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サカキシンイチロウノホトンドゼンブノブログ
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    サカキシンイチロウ
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    性別:
    男性
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    1960/01/26
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    宮崎の「武蔵野」という店。

    10dojo.jpg宮崎の町の人にとって「そばといえば武蔵野」と言われる老舗…、であります。
    うどん文化圏の宮崎にあって、それでもそば…、というチャレンジ精神とうどん好きをも納得させるだけの商品力があってのことで、その老舗がここ数年。
    老舗に胡坐をかいちゃ駄目…、ということで次の世代の人たちを中心として、新しいことに挑戦してる。


    郊外型のてんぷら専門店…、であったり。
    いろんな創作丼が食べられる店…、であったり。
    あるいは、昔ながらの「そばとてんぷら」をもっと気軽にたのしんでもらえる店…、であったり。
    そのそれぞれがそれぞれたのしく、とはいえ料理作りだけは手を抜かず、老舗の味を期待する人たちを失望させぬよう一生懸命がんばっている。

    0cb3fdec.jpegなにしろ天ぷらとそばの店なのに、まるでハンバーガーショップみたいなオープンキッチン。
    カウンターの中で働いている従業員はみんなTシャツで笑顔で元気で…、ってたのしい雰囲気。
    でも作っている料理や手順は昔のまんまというこの真剣。
    くるたび、いいなぁ…。
    こうして伝統的な料理が次の時代に受け継がれるって、いいことだよなぁ…、って感心させてもらえるお店。

    試食です。
    お店は揚げたてのてんぷらを売り物にしているお店で、だからそばもてんぷらを具としたものがメイン。
    今一番の押しが「桜えびの天かす」をのっけた贅沢たぬきそばというコレ。

    64be93f6.jpeg桜えびのかき揚げをのせればおいしいのに決まっているけど、それだとどうしても高くなる。
    だから天かす。
    それでも桜えび独特の甘みを帯びた磯の香りがとってもおいしい。
    かき揚げじゃなく、むしろそれが壊れた天かすだから、ストレートにえびの香りがやってくるんでしょう。
    大衆商品万歳的なにおいのご馳走。
    口に含むとそのかぐわしい香りがポワンと鼻からぬけて、前歯にサクサク、えびが壊れる。
    衣は出汁を含んでとろんとなめらかで、一緒にそばがスルンとすべる。
    素直な出汁も喉のご褒美。
    老舗らしさを堪能します。

    それから天丼。

    3568263b.jpegサクッと軽い薄ごろもまとった揚げたててんぷら。
    タレもサラッと江戸前よりは薄味で、でも好みに応じて味を足してくださいね…、とサラッとしたかけダシを一緒に添えてくれる。
    たしかに同じてんぷらでも、えびの天ぷらなんかは薄味。
    素材そのものの持ち味を大切にたのしみたくなる一方で、かぼちゃやナスなどの頑丈な野菜は強めの味で食べたい。
    そんなわがまま。
    自在に自分で満足できるいい心遣い…、って思ったりする。

    それからここの天丼であったり天ぷら定食であったりには、もれなく「鳥の天ぷら」がつく。
    ほんの少々、味ほどこした鳥のささみを天ぷらにした、鳥好き王国ならではのたのしい天ぷら。
    おもしろい。
    何しろこの数日。
    鹿児島、宮崎で食事をするとかならずもれなく鳥の料理で出会ってしまう。
    しかもそれがそれぞれしっかりおいしくて、食べなれたものは作りなれたもの。
    なれたものは当然おいしい…、ってちょっと感心。
    再確認。

    天まきっていう「ちょっと一つまみ系」のたのしい料理。

    69ea8698.jpeg天ぷら一本を酢飯でまいた、巻き寿司なのだけど、これが絶妙。
    酢の按配。
    ちょっと甘めのしゃりと天ぷら衣の油の風味がぴったりで、そこに大葉が香りを添える。
    どっしりしてて、でもさわやかで。
    このシリーズをちょっと増やして、「小腹を満たすプロジェクト」。
    やってみようか…、なんて思った。
    いい感じ。

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    飲食店は立地の商売…、って言われます。
    どんなにすばらしい商品とステキな笑顔があっても、立地が悪いと繁盛できない。
    評価していただくはずのお客様が、来てくれないではせっかくの良さも持ち腐れになってしまうというわけですね。
    当然のこと。
    けれど、人がいっぱい住んでいるから。
    目立つ場所にあるから。
    人が集まってくる要素があるからいい立地である…、とは限らないのがおもしろいとこ。

    わざわざいかなくちゃいけないような不便な場所。
    夜になると真っ暗になるさみしい場所。
    なんでこんなところにお店を作ってしまったんだろう…、っていうような普通ならば絶望的な場所にも「あれっ」て思うようないいレストランがあることがある。
    たとえばこの店。

    uwos.jpg宮崎の町外れ。
    うを佐という和食のお店がある場所は、周りに店の一軒もなく、目の前は田んぼ。

    後ろは山と、絶望的な立地の要素を数え上げればきりがないほどのすごい場所。
    何度来ても、惚れ惚れするほど寂しい立地。
    けれど気持ちよくドライブできる立派な道と、若葉マークのドライバーにもすんなり車を止めることができるゆったりとして親切な駐車場がキチンとあって、だからわざわざ、遠くから、車を飛ばしてお客様が次々、きます。
    心づくしのおいしい料理と、にっこりとしたステキなサービスにあいにわざわざ…。

    ボクもその「わざわざ」をたのしみに、今日も来ました。
    さて、試食。

    釜飯。

    d6b4311b.jpeg日本全国、おいしい釜飯があるといえば飛んでいって勉強をした、ここの名物。
    とはいえ、結局、ご飯の炊き方を工夫しながら試行錯誤で、ここ独自の調理方法を確立しかたら…、ということなのでありますけれど。
    水。
    米。
    そして求める味わい、食感。
    それらを作りだすための方程式ができたから、だから炊きおきしないで正真正銘、注文が入ってから炊き上げる。
    でもそれほどはお待たせしないという、こうした工夫が本当の商品開発なんだろうなぁ…、って頭下げつついただきました。
    ちょっと固めの炊き上がり。
    ご飯粒、ひとつひとつに味が入ってしかも具材の油がツルンとコーティングした味付けご飯とはまるで違った「釜炊きご飯」。
    家ではなかなか作れない、だからこうしたわざわざ来てまで食べる価値ある料理になった…、ということなんでしょう。
    感心です。

    もともとすし屋さんからスタートした…、というこの店の、だから刺身や寿司は一級品。
    中でも仕事をしっかりとした正直なつくりの寿司には定評があり、たとえばバッテラ。

    a54a6851.jpegそのまま刺身でも食べられる、新鮮な鯖を軽く酢で閉めて、ご飯の上にキッチリのっける。
    昆布を張ってギュギュッと押して、スパッと切って出来上がりという、まあ一般的なバッテラだけど、なかなかお目にかかることができないような上等なでき。
    分厚い切り身。
    ムチュンと前歯に抵抗しながら、ユックリ歯ぎれる見事な食感。
    魚のにおい。
    青い魚ならではの濃厚にしてたくましい脂の風味。
    それをしっかり受け止めて、一歩も引かぬしっかりとしたシャリの味わい、炊き加減。
    ずっしりとした食べ応えにして、でも一個食べるとまた次の一個を右手が探って食べる。
    食べ始めたら止まらぬ味わい。
    見事なり。

    いわゆる日本料理だけでなく、宮崎ならではの料理もあれこれ。

    093a77aa.jpegレタス巻きであったり、チキン南蛮であったりにも手を抜かず、丁寧に作ってくれる。
    なんだかとってもありがたい。

    地元の若い人たちと、これからの外食産業のことに関してあれこれ情報交換をする。
    景気は悪い。
    けれどどんなときでも、人は何かを食べなきゃ生きてはいけない存在。
    せっかくだったら、元気になれるお店でたのしい食事をした方がいいんじゃないの?って思ってもらえればがんばれるよネ。
    おいしいだけで不機嫌な店。
    安いだけで心まで貧しくなっちゃうお店。
    そんなお店だけはなっちゃいけない。
    そならないよう、笑顔でニッコリがんばりましょう。
    そういいながら、さてお休みなさい…、とあいなった。

    土曜もしばらく宮崎です。

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    えびの高原。
    宮崎と鹿児島にまたがってなだらかに広がるのどかな場所に、えびの京町銀座という商店街がある。
    銀座と名前をもらいはしても、あの銀座とはほどとおい、全速力で走れば1分もかからず通り抜けてしまうような短い通り。
    ひなびた街に、きょうみんというラーメン屋さんができたのがもう40年ほども前。

    newkyomin.jpg20数年前から一緒に、経営の勉強をして、日本全国からいろんな人が見学にくるほどの、繁盛店になったのですね。

    店を始める前は農家で、そのとき、飼っていた牛を3頭手放して、作ったお店。
    ドアをあけると、勝手口から店の向こうが見通せるほどの小さな店からスタートし、支店もできた。
    なによりその創業の店は何年たっても清掃しっかり行き届き、いつもピカピカ。
    何十年も昔のまんま残るといいね…、って言っていた。
    けれどさすがにもともと民家を改造した店ということもあり、天井抜ける、柱は傾く。
    それでとうとう改築することとあいなって、このたび、完成。
    うれしいことに昔の雰囲気をほぼ残す、改築というより「復元」に近いできとなる。
    スパッとまるで新しい建物にした方がずっと安くて機能的。
    けれど「昔のまんまの面影」もこの店にとっては「味のひとつ」で、それで手間とお金をかけてわざわざ、復元的な店作りとす。
    4881ea70.jpeg当然のようにメニューも商品も昔どおりで、いたずらに新しくしてお客様を煙に巻くようなことをしないで昔ながらを守ることにした。

    自分たちの店でもあるけど、町のみんなの店でもあるから。
    頭、さがります、天晴れです。

    さて、まっさらな厨房で昔ながらの料理を作ってもらいます。

    餃子。

    cf7fdb4b.jpeg薄い皮を突き破るように、目に鮮やかな緑色の中身がにじむ、野菜だけで作った餃子。
    ここの名物のひとつであります。
    この近所で作られたキャベツに葱に韮がタップリ。
    カリッと焼けた皮が破れて、中からジュワッと熱々の野菜のジュースと刻んだ野菜がこぼれ出てくる。
    餃子のお供…、というわけじゃない。
    ご飯のおかず…、というわけでもなくただただ餃子を何個も次々、口に運んで味わいたくなる。
    皮でくるんで食べやすくした焼いた野菜のサラダのような緑のご馳走。
    見事な一品。
    おごちそう。

    このカリッとした表面の焼き上がり方も、昔の餃子焼き器じゃないと手に入れられない。
    だから使い勝手も効率も今の最新式のに比べれば、数段落ちる。
    けれど昔の機械をメンテナンスして、使うことにした。
    念には念を…、ということですか。

    情熱と勢いと、腕っ節で作るチャーハン。

    a865d3bb.jpegパラパラご飯の一つ一つの米粒に、味がしっかり入ってて、焼けた香りがポワンとしてくる。
    にもかかわらず、油っぽさのかけらもなくて、さっぱりおいしい。
    ご飯粒の食感を邪魔せぬように、すべての具材が見事に綺麗に微塵になってて、だからパラパラ。
    舌や奥歯が感じるのはご飯粒だけというのが、潔くってすがすがしい。

    鶏のから揚げ。

    77e9ee8c.jpeg大き目の鶏。
    一口で頬張るのにはちょっと大きく、でもできることなら口の中に押し込んで、ガスッと噛んで食べたくなる絶妙サイズ。
    甘辛いタレに漬け込んで、ぽってりとした衣をつける。
    そしてガリッと表面揚げて、でも中はしっとり。
    クチャッと噛むと、中からジュワッと透き通ったジュースがタップリ飛び出してくる。
    ご飯のおかずにピタッとはまる、

    鉄板でジュウジュウしながらやってくる、野菜炒めに魂、ガシッとわしづかまれる。

    a4f1c752.jpegもやしをメインに野菜かずかず。
    刻んだチャーシュー。
    それから色鮮やかなちゃんぽん用のかまぼこ入れて、ラーメンスープをちょっと足しジャジャッと炒めて、さぁどうぞという、まるで博多の焼きラーメンの麺抜きのようなたのしい一品。
    ハフハフすれば、食欲ますますわいてくる。
    それにしても九州ならではの細くてシャキッとしたもやし。
    歯茎が痒くなるほどの、たのしい食感。
    お気に入り。

    あれこれ料理を試食して、ああ、こんなお店がある街…、ステキだなぁ…って。
    作業服を着たおじさんたちが、昼からビールを飲みながら餃子をつまむ、その横で、余所行きを着たご婦人方が、ニコニコしながらラーメンすする。
    街のみんなが待ちかねて、やってきては笑顔になって帰ってく。
    これが地域に根ざした飲食店のあるべき姿…、ってそんなことを思ったりした。
    なんだかほんわか、幸せになる。
    そんな昼。

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    熊本の芦北から鹿児島の川内という町。
    移動の途中で、名産品を買っては買い食い。
    でこぽん。
    さつま揚げ。
    魚のすり身にパン粉をつけてあげた肥薩揚げという、これはかなりのお気に入り。
    生でそのまま食べられる糖度の高いまるでフルーツのようなたまねぎ。
    それから生きた団扇海老。

    6e3323f4.jpeg茹でてもらってブルンと食べる。
    団扇状の胴体部分にも身がビッシリと詰まってて、うっすらと味噌。
    殻と身の間に指を突っ込み、そっとしごくと身がブリンと飛び出してくる。
    身離れのよさ…、ウットリですな。
    食べた食感はロブスター。
    ちょっと硬質の弾力があり、旨みが強くて口に含むとかなりの幸せ。
    九州南、西海岸は旨いものの宝庫であります。
    特に春というこの季節。
    ああ、やってきた甲斐があった…、って笑顔になります。

    さて、川内(せんだい)。
    マグロがあがるので有名な串木野の程近く。
    薩摩半島の付け根とでもいいましょうか…、緑豊かなのどけき場所で、そこに「横綱」という回転寿司のお店があります。

    aa9b4e42.jpeg小さな地域の小さなお店。
    だからロスを出さぬように、お客様に喜んでもらうということがとても難しいお店でもある。
    でも一生懸命。
    できることをひとつひとつ着実に、手堅くやってほどよき繁盛店になっている。
    もともと立ちのすし屋さんをやっていた、ということもあり、寿司を作る仕事のひとつひとつが美しく、そして丁寧。
    好きな店。

    地の魚。
    太刀魚の握り…、ってのがあって、これにはかなりやられました。

    ddffd8d3.jpegギラッと光るうつくしい姿。
    うろこや皮がよれたり壊れたりしていない、つまり網でガッサリ引きあがられたのじゃない一本釣りの魚の証拠のうつくしさ。
    まずウットリです。
    ひとつは塩で。
    ひとつは醤油でスルンと食べると、旨みがジュワッと滲み出してくる。
    ああ、旨い。

    調味料もなるべく手作りしてるんですよ…、と、たとえばこれ。

    ac6bfc11.jpeg地鶏の「薩摩赤鶏」をグリルして、そこに手作りポン酢をジュレにしたのをのっけて、さあ、どうぞ…、というたのしい趣向。
    口に入れるとポカンと脳天突き抜ける、ポン酢の風味。
    焼けた鶏の脂の香りがまた鮮烈で、これは普通のすし屋じゃ食べれぬ、遊び心に満ちた寿司。

    ひらめ。
    いわし。
    鯵にマグロと、魚天国。
    堪能します。

    それから回転寿司ならではのこんな一品。
    ウィンナ握り。

    098e2d28.jpegグリルしたウィンナをグリルして、それをしゃりにのっけて海苔で押さえる。
    そこにケチャップ。
    焼いたお肉の脂の香りが海苔と一緒に口にはいって、なんともたのしく香ばしい。
    しかもケチャップ。
    子供だましのように思える変わり寿司…ではあるけれど、魚で疲れた口にこうしたB級な味がありがたい。
    大人泣かせと申しましょうか。
    大人を子供の気持ちにさせる無邪気な料理といいましょうか。
    しかもこのソーセージ。
    いろんなモノを試行錯誤して、プチュンととても柔らかでだからご飯と一緒にスッキリなくなるものをやっと見つけて落ち着いた…、という。
    悪くないです。
    おもしろい。

    それはそうと、回転寿司というこのシステム。
    今、かなり大変なところにあるような気がします。
    立ちの寿司とほとんど変わらぬクオリティで、「すんごくおいしい」を売り物にしたいわゆる「グルメ回転寿司」という店と、ほとんど100円という安さを売り物にした「大規模ファミリー回転寿司」のその両方ともが、コストアップで苦しんでいる。
    他の店からお客様を分捕ってやろうという強欲が、めぐりめぐって自分のお店に牙を向く。
    自分が仕掛けた罠に自らはまってしまう、そんな泥仕合がいろんなところで繰り広げられてて、大変だなぁ…、ってそう思います。

    飲食店は競争のないところを探して、適価でジックリ構えてたのしくやるのが一番で、でもそれこそが今となっては一番贅沢なことでもあって、なんだかかなりなやましい。

    さて、鹿児島で、おやすみなさい、また明日。

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    九州、熊本。
    飛行場から1時間半ほど車に揺られて八代海沿いの、佐敷という街。

    「レストランよしみ」というお店にきます。

    yoshimi.jpgレストランの心臓は厨房にある。

    それまでお客様に見える客席ばかりに気を配り、厨房には工夫と設備投資をしてこなかった飲食店に、今から30年ほども前のことでしょうか。
    料理という飲食店でもっとも大切なモノを作り出す場所。
    そこが粗末で、なんでお客様に喜んでもらうことができるだろう。
    料理を作る人という、飲食店でもっとも大切な人が快適に働けるような環境を作らずして、なんでお客様に快適を味わってもらえるだろう。
    …、とボクらは日本全国の経営者の人たちを説得して回るのが、一番の仕事としていたことがある。

    けれどなかなか受け入れてもらうことはできなかった。
    大切なお金は見える場所に使ってこそ…、という風潮があったから。
    でも中には、たしかにそのとおりですネ、と果敢に働きやすい厨房作りを一緒にしてくれた人たちもいた。

    そんなお店のひとつがここで、今みても、見事な厨房。
    設備としてもすばらしいけど、それをきれいに磨きあげ、メニューが変わるにあわせて進化させてる、その的確と着実を見事と思う。
    うれしくなります。
    ありがたい。

    試食をします。
    刺身定食。

    3ae49b57.jpegいくらと甘エビ以外の魚は全部、地のモノ。
    ねっとりとした真イカの刺身。
    ゴリゴリとした食感のぶりや鯛と、この食感だけは九州、四国でなくてはたのしむことがかなわぬ田舎の美味。
    関東に来て、刺身を食べるとみんなクチャッと柔らかで旨みはあるけど水っぽさを感じてしまう。
    魚の味はまず噛み応え。
    それが鮮度を感じる手がかり…、ってそんなことを思ったりする。
    九州ならではの甘い刺身醤油でなくてははじいてしっかり味がのらぬ、それほど脂ものっている。

    それから芦北に上がる「赤足えび」のエビフライ。

    75a15606.jpeg2月から3月にかけての一時期だけ出る、この地方ならではの海老で、その名の通り細かな足が真っ赤に揚がる。
    揚がったばかりのがお皿にのって、テーブルに運ばれた途端に甘い海老の匂いが鼻をくすぐる。
    すんごい香り。
    頭ごと、パクッとかじると、中からお味噌。
    パリパリカリカリ、綺麗に揚がった足の一本一本に頭の殻が甘い。
    おいしい。
    香ばしい。
    身はしっとりとはかなくて、噛むと甘みがジュワッとにじむ。
    この季節だけ…、っていうのがまたまたうれしい。
    おごちそう。

    細かなパン粉をフンワリつけた、だから油をあまり感じぬとんかつもグーッ。

    93c0b843.jpeg近所で取れたお米もおいしい。
    近所でできる甘い麦味噌を使ったアサリのお味噌汁。
    どれも田舎のやさしい味わい。
    変わった料理はほとんどなくて、聞けば街のほぼ4割がシニア層。
    だからなつかしくって、安心できる料理を出さなきゃ、お客様にしかられる。
    変わらぬように、ずっとおいしく…、って実はそれがレストランとしては一番、難しく緊張すること。
    それをずっとやり抜いている。

    そうそう、これ、なつかしいでしょう?…、と溶岩ステーキ。

    2d15c732.jpegここのお店ができたときから、ずっと名物として売っているモノ。
    田舎の人に、おいしいステーキを提供しよう…、と、でもただステーキですって言ってもなかなか試してくれることはないでしょう…って、それで溶岩石にのっけてやいた。
    遠赤効果で外はカリカリ、中ふっくらと焼きあがる。
    しかも余分な油を溶岩石が吸い込んで、すっきり、さっぱり食べられる。
    つけて食べるのは紅葉おろしをタップリそえた、自家製ポン酢で、だからご飯のおかずにぴったり。
    なんともとっても懐かしい。

    佐敷をあとに、車に揺られ、またまた移動。
    南に向かって鹿児島目指す。
    のどかな旅とあいなった。

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