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サカキシンイチロウノホトンドゼンブノブログ
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    サカキシンイチロウ
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    65
    性別:
    男性
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    1960/01/26
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    富山からたのしい仲間がやってきて、東京の繁盛店をみてまわりましょう…と、たのしい祝日。

    まずは銀座の冷麺の店。
    ぴょんぴょん舎 GINZA UNAという店で、盛岡冷麺発祥の店…、って言われることがある老舗。
    そこの東京における二号店。

    pyonpyon.jpg韓国冷麺とはまるで違った進化を遂げた、盛岡冷麺。
    太くてモッチリとした麺に、甘みを帯びた濃厚動物系のスープをあわせた日本の焼肉屋さんの冷麺といえば、韓国風じゃなくてこの盛岡風がデフォルトになってしまった。
    日本人好みの要素をキチンともっていたから。
    そのオリジナルをたしかめに来る。

    有楽町の駅近く。
    クセのある飲食店がテナントとして揃うキレイなビルの、上層階の景色見事なフロアーにある。
    予約したときの受け答えも的を射てて気持ちよく、くるのが楽しみだった店。
    11階建てのビルのエレベーターに乗り、最上階の11階で降りると太陽の光降り注ぐ明るい店内。
    入り口の真ん前にはガラス張りのオープンキッチン。
    そのモダンなしつらえと、お店のそこかしこに飾られたイーハトーブ風の小物や意匠が宮沢賢治的岩手県の雰囲気つくるたのしいバランス。

    ランチのメインは盛岡冷麺。

    0951b799.jpeg透き通ったクリアなスープ。
    ちょっとトロンととろみがついてて、スープが麺によりしがみつく。
    牛肉の脂の甘さ。
    発酵させた野菜が発するやさしい酸味。
    モッチリとした太い麺の歯ごたえ絶妙。

    日本の他の街では「焼肉の〆」でしかない冷麺を、盛岡の街の人たちはあくまで食事の「メイン」として愛おしむ。
    それだけの価値があるから冷麺を目的にお客様がやってくる。
    ただこれだけでお客様のお腹だけじゃなく、気持ちまでもを満たしてあげようと、一生懸命作り手が試行錯誤した結果でもある。
    価値ある一品。
    納得しながら、堪能す。

    好みの辛さで召し上がれ…、という心配りなのでしょう。

    0690b10c.jpegキムチが別に添えられてくる。
    全部入れればかなり辛めで楽しむことができるという。
    最初に辛味を入れずに、牛骨スープの旨味をたのしみ、徐々にキムチを投入し、赤らんだキムチの周りだけをズズっとすすって辛味をたのしむような、そんな自由がなかなかたのしいアイディアでしょう。
    全部いれても決してヒーハー、しない程度の辛さというのが「銀座風」かな?
    辛モノ好きにはいささかちょっと物足りないのが、ちと残念。
    まぁ、しょうがない。
    これは辛さじゃなくて、旨味を味わう料理なのでありましょうから。

    この冷麺に、ビビンバだったりカルビだったり、あるいは石焼ご飯をつけたりすることができるようにもなっていて、例えばチヂミ。

    21154f71.jpeg太い白ネギを時間をかけて、粉と一緒に鉄板で焼く。
    ネギの芯がトロトロになり、甘いのなんの。
    チヂミと言えば、ニラやネギの旨味を味わう料理でもあり、そういう意味ではこれも正しいチヂミであろうと思いはする。
    けれどネギの容赦ない程の甘みを引き出すこの料理。
    韓国風ではなくて日本風。
    カルビも日本の焼肉風。
    単品でためしたスンドブチゲもやっぱりどこか、日本の料理の味がする。

    韓国生まれの韓国料理ではない料理。
    日本が産んだ、韓国風の日本料理の最高峰の一つがココの料理なのかなぁ…、って、そんなことを思ったりした。
    ちなみにこの日記のカテゴリーを、アジアの料理にしようか、それとも日本の料理とするべきか、かなり悩んで、やっぱりこれは日本の料理とするべきだろう…、ってそう考えた。
    アジアの中の日本の岩手。
    その盛岡の郷土料理である以上、日本の料理とするのがやっぱり居心地がよい。
    それでもかなり、お気に入り。

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    実は昨日、夜に何を食べようか?と、悩んだときの選択肢。
    そのひとつに揚がっていたのが「とんかつ」だった。
    不思議なことに、暑くて体がへたりはじめる寸前に、揚げ物のようなモノ欲してしまう瞬間がある。
    ほんの一瞬。
    本当に暑さに体が負けはじめると、脂っこいモノを受け付けなくなってしまうけど、その手前。

    ヨシ、今日こそはとんかつにしよう…、と、勇んできます。
    新宿「三太」。

    santa.jpg実は新宿にはとんかつ専門店の老舗が多い。
    東京を走る地下鉄の、一番古いのは昭和初期にできた銀座線。
    二番目に古いのが、戦後にできた丸ノ内線という順番で、だから銀座線の沿線には昭和初期の飲食店の専門店が目白押し。
    浅草、上野、銀座、赤坂とそれぞれの街にはそばと天ぷらの名店がある。
    一方、丸ノ内線の沿線都市には昭和中盤のご馳走料理。
    洋食やとんかつの有名店が多かったりする。
    ボクの中では「銀座線は天ぷらライン」「丸ノ内線はトンカツライン」…、ってそんな具合に刷り込まれてる。
    あながち外れじゃない…、感じ。

    そんな新宿にあるトンカツの店。
    豚汁、おいしい王ろじなる店。
    肉の熟成で勝負をしているにいむらや、トンカツ茶漬けのすゞやであるとか、それぞれの店がそれぞれ独自の特徴だして、がんばっている。
    同じ業種のお店がギュギュっとたくさんいっぱい集まると、多様なお店が育ってく。
    ショッピングセンターの中に好んで出店するような「平均点」のお店は自然と淘汰されてなくなっていく、それが好き。

    そしてこの店。

    1eb326b2.jpegパン粉がとてもおもしろい。
    「粉」ではなくて、細かく切った千切りパンをフワッと揚げてカツにする。
    まるで花が咲いたような特徴のある姿形で、普通、粗くて大きなパン粉を使うと脂っこい揚がりになってしまう。
    けれどここの。
    揚がったパンがサクサク、ホロホロ、口の中で砕ける食感、とても軽やか。
    中の具材と一緒にジュワッと油が滲んできはするけれど、それが決して嫌じゃない。
    油の旨味が体の隅々に行き渡り、潤滑油のようになるのがおいしい。

    この揚げ方やこのパン粉。
    家では絶対、真似できないし、したくない。
    お店に来なくちゃたのしめぬ、こうした差別化、特徴出し方、…悪くないなぁっていつも思って感心をする。

    ミックスフライ。

    ce034032.jpegエビが二本に、ホタテのフライ。
    クリームコロッケ、それからヒレカツ。
    食べたい物が食べたいように揃ってる、とてもバランスとれた一皿。

    トンカツにして肉の旨味と脂の風味をほどよく一緒に味わおう…、とそう思ったらロースが一番。
    けれどロースという肉。
    当たり外れが多くって、同じ豚でも一本のロースのどこを揚げるかで味がまるで変わってきちゃう。
    その点、ヒレは同じ豚ならどこを食べてもほぼ同じ。
    安定してて、安心できる。
    仕事でトンカツ食べるときには、ロースを食べる。
    4、5人で行って、みんなが同じロースを食べて違いをたしかめ、その店の力量を調べるような意地悪をする。
    でもただただ自分の楽しみのためにカツを食べようと思ったときは、ヒレを食べます。
    臆病者(笑)であります故の、ヒレマニア。

    今日のヒレもいつものごとく、クチャっと奥歯で潰れて肉汁、ジュワッと吐き出す旨さ。
    みずみずしさに、ウットリします。
    やわらかく、でも歯ごたえのあるテクスチャ。
    たくましいこと…、ご馳走です。
    プチュンと歯切れるエビの食感、それから甘み。
    ホタテのホロンととろける消えるなめらかさ。
    何よりおいしく好きなのが、クリームコロッケのベシャメルソースが揚がったパンとひとつになるとこ。
    カツとは違ったちょっとよそ行き、西洋料理。

    c6ffe47b.jpegちなみにこの店。
    テーブルじゃなくカウンターに座ってあげると、食前酒に食後のデザートをサービスしてくれたりします。
    お一人様にやさしい配慮。

    目の前で揚げてくれる正真正銘の揚げ立てが味わえるのもいい。
    しかもパチパチカラコロ、軽く揚がってくBGM付き。
    そしてなによりステキなことに、油の前に小一時間も座ってて、油の匂いが体につかない。
    それが驚き…、おもしろい。

    ご飯、お代わり。
    キャベツもお代わり。
    一杯食べて、元気になった、ありがとう。


    ところで…。

    ドイツを代表する革製品メーカー「ゴールドファイル」。
    ドイツ本社が昨年の夏、破産申請をし粛々と清算手続きがなされています。
    そして先日、6月末日をもって銀座にあったフラッグシップショップが閉店。

    goldpfeil.jpg閉店セールには入場規制がかかるほどの、まあよくありがちな夏の終わりの花火のごときなやましさでもあったよう。

    なめらかな鞣し皮。
    深みのあるボルドーレッドに控え目なロゴ。
    つややかで、柔らかなのにハリがあり、多少のことではへこたれぬ「実用品としての品格」溢れるよき革製品を彼らはずっと作ってた。
    いくつかボクも買ったことがある。
    でも若造が持ちこなすには、いささか格が高かくてそれで、そのほとんどを父に譲った。
    父の日本人にしては明るく白い肌の色。
    それに堂々とした立ち居振る舞いにそれらがとてもよく似合い、大人が持つべき上等にウットリとしつつ、ボクもはやく追いつかなくちゃ…、と思ったりした。
    15年ほども前のコト。

    今でも一個。
    財布がひとつ残ってて、でもまだそれが似合うようには思えぬ歯痒さ。
    ブランド自体もなくなってしまうとしたらかなり残念。
    どうなるのかなぁ…。
    なやましい。

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    酸っぱいモノが食べたいなぁ…。
    友人たちと集まって、何を食べようって思案する。
    体温近くにまで上がった今日の気温にお腹が反乱したようで、だからスッキリ、酸っぱいモノで消化活動を助けてやりたい。
    とはいえサッパリしたものを食べたいのか?っていうと、お腹はすいてる。
    どうしよう…。

    そうだ、しゃぶしゃぶの食べ放題に行ってみようか…、と。
    それで「鍋ぞう」。

    nabezo.jpg首都圏にかなりの店舗数を展開しているチェーン店で、お手軽しゃぶしゃぶ食べ放題のさきがけ「もーもーパラダイス」の発展形。
    そのもーもーパラダイスには昔大変お世話になった。
    腹ぺこのとき。
    あるいは海外から友人がやってきたとき、とりあえずここに来とけばなんとかなった。
    学食ノリのエネルギーに満ちあふれた雰囲気が、決して嫌いではないのだけれど、おじさん世代にはいささか厳しい。
    で、大人バージョンの鍋ぞうで…、ということとあいなったワケ。

    照明をおとした落ち着いた雰囲気と、クラブっぽい艶かしいBGM。
    雰囲気だけじゃなく、お店の人のサービスもなかなかのモノ。
    テーブル担当の人がまずとんできて、サービスチケット付きの名刺を渡す。
    注文しようと顔を上げると、気配を感じてやってくる。
    空いたお皿はこまめに片付けにやってくるし、その都度、何か必要な物はありますか?って。
    悪くない店…、いい感じ。

    普通のしゃぶしゃぶや韓国風の辛鍋、あるいはすき焼きと何種類かある鍋の中から、二種類選んで、ひとつの鍋で同時にたのしむことができる商品がある。
    おもしろいネ…、とそれにする。

    670d3e57.jpegしゃぶしゃぶ、それからすき焼きという組み合わせ。
    陰陽模様の勾玉型の鍋の片方にはしゃぶしゃぶ用のテールスープ。
    もう片方にはすきやき用の割り下があらかじめ入ってて、だからすき「焼き」というよりもすき「煮」のような作り方。
    薄切りの肉を甘辛い割り下の中でしゃぶしゃぶしながら食べるのも、また乙な物。
    脂が落ちてあっさりとするのが、大人のお腹にありがたい。

    肉は牛肉と豚肉。
    どちらも脂少なめの薄切りスライス。
    野菜はサラダバーのようなセルフで選べる場所があり、そこから自由に好きな物を好きなだけ。
    おもしろいほどに人によって選んでくるものが違ってたのしい。
    白菜ばかりをとってくる人。
    野菜や茸をまんべんなく、チョッとづつキレイにお皿に盛ってくる人。
    ボクの今日のブームは春雨と麩。

    be35f20b.jpegまずは春雨をしゃぶしゃぶ用のスープに入れて、ポン酢で食べる。
    チュルチュル、スルスル、酸っぱあったかいモチモチの糸が喉を伝ってお腹をなでる。
    すき焼きの傍らでお麩を煮る。
    甘辛いタレをゴクゴク飲み込み、プルンプルンに膨らんでいく。
    そのプルプルを箸でもちあげ、舌に乗っけてクチャっとやると、肉の旨味を含んだ出汁がジュワッと滲む。
    今日一番のおゴチソウ。

    おじさんたちの胃袋は肉、数回のお替わりでもうほぼ満足。
    あとは野菜でお腹の残りを埋めませう…、とちょっと弱気になってしまう。
    けれど若い女性ばかりのグループの粘り強くて、どん欲なこと。
    お肉を一人で、2皿、3皿とお代わりをして肉皿の山が続々できる。
    こりゃかなわんなぁ…、と思ったりした。
    腹一杯。

    汗かく食後に、セガフレードにて飲むデザートにする。

    43e7e508.jpeg季節の飲み物「ジンジャーレモーネ」。
    ウィルキンソンのジンジャエールを使っているのでありましょう…。
    ビリビリするほど辛味があって、生姜独特の香りも風味もとても豊かで味が濃い。
    大きな泡の強いソーダに、フレッシュレモンをタップリ搾る。
    酸味も強烈。
    お腹も口もスキっとリセット。
    それと一緒にブラッドオレンジのグラニータ。
    スタバでいうところのフラペチーノみたいなクラッシュアイスでシャーベット状にした飲み物だけど、ここのは甘みがスッキリしててゴクゴク飲める。
    冷たく、たのしく、汗が引く。


    夜なお暑い、今日の一日のしめくくりにコレ。

    Niagara Falls in Motion from Matthew Wartman on Vimeo.


    ニコンの最新デジカメで撮影された、ナイアガラの滝。
    明日が今日より少しでも、しのぎ易い一日になりますように。
    おやすみなさい、ごきげんよう。

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    勉強会を一段落させ、それで遅めの昼ご飯。

    「おひつ膳・田んぼ」という店。

    tanbo.jpgご飯がおいしいをうたい文句にしているお店。
    志の高い生産者が作った素性正しいお米をひとつひとつ丁寧に、昔ながらのやり方で炊く。
    ご飯がおいしいお店が増えてはいるけど、多分、ここはそのさきがけの店。
    もう15年ほども前からずっと、変わらぬやり方を守ってる。
    今でこそおいしいお米にお金をはらう人も増えたけど、昔は苦労もあったでしょうネ…、一度はかなり増えたお店も今では3軒、こじんまり。

    炊いたご飯をおひつにうつして、木のしゃもじ付きでやってくる。
    蓋をあけると湯気と一緒に炊けたお米のムワっとするよな甘い香りが立ちのぼってくる。
    そういえば、昔、ご飯は炊いたらおひつにうつしておくのが普通でしたね。
    木のおひつ。
    蓋に溜まった蒸気がご飯を濡らさぬようにと、布巾をはさんでおいたりしてた。
    電子ジャーがなかった時代。

    サバの味噌煮がメインのおかずの昼のお膳。

    00c9fad9.jpeg身厚の脂ののったサバの切り身に卵焼き。
    梅干しと山椒、ふきのとうを叩いて混ぜて練った味噌。
    味付け海苔に菜っ葉の煮たのに、お茶漬け用の玄米茶。
    おかずはどれも、飛び上がる程おいしい訳ではないけれど、ひとつひとつが丁寧でご飯の味をひきたてるのに十分なモノ。
    どれを食べてもその次に、ご飯を口がおねだりするよな、そんな味わい。
    とはいえ、お膳の主役はやっぱり炊きたてご飯でありましょう!
    おかずはなくともただそれだけで十分おいしく、これならいくらだって食べられる。

    茶碗に軽く3杯分ほどのご飯がおひつに入ってる。
    2杯はそのままおかずと一緒にたのしんで、最後の1杯はお茶漬けにする。

    fb9af238.jpegお茶を注いでまずはそのままサラサラといく。
    固めのご飯の一粒一粒がお茶でほぐれて、舌の上を転がっていく。
    ご飯をそのまま食べるときよりも、お米ひとつひとつの形がわかるような気がする。
    お茶とご飯だけなのに、まるでお出汁をかけたかのような風味や味がしてくるようで、なんとも不思議。
    味付け海苔を刻んだのをふわっとのせて、サラサラすると塩味、旨味がお茶に溶け出し、まるで即席出汁のような味わいになる。

    おひつの中のご飯粒をひとつのこらずこそげとり、しゃもじについた飯粒までもをお茶で洗うよにしてキレイにとって、サラサラとした。
    茶碗もピカピカ。
    こんなおいしいご飯を残してしまったら、勿体なくて申し訳ない。
    そんな気持ちのおごちそう。

    食後の時間をタリーズのアイスエスプレッソでぼんやりとする。

    0cb823a2.jpeg氷の上にエスプレッソ。
    小さなカップにダブルショットを投入し、コーヒーの持つ苦みや酸味をそのまま氷でキュキュッと冷やして閉じ込める。
    エスプレッソ特有の泡が氷にまとわりついて、喉に滑らか。
    唇わって、口に入って温度が上がると、一気に香りが花開く。
    ビターな味がおわるとゆっくり、口いっぱいに甘みが広がる。
    頭がシャキッと、疲れがとれる。

    さてさて移動をいたしましょう。

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    神田という町。
    電車の駅でいえば、神田、秋葉原、お茶の水。
    東京駅の手前から日本橋のちょっと先まで、かなり広い地域に広がる江戸な町。
    中心があるでなく。
    神田という町を代表するような目抜き通りがあるでなく。
    町全体が町外れ。
    …、みたいな不思議にのんびりとして、鄙びた感がステキなところ。

    そんな神田にとけ込むようにたたずんでいるお店に来ます。

    「むらた」という店。

    P1050505.JPGボクの中で「むらた」といえば、二つの「むらた」が昔からある。
    一つは「無量塔」。
    湯布院にある愛すべきステキな旅館。
    もうひとつは麻布十番にある、釜炊きご飯がおいしい「むら田」。
    どちらもご飯がおいしい上に、のんびりできるのどかな雰囲気が大好きで、でも神田にもこれまたほどよい「むらた」があるんだよ…、って。
    場所は岩本町の駅からも、神田の駅からも中途半端に時間のかかる不便なところ。
    けれど、そんな不便もわざわざ感をあおるご馳走。

    お店はまさにしおれた感じ。
    すきやき、しゃぶしゃぶ、トンカツの店…、と言ってはいるけどココの名物は蛤鍋。
    今日はそれを食べにきました。
    ワクワク、ドキドキ、たのしみです。

    まずは前菜。
    おまたせしました…、ってやってきたのが、トンカツ、それから海老フライ。

    P1050512.JPGさすがであります。
    ここの昼はほぼトンカツの専門店。
    そうしたお店が、夜に揚げ物メインのコースを作ってもてなす…、ってのは自然だけれど、面白みのないコト。
    どこにでもないお店になろう…、とそれでメインは夜にこなくちゃ食べれぬ料理を作ってふるまう。
    かわりに昼の名物を夜は前菜で召し上がれ…、という考えてみればなんたる贅沢。
    これもありだネ。
    おもしろい。

    細かなパン粉をうっすらまとった、だから素材の旨味がスパッとストレートに伝わってくる。
    確かにこれなら前菜としてもOKぇーヨ…、って感じの一品。
    特にエビ。
    お皿の上からエビの甘い香りが漂ってくる、海のご馳走。
    カサカサ、プチュン。
    ムチムチ、プルンと口で暴れて、名残惜しげにおなかにストンと入ってく。

    そして真打ち。
    蛤の鍋。

    P1050515.JPGうどんすきを作るときのよな、平たい鍋に味噌の出汁。

    鍋ががのっかるコンロがかわいい。
    淡い緑色のホウロウ引きのコロンとした形のコンロで、これ、どこで売ってるんですか?って、聞いたら、私がここで勤め始めたときからずっと、これ使ってますんで、どこで売っているかはちとわからない…、って。
    さすが老舗でござります。

    白菜、大根、ほうれん草。
    ネギに木綿の豆腐に麩。
    結んだ糸こんにゃくが一つの皿に盛り込まれ、それだけみるとすき焼きのざく。
    それに大振りの蛤の山。
    一粒が、ちょうど手のひらの窪みをきっちり隠すほどの大きさに、おおっと声が思わずあがる。
    しかも粒の揃った蛤の、その表面が見事にピカピカ、きれいに光る。

    丁寧に下準備されているのでありましょう…、出汁がクツクツ沸き立つ頃合い、狙って貝を投入。

    P1050516.JPGザザっと一気に流し込んだら、あらあら、できれば食べる分だけ沈めてやって欲しかったのに…。
    口が開いたらすぐに食べなきゃ、身が固くなる。
    …、ってしかられました。
    ああ、やっちゃった。
    鍋の端に土手のように山積みしたまま、下から徐々に食べて行く。

    身厚でプルンと、ベリーレアな蛤のなまめかしいほどの歯ごたえ見事。
    旨味タップリ。
    はっふはっふと無口になって、殻から身をはがす。
    部屋に響くのは空っぽの殻がお皿にカラカラ転がる音だけ。
    あっという間に、一人20個ほどの貝がきれいになくなった。

    汁を飲みます。
    貝の旨味がタップリ溶けた、おいしいのにもほどある汁。
    そこに野菜を投入し、クツクツ煮てはハフハフ食べる。
    豆腐を食べれば、豆の風味と対等に張り合うほどに貝の風味が力強い。
    ネギも大根もどれも貝の香りがついて、まるで違った野菜のように感じるたのしさ。

    汁を飲みます。
    すると今後は白菜の、甘みがたっぷりとけ込んで、ああ、この汁を水筒に入れもってかえって明日の朝にでも使いたい…、ってそんなコトさえ思ってしまう。

    そして〆。

    P1050533.JPGサラサラご飯を汁に入れ、ひと煮立てさせそこにネギ。
    タプンタプンと玉子を溶いて、タラタラタラっと鍋に注いで沸騰させる。
    そして火を止めしばらく蒸らして、出来上がり。

    この料理。
    最後の〆に向かってばく進して行く、そのカタルシスを味わう料理。
    貝の旨味と野菜の味がひとつになって、ご飯と一緒に舌から喉に行進して行く、なんたるご馳走。
    不思議なことに、味噌の匂いがほとんどしない。
    旨味は多分、残ってて、貝や野菜の旨味を支える舞台を作っているのだろうけど、あまりに控え目。
    他の風味を邪魔しない。
    ビックリしました。
    はまります。

    いい店一軒、また来ます。

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