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2024/11/24 (Sun)
とんかつ三太
実は昨日、夜に何を食べようか?と、悩んだときの選択肢。
そのひとつに揚がっていたのが「とんかつ」だった。
不思議なことに、暑くて体がへたりはじめる寸前に、揚げ物のようなモノ欲してしまう瞬間がある。
ほんの一瞬。
本当に暑さに体が負けはじめると、脂っこいモノを受け付けなくなってしまうけど、その手前。
ヨシ、今日こそはとんかつにしよう…、と、勇んできます。
新宿「三太」。
実は新宿にはとんかつ専門店の老舗が多い。
東京を走る地下鉄の、一番古いのは昭和初期にできた銀座線。
二番目に古いのが、戦後にできた丸ノ内線という順番で、だから銀座線の沿線には昭和初期の飲食店の専門店が目白押し。
浅草、上野、銀座、赤坂とそれぞれの街にはそばと天ぷらの名店がある。
一方、丸ノ内線の沿線都市には昭和中盤のご馳走料理。
洋食やとんかつの有名店が多かったりする。
ボクの中では「銀座線は天ぷらライン」「丸ノ内線はトンカツライン」…、ってそんな具合に刷り込まれてる。
あながち外れじゃない…、感じ。
そんな新宿にあるトンカツの店。
豚汁、おいしい王ろじなる店。
肉の熟成で勝負をしているにいむらや、トンカツ茶漬けのすゞやであるとか、それぞれの店がそれぞれ独自の特徴だして、がんばっている。
同じ業種のお店がギュギュっとたくさんいっぱい集まると、多様なお店が育ってく。
ショッピングセンターの中に好んで出店するような「平均点」のお店は自然と淘汰されてなくなっていく、それが好き。
そしてこの店。
パン粉がとてもおもしろい。
「粉」ではなくて、細かく切った千切りパンをフワッと揚げてカツにする。
まるで花が咲いたような特徴のある姿形で、普通、粗くて大きなパン粉を使うと脂っこい揚がりになってしまう。
けれどここの。
揚がったパンがサクサク、ホロホロ、口の中で砕ける食感、とても軽やか。
中の具材と一緒にジュワッと油が滲んできはするけれど、それが決して嫌じゃない。
油の旨味が体の隅々に行き渡り、潤滑油のようになるのがおいしい。
この揚げ方やこのパン粉。
家では絶対、真似できないし、したくない。
お店に来なくちゃたのしめぬ、こうした差別化、特徴出し方、…悪くないなぁっていつも思って感心をする。
ミックスフライ。
エビが二本に、ホタテのフライ。
クリームコロッケ、それからヒレカツ。
食べたい物が食べたいように揃ってる、とてもバランスとれた一皿。
トンカツにして肉の旨味と脂の風味をほどよく一緒に味わおう…、とそう思ったらロースが一番。
けれどロースという肉。
当たり外れが多くって、同じ豚でも一本のロースのどこを揚げるかで味がまるで変わってきちゃう。
その点、ヒレは同じ豚ならどこを食べてもほぼ同じ。
安定してて、安心できる。
仕事でトンカツ食べるときには、ロースを食べる。
4、5人で行って、みんなが同じロースを食べて違いをたしかめ、その店の力量を調べるような意地悪をする。
でもただただ自分の楽しみのためにカツを食べようと思ったときは、ヒレを食べます。
臆病者(笑)であります故の、ヒレマニア。
今日のヒレもいつものごとく、クチャっと奥歯で潰れて肉汁、ジュワッと吐き出す旨さ。
みずみずしさに、ウットリします。
やわらかく、でも歯ごたえのあるテクスチャ。
たくましいこと…、ご馳走です。
プチュンと歯切れるエビの食感、それから甘み。
ホタテのホロンととろける消えるなめらかさ。
何よりおいしく好きなのが、クリームコロッケのベシャメルソースが揚がったパンとひとつになるとこ。
カツとは違ったちょっとよそ行き、西洋料理。
ちなみにこの店。
テーブルじゃなくカウンターに座ってあげると、食前酒に食後のデザートをサービスしてくれたりします。
お一人様にやさしい配慮。
目の前で揚げてくれる正真正銘の揚げ立てが味わえるのもいい。
しかもパチパチカラコロ、軽く揚がってくBGM付き。
そしてなによりステキなことに、油の前に小一時間も座ってて、油の匂いが体につかない。
それが驚き…、おもしろい。
ご飯、お代わり。
キャベツもお代わり。
一杯食べて、元気になった、ありがとう。
ところで…。
ドイツを代表する革製品メーカー「ゴールドファイル」。
ドイツ本社が昨年の夏、破産申請をし粛々と清算手続きがなされています。
そして先日、6月末日をもって銀座にあったフラッグシップショップが閉店。
閉店セールには入場規制がかかるほどの、まあよくありがちな夏の終わりの花火のごときなやましさでもあったよう。
なめらかな鞣し皮。
深みのあるボルドーレッドに控え目なロゴ。
つややかで、柔らかなのにハリがあり、多少のことではへこたれぬ「実用品としての品格」溢れるよき革製品を彼らはずっと作ってた。
いくつかボクも買ったことがある。
でも若造が持ちこなすには、いささか格が高かくてそれで、そのほとんどを父に譲った。
父の日本人にしては明るく白い肌の色。
それに堂々とした立ち居振る舞いにそれらがとてもよく似合い、大人が持つべき上等にウットリとしつつ、ボクもはやく追いつかなくちゃ…、と思ったりした。
15年ほども前のコト。
今でも一個。
財布がひとつ残ってて、でもまだそれが似合うようには思えぬ歯痒さ。
ブランド自体もなくなってしまうとしたらかなり残念。
どうなるのかなぁ…。
なやましい。
[0回]
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2009/07/16 (Thu)
日記 : 日本の料理
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ゴールドファイル.
帝国ホテルにあったんですよね.
こちらもChristian LacroixやVERONIQUE BRANQUINHOがよくないお知らせ.
ただ服屋さんと違って,皮を扱うお仕事は,職人さんの行く末を案じてしまいます.
不況いやですね……
佐藤Rさん / 2009/07/17(Fri) /
編集
ラクロア
> 佐藤Rさん
帝国ホテルのお店が移転する形で、銀座に立派なお店が出来たのに…。
残念なことです。
ラクロアのオートクチュールは夢見るドレスの代表格。
時代に翻弄されている、ということでしょうか。
夢見る時代になってほしいですね。
サカキシンイチロウさん / 2009/07/17(Fri) /
編集
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