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サカキシンイチロウノホトンドゼンブノブログ
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    サカキシンイチロウ
    年齢:
    65
    性別:
    男性
    誕生日:
    1960/01/26
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    ひさしぶりに東京駅で朝。
    初藤にくる。

    htf.jpg自宅の四谷三丁目と東京駅。
    地下鉄一本でつながっていはいるのだけれど、その地下鉄がつく場所というのが丸の内側。
    このお店があるのが八重洲側と真反対にて、それで気軽にやってくることが出来なくなってた。
    新幹線で移動を控えた今朝と言う、このチャンスを活かした久しぶり。
    夏休みというコトもあるのでしょう。
    ショートパンツに帽子をかぶったちびっ子連れのお父さんが、券売機の前で孤軍奮闘。
    大人は面倒が嫌いなもので、定食のボタンをポチっと一つ押せばいい。
    でも子供。
    食べたいものや食べたくないものに正直で、定食じゃなく単品を組み合わせながら自分用のお膳を一から作ってく。
    お父さんは汗だくで、それを見かねたお店の人が「食券を買わなくていいですよ、まずは座って何を食べたいか思う存分、悩んでください。ご注文は決まった頃に聞きにきますから」って。
    ここのお店のサービススタッフ。
    宝塚系の凛々しいおばさんと、いつもほがらかで陽気なおばさんの二人で切り盛り。
    どちらも機転が利いてて親切。
    救われたような顔をした、父さん、子供の手を引いてテーブルにつく。
    まずはめでたし。

    玉子焼きの定食の、味噌汁部分を豚汁に変えてもらって今日の朝。

    05195b72.jpeg玉子3個分の卵焼き。
    昔はみりんをたっぷり使って、テラテラとした焦げ目きれいな甘い甘ぁい卵焼きだった。
    けれど今年に入ってから、砂糖で甘みをほんのりつけたふんわかとしたのに変身遂げた。
    職人さんが変わったんですか?って聞いたら、それもそうなんだけど、健康気にするお客様から甘くないのは出来ないの…、って言われることが多くなり、それでほどよい甘さのになったみたい…、って。
    朝の糖分は脳のご馳走、値千金ではありますけれど、たしかに時代は「甘くないから体にいい」な方向なのでありましょう。

    ほどよく甘い、ほどよく旨い。
    切り干し大根。
    キュウリとワカメの甘酢和え。
    海苔にご飯と、お盆の上もにぎやかに朝のご馳走、モグモグ食べる。

    それにしてもここの豚汁。

    03c6d4b6.jpeg旨いです。
    豚汁定食ってのがあるように、ただこれだけでご飯が一膳食べられる程、具沢山で食べ応えがある。
    豚肉、大根、ニンジン、こんにゃく、それから豆腐。
    野菜と肉の煮物がたまたま、汁が多めに仕上がった…、そんな感覚。
    出汁がしっかりきいていて、味噌も濃厚。
    なにより野菜の旨味と、豚の脂がとけ込んだ汁がなんともおいしくて、お腹だけじゃなく気持ちがぽかぽかあったまる。

    運送関係の作業員の人たちでしょうか?…、作業服の人たちがゾロっと4人でやってきます。
    入り口で買った食券を一人一人手渡しながら、ご飯、大盛りに出来るかなぁ…、って。
    おばさん笑顔で、出来ますよ。
    オレ、大盛りで。
    オレは超大盛りでね…、って言う中、ひとりの人がダダっと外に飛び出して戻ってくるなり食券渡して、「これは大盛りにはならないよねぇ」って。

    b6cd6cb4.jpeg表の壁に貼り付くようにしつらえられた商品サンプルを確かめに行ったのでしょう。
    多分、かき揚げうどんの定食だったんでしょう。
    それにはご飯じゃなくっておにぎりがセットになってて、おにぎりはさすがに大きくならないでしょう?…って、それを確かめたかったのだろうと思う。
    おばさん、しばらく考えてた。
    そしてニッコリ。
    いいわよぉ…、もしおにぎりじゃなくてご飯と海苔でよければ大盛りにして上げる。
    腹ペコだから、それでいいですって、彼はいう。

    しばらくして、うどんと丼飯がのっかったお膳がそこにやってきて、途端にみんなが歓声上げる。
    首をのばして覗いてみれば、大盛りご飯の上にこんもり、昆布の佃煮が乗っかっていてその真ん中に梅干しがポンっ。
    おばさん、一言。
    おにぎりを握らずにすんで手間が省けて、ありがとう。
    代わりにおにぎりの中の具材をのっけてきたから、もし良かったら自分でおむすび握ってネ!って。

    こんな機転とやさしさが、朝の気持ちを幸せにする。
    今日は浜松。
    日帰りの旅。

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    銀座で昼。
    古窯って店でビーフシチュー。

    1d80a3bb.jpeg料理が旨い、で有名な山形の温泉旅館「古窯」が運営してる日本料理店。
    夜やってくると山形牛のステーキやすき焼きをメインにしたコース料理をたのしむことができるという。
    温泉旅館に泊まると不思議なことに、そこが山の中にあろうがどこであろうが刺身がでてきて、最後のご飯が炊き込みで…、とどこも同じ料理が出てきてげんなり、っていうことがある。
    けれど古窯って旅館にいくと、肉が主役の食事ができて、それで人気を取っているというその旅館の料理を銀座でどうぞ…、ってたのしい趣向。
    そこの昼。
    やはり肉をメインにすえて、ビーフシチューが主役のランチ。
    おもしろい。

    天気予報では今日はしのぎやすくなるでしょう…、って言っていた。
    けれどなんだか蒸し暑い。
    空は高くて雲もチリヂリ。
    夏の分厚くポッテリとした雲と違って、まるで刷毛で白いペンキを描いたような秋の雲。
    なのに地上はまだ夏真っ盛り。
    汗をふき拭き、お店に来ます。

    ランチの定食。

    2381df0d.jpeg土鍋に入ったシチューがグツグツ。
    ワタシが主役でございます!と、お膳の真ん中にどんと構える。
    めでたくて良い。
    和食のランチは繊細ではあり、体によくとも力が出ない。
    そんな景色がほとんどだけど、こうしてメインに肉がくる。
    この濃厚とこの湯気と、このツヤそしてこの香り。

    シチューではある。
    けれど、よく煮込まれた牛肉以外は、里芋、豆腐や結びこんにゃく。
    日本料理の焚きあわせに入ってるような具が入ってて、それがなんだかおもしろい。
    温泉玉子がポッテリのって、グツグツゆれるソースの中でコトコト揺れる.
    洋食屋さんのシチューと違った、コクはあるけどサッパリとした和風のシチュー。
    ゼラチン質のとろみじゃなくて、葛でポッテリまとめたようなスッキリとしたトロミもやさしく、これはこれにてたのしい料理。

    ご飯がつきます。

    5adf44cf.jpeg山形が誇る地の米を、堅めにコツっと炊き上げたご飯の他に、なんとパンが一枚お膳の脇に置かれてる。
    シチューのソース。
    それをこれにタップリつけて食べてください…、って心くばりで、なんともうれしい。
    シチューとご飯っていう組み合わせも当然おいしい。
    日本人でありますからして、シチューの鍋にご飯を入れて食べたくなったりするくらい。
    けれど、パンでぬぐって食べるシチューの味はやっぱり格別。
    焼けたパンの端っこの小麦の香り。
    カサッと乾いた食感が、マッタリとしたシチューを引き立てちょっとお洒落な味わいとなる。
    いい工夫。
    サラダに味噌汁。
    さくらんぼうの漬け物までつき、一揃え。

    夏のサービス。

    deb524dd.jpegかき氷をデザートに…、とイチゴシロップに練乳がけの氷をもらう。
    ザラザラとした、決して口溶けがいいわけじゃない。
    家庭用のかき氷器でガシガシ削ったみたいな氷がちょっと残念。
    ワシワシ、急いで食べるとガツンと、首から後ろが痛くなる。
    それもまた夏。
    宙を見上げて、お茶、含む。

    銀座の中にありはするけど、まるで温泉旅館の食堂のよう。
    バタバタ、キビキビ。
    一生懸命、せわしなげに働くサービス係のおばさんが、まるで旅館の朝に急いで布団を上げる仲居さんのサービスみたいで、その賑々しさも悪くない。
    お店の中はご婦人客で一杯で、レディーなパワーにたじたじとなる。

    食後のコーヒー。
    銀座ウェストで贅沢をする。

    c3601130.jpegピカピカに輝く銀のスプーンやシュガーポット。
    白い陶器のコーヒーカップに、お冷やの入った薄いグラス。
    箔押しのロゴがそこここに光ってキラキラ。
    アイロンかかって、端がパリっとめくれ上がる程にキッチリとしたレースで出来た椅子のカバーにテーブルクロス。
    フカフカの熱いおしぼり。
    たのめばすぐにやってくる、お代わりコーヒー。
    行儀よく、押さえた声で会話をかわす穏やか笑顔のお客様。

    銀座が銀座らしくある、ステキな空間。
    上等な香りと味のコーヒー、コックリ。
    一口飲んで目を閉じて、そこに流れるプッチーニ。
    耳から体に注ぎ込み、午後の仕事の準備とす。

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    四谷三丁目にある「主水(もんど)」という店。

    mondo.jpg島根料理の専門店で、この店が本当に良くがんばっている。
    今の場所に引っ越してきたときには、ビルの地下にあってひっそりと…。
    おいしくはあるのだけれど目立たぬ店で、勿体ないなぁ…、と思っていたらそのうち表にたこ焼き屋台を作ってたこ焼き焼きつつ「良ければお店の方にもよっててくださいね」って、道行く人に声をかけるようになった。
    夏休みになると屋台の前にビニールプールに水をはってゴム風船を浮かべて、まるでそこだけ縁日みたいな風情になった。

    街の中。
    夏の暑さにコンクリートは熱を持つけど、人情冷たい都会の街に、なんだかそこだけ心があったかくなるような、そんなにぎやか。
    どこでご飯を食べようか、と歩いていたらお店の人に、「昼ご飯でもいかがですか?」って元気な声をかけられて、それでフラっとたちよった。
    呼び込まれてお店に入るって、ひさしぶりだなぁ…、って思う。
    めずらしい。

    ここの夜の名物料理に「がいな丼」ってのがある。

    b8cf4d5d.jpegご飯の上に具材をのっけて茶碗によそってそのまま食べたり、茶漬けで食べたりと、ちょうど名古屋の櫃まぶしのような食べ方をする、ここの創作。
    「がいな」っていうのは島根の方言で「スゴい」っていう意味。
    実はうちの田舎の愛媛県でも「がいな」って言葉をほとんど同じ意味で使う。
    それがとってもなつかしくって…。
    はじめてここにきたときにも、まず一番最初に目に入ったのがこのメニュー。
    がいな丼の頭についてる「ちょんぼし」って言葉は「ちょっと」って意味の島根弁。
    つまり「ミニサイズのすごい丼」。
    それが、ちょんぼしがいな丼。
    夜は刺身をのっけた海鮮丼のスタイルの、贅沢がいな丼っていうのがメイン。
    でも昼は安くたのしんでもらいましょう…、ってコトで穴子や鶏の唐揚げを一口大に刻んでのっけた、ランチ用の丼になる。
    今日選んだのは、焼きサバほぐしてのっけたサバのがいな丼。

    それに出雲そばがついた昼食セット。

    7bc58b41.jpeg脂ののった焼きサバの、シットリとしたほぐし身の風味がまずは鼻においしい。
    甘い厚焼き玉子のプルンと歯にみずみずしい食感と、三つ葉の香り。
    なんだか漁師料理のような力強さすら感じるたのしさ。

    それに小さな出雲そば。
    漆のお椀にこんもり盛られて、タレをあらかじめかけられたぶっかけ状でやってくる。
    東北地方のわんこそば。
    その食べ方にきわめて良く似たこんな食べ方。
    遠くにあってもどこかでシッカリつながっていた文化的なる背景を、知りたくなっちゃう。
    日本で最古の文化圏でもあった出雲から始まりどんどん広がってった、他にも何かコレに似たものがあるんじゃないか…、って思ったりもする。
    おもしろい。
    もそもそとしたちょっと独特の食べゴコチ。
    ムワっとそばの実のえぐい風味を感じるような、素朴な旨味もまた出雲風。

    〆はこれに出汁をかけて食べるのだけど、この出汁にちょっとビックリ。

    65a34277.jpeg注ぐとちょっと緑がかってて、最初はお茶かとおもったくらい。
    けれど、トロンと不思議なトロミを含んでてすすると旨味が強烈で…。
    なんでだろう…、って湯桶の蓋をとって中をみてみると、底に緑の藻のようなモノがゆらゆら、お湯の中でゆらめている。
    おぼろ昆布。
    それをあらかじめ細かく粉末状にしたモノに、出汁を注いでいるのでしょう。
    おどろくほどに旨味があって、ご飯をスベスベ、ツルツルにする。
    サバの脂。
    焼けた皮から発する香り。
    鰻の櫃まぶしだと、焼き上げたときの醤油風味のタレそのものが茶漬けの味をおいしくさせる。
    けれどサバや刺身が具材の丼に出汁をかけただけでおいしくそれをたのしむためには、出汁そのものが美味しくなくちゃぁいけないんでしょう。
    これ、いい工夫。
    今度どこかでためしてみよう…、アイディアもらう。

    食事を終えて店を出ようと立ち上がったら、デザートどうぞ…、とこれがくる。

    fc62f3aa.jpeg一口大の鯛焼きで、ひとつはあんこ。
    一つはチョコ。
    最近、docomoのコマーシャルで、鯛焼きは頭から食べるか、しっぽから食べるのか?って内容のをやっている。
    あれをみるたび、ボクはどっちからも食べません、ってテレビに向かって独り言する。
    焼けたあんこが苦手なもので、それでうれしいけれどありがたくないサービスだなぁ…、って思っていたら、一個があんこじゃないことわかり、それでニッコリ。
    最近、鯛焼きって流行りすぎてていろんなところに出回りすぎて、うちの近所を歩いていても3軒ほどの鯛焼きコーナーに出会ったりする。
    そのほとんどが何かの副業。
    まじめにやってそうに見えぬのがなんだかちょっと哀しくて、でもこうやって食後の一個。
    それも一口。
    わるくはないなぁ…、って思ったりした。

    これだけ食べてたった750円。
    しかもおいしい。
    正真正銘、年中無休で日曜日でもこうしてランチが食べられる。
    ポイントカードをおねだりしてまでもらってしまう。
    いい店、いい人、いいランチ。

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    昼、天春で天丼。

    17deb17a.jpeg新しいボクの家から、一番近くにある一番上等な飲食店が多分、ここ。
    食に関するお店にまで検索範囲を広げれば大阪鮨の八竹があるけど、あそこはお持ち帰りが主体のお店。
    ユッタリ腰を落ち着けて、おいしいものに身を任す楽しい時間を過ごせるお店はここが文句なく一番近い。
    昼は天丼。
    夜は季節のネタの天ぷらコースがメインとなった専門店。
    その上等さがお店の外からうかがい知れぬ、地味なエントランスがちょっと残念。
    雑居ビルのオフィス然とした鉄の扉のエレベーターに、乗って降りればもう別世界。
    これもまた隠れ家風と言えばほどよきたのしいしつらえ。

    天丼と汁をたのんで、しばし待つ。

    939cc6c6.jpeg今日は運よくカウンター。
    揚げ場の前の一等席をもらって、にんまり。
    カメラを上に構えてパチリと撮ると、とてもステキな景色が写った。
    天ぷら鍋の真上の天井が、ピカピカキラキラ、うつくしいさま。
    油が毎日、驚くほどの量、蒸発をして汚してるはず。
    なのにピカピカ。
    並みの調理人は料理を作る。
    けれど良い調理人は料理ができる環境を作る人である…、ボクはずっと信じてる。
    下ごしらえや、掃除や躾。
    そんなものがキチンとできてはじめてステキな料理ができる。

    カラコロはぜる油の音に、油の香り。
    そろそろ料理が上がります…、と厨房に向けカウンターからかかる声。
    お腹がグルっと唸ります。

    昼の天丼。

    f33f6978.jpegキスにエビ。
    それからイカのかき揚げがギッシリご飯の表面を覆う贅沢。
    ここのタレは甘味が少なく醤油の風味がスキっとしてる、男前の味。
    衣ふっくら、フワサクで風合い軽やか。
    油がほどよく切れていて、後口さっぱり。
    例えが変かもしれないけれど、おせんべいを食べてるみたいな香りがしてくる。
    香ばしい。
    フックラとした魚の食感、エビのプルンとはじける感覚。
    どれもおいしく、けれどなかでもかき揚げのイカ。
    クニュンムチュンと弾力のある噛み応え感のスバらしいコト。
    かき揚げのネタの王様はイカであるに違いない。

    一緒にたのんだここの名物、シジミ汁。

    5ec65295.jpeg汁にシジミが入っているのじゃない、シジミの汁。
    シジミとシジミの合間を汁が満たしているような、そんな汁。
    何十個が一人前なんでしょう?
    シジミを一個、指でつまんでプチュッとキスして身だけを剥がす。
    シットリ、やんわり。
    貝の身噛むと、中からジュワンと貝の旨味を含んだ汁が滲みだしてやってくる。
    赤味噌風味。
    ほんの少々、酸味を帯びたコクのある赤出汁風味の貝の汁。
    プルンと二個目。
    プチュンとハリのある身の味わい。
    汁を貝の隙間から、チュチュっとすすると唇焼くほど熱々に体が震える。

    貝をプチュッ。
    殻をボウルにカチャンと捨てる。
    シジミの身を殻から外す合間に天丼を一口、口に運んであげる。
    モグモグしながら、また身をせせるという繰り返し。
    人を無口にさせる美味。

    プチュン、ハフハフ、黙々と食べ、ボウル一杯の貝殻と食後のサービスにぜひどうぞ、とスイカが一片。

    af854d8a.jpegまさに夏。
    あんまりスイカは好きじゃない。
    ボクは今まで二度ほどスゴい、ダイエットをした。
    一度は20年程前のコト。
    体重が煩悩の数、つまり108kgを数えたときにレタスとこんにゃくと大量の水。
    それに自転車通勤という栄養失調寸前の状況に自分を追い込み、80kgまで痩せたことがある。
    もう一回はボクが中学校に入る直前。
    肥満児のため、このままいったら若年性の成人病になっちゃうぞ…、と言われてそれで食事の前にスイカを食べるダイエット。
    そのとき多分、一生分のスイカを食べてしまったんでしょう。
    だから今でもスイカを食べると、そのときのコト、思い出す。
    けれど今日のこのスイカ。
    甘み、十分。
    みずみずしくて、なにより天ぷらの後の口をサッパリ、させてくれるのがうれしくて。

    たのしいお昼。
    この街、この場所、この店のある近所に住んでることに感謝をします、おゴチソウ。

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    大ろじ。

    86c0e641.jpeg新宿、伊勢丹前の路地裏にあるちいさな店。
    とんかつ屋です。
    かなり昔からこの場所で商売をやっていて、5年ちょっと前くらいでしょうか。
    一度、お店を建て替えた。
    家族でやっているのでしょう。
    よく似た顔をした人たちが一生懸命働いている。
    店は新しくなったけれど、メニューの中身も料理もまるで変わらず昔通りが頑固なほどで。
    新宿の中でもこの界隈は店の入れ替わりがとても激しい場所なのに、ここだけまるで変わらず昔のまんま…、というのがなんだかとてもうれしい。
    それでたまに来たくなる。

    いらっしゃい…、と元気に声をかけられて、目当ての料理を注文するとまずはお茶。
    それから漬け物。
    麹で軽く漬け込まれた薄切り大根、ニンジン、それから細切りピーマン。
    ほのかな酸味の塩味で、このピーマンがくわわることで不思議な程に洋風になる。
    サッパリ、スッキリ。
    お茶飲みながらお腹の準備をゆったりとする。

    とんサンドイッチ。

    495fb529.jpeg揚げ立てのトンカツをキャベツと一緒に食パンで挟んだ、つまり「カツサンド」なのでありますが、ここは頑に「とんサンドイッチ」とこれを呼ぶ。
    理由は他にないサンドイッチだからであって、ホコリを込めてとんサンド。
    どこが変わっているかというと、パンをフックラ蒸してある。
    カツサンドと言えば大抵、パンをトーストしカツのパン粉のサクサクに負けぬほどのサクサクパンで挟んで作る。
    けれどここ。
    パンをフックラ、まるで肉まんのまんじゅうのような食感にして使う。
    ココのトンカツ。
    実はかなり分厚く細かなパン粉をまとわせたサクサク以上のガリっとさえする丈夫な衣が売り物で、だから中途半端なトーストのサクサク感ではカツにすっかり負けてしまう。
    けれどこうしたフカフカパンなら負けるどころかそのガリガリを引き立ておいしくまとめてくれる。
    千切りキャベツのシャキシャキも前歯にたのしい。
    入念にして見事においしい組み合わせ。

    一度、これを真似て作ってみたことがある。
    だけどパンが蒸気を含んでペトペトになり前歯に貼り付き不快なだけで、こんなふうにはなりはしなかった。
    やっぱりどこかに秘訣があるのでありましょう。
    前菜代わりにパクサク食べる。

    そしてメイン…、とん丼がくる。

    764f80ff.jpegトンカツをカレーソースをかけたご飯にのっけた料理。
    つまり「カツカレー」にきわめて良く似た料理なのだけど、カツカレーじゃなくあくまで「とん丼」。
    だってカツカレーの主役はあくまでカレーであって、そのカレーをよりおいしく楽しむためにカツが乗る。
    けれどここのはあくまでカツが主役の丼。
    カツをご飯に乗っけて気軽に食べる。
    先のサンドイッチもそうだけど、熱々のカツのその熱々をずっと長持ちさせるため、パンで挟んだりご飯にのせたりは昔の人のおいしい知恵のひとつでもある。
    そのおいしさを、より引き立てるため、ソースが二種類。
    ひとつはトンカツソースで、もうひとつがたまたまカレー…、だったというコト。
    とんかつのためのソースと、ご飯をおいしくたのしむためのカレーがひとつ丼の中にて混じる、口の贅沢。
    おもしろい。

    豚のロースのいろんな部位を集めて丸く筒状にして、それをガリっと強めに揚げる。
    だからどこを食べても同じくおいしい。
    衣は硬く頑丈で、でもそれを前歯が突き破ると、そこから先はシットリやわらか。
    とても独特、なかなか旨し。

    それと一緒にとん汁食べる。

    2c27e1f4.jpegボクがこの店で一番好きな料理がこれ。
    味噌汁の汁の部分は別に事前に仕込んでおいて、注文のたびに具材を炒める。
    ベーコン、タマネギ、それから豆腐。
    自分の脂でカリカリに表面が焦げる程に焼いたベーコン。
    飴色ちょっと手前まで、入念に炒めた甘いタマネギが味噌汁の中で渾然一体。
    具沢山にして味わい深い。
    ジャジャっ、ジャジャってフライパンで具材を炒める音がして、しばらくしたらチュチューンって汁が鍋に注がれ瞬時に蒸発する音がしてそれと一緒に味噌汁らしい美味しい匂いが店一杯に漂ってくる。
    その先味がまたご馳走。
    このとん汁にとんサンドイッチで軽い昼。
    …、って言うのがここ一番のハイカラメニュー。
    昭和の初期のお洒落を感じる。
    とん汁、とん丼、とんサンドイッチと、ボクはこれらを新宿路地裏「とん三兄弟」って名付けてずっと愛でている。

    ooroji.jpg新宿に数あるトンカツ専門店で、多分、一番地味な店。
    規模も小さくメニューも少なく、好き嫌いもはっきりする店。
    けれどそもそも「トンカツ」というものを生んだと言われるお店の一つ。
    ジューシーでやわらかで、口の中でほどけるようになくなっていく今のおいしいトンカツも、ここから生まれて育っていった。
    そう思ったらなんだかちょっと贔屓にしたい、そんな店。
    例えばココの頑丈な程に歯ごたえたのしいトンカツが、どこがどうしてどうなって、今のトンカツになってったのか?
    このサンドイッチがなぜ一般的に受け継がれることがなかったのか?
    そんなことを考えて、ここの料理を味わうと、また感慨深くもあったりします。
    料理の世界の進化論。

    雨が心配でもあるのでしょうか。
    今日の新宿、ちょっと静かで伊勢丹の中もユルンユルン。
    湿気も強く、これから今夜、それから明日と台風模様となる気配。
    さてどうしよう、晩ご飯。

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