世界は不思議。
規格、規格でがんじがらめで、規格外になると途端に安くなる。
それで価値が損なわれるでなく、人の勝手な都合でいろんな約束事が出来ている。
なんて傲慢なんだろう…、って思ったりする、しょうがない。

これまたお初のカットステーキ。
一口大の程よいサイズの肉を集めて料理にしてる。
規格外の半端な肉が肩寄せ合っておいしく食べてと言っている…、そんな健気がかわいらしい。
ネギをタップリ。
そこにちょっとトロミのついたソースをかけて食べるので、不思議なほどにこれまたワインにあったりするのがおもしろい。

ショートパスタのアラビアータ。
日本のイタリアンレストランでは、ショートパスタは売れぬモノ。
って、長らく言われていたこの料理。
けれどココではかなりの人が、スパゲティーよりこのショートパスタを選んでる。
歯ごたえたのしい。
しかもとっても頑丈で、少々時間が経っても品質かわらない。
だから居酒屋づかいをするときなんかに、とても便利で売れるんでしょう。
行儀よく食べるコトを強要される、レストランでは売れないモノも、使い勝手と気分を変えて上げれば別の料理になって売れていく。
おもしろいなぁ…、ってふと思う。

ひーひー辛いチョリソをプチュンと噛みしめながら、アラビアータのソースを舐める。
本格的な料理と言うには気が引けるけど、ここで味わう時間は本格的にたのしい時間。
それでいいんだ…、って思ったりする、さてカエロ。

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2010/09/03 (Fri) ボクのご近所レストラン Comment(0)

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