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2024/11/29 (Fri)
原宿バンブー、試食の仕事
試食の仕事。
ひさしぶりに表参道のバンブーにて、秋のメニューの試食会。
長年、サンドイッチハウスとして原宿の街にずっと長らくとけ込んでいた。
とは言え民家を改装した店舗建物が老朽化して、それで建て替え。
3年ほど前のことで、それを気にフォーマルなパーティーからカジュアルな会食まで対応できるレストランに変わっていこう。
…、とそう決意して試行錯誤。
わかり易く、しかもオリジナリティーに溢れた料理でおもてなし…、をテーマに料理をあれこれずっと考えてきた。
けれど「わかり易い」ということと「どこにもない」という相反することを過不足なく満足させる料理というのがなかなか上手く表現できない。
料理そのものというよりも、食べ方、楽しみ方でここにしかない新しさを表現しなくちゃと話し合い、やっとランチは「野菜がおいしくたのしめるカジュアルな店」としてお客様からの評価が安定。
さてディナーをどのように…、というのがこれから挑戦するテーマとなった。
実際料理をいくつか作って試食をかねての会議とします。
バーニャカウダ。
料理に「勢い」と言うものがあるとすれば、今、おそらく一番勢いのあるモノのひとつがこの料理。
サラダじゃない。
野菜の料理。
ちょっとカジュアルなイタリアンレストランに行くと、ナンバー1商品のひとつに必ず顔をだすのがこの料理。
ランチタイムで魅力的なサラダバーをずっと追求してきたおかげで、おもしろい野菜を良い状態で仕入れることができるようになり、それを使った見事な一皿。
元気な野菜はまるで人工的に作ったかのような鮮やかにして色とりどりで、なんだかビックリ。
甘さ、苦み、酸味に渋みと味もいろいろ。
悪くはないけど、果たしてこれでお酒が飲めるか?って、議論紛糾。
男性陣は「こりゃじゃ酒は飲めんよなぁ」という傍らで女性は全然、平気ですって。
そういやサラダでお酒を飲む人もいるものねぇ…、って。
人はそれぞれ、おもしろい。
スモークサーモンのニソワーズ。
ニース風のサラダをイメージした冷たい前菜。
葉っぱ野菜とゆで卵。
ツナのオイル漬けをメインにすえて、茹でジャガイモにアンチョビ、オリーブ、インゲン豆。
それらを色とりどりに盛りつけて、ビネグレットで食べるというのがニース風のサラダのレシピ。
そのツナをスモークサーモンに変え、そこに小高く葉っぱを盛って輪切りオリーブに荒めに裏漉した卵の黄身をきれいに散らした。
おもしろい。
けれど折角だから、ジャガイモのピュレをあしらってマッタリ感を足してやる。
それならニース風サラダの再構築料理になるんじゃないか…、ってアイディアを出す。
伝統的でクラシックな料理を一度破壊して、形を変えたり順番変えたりしながら再構築をするというのが、今の流行の料理作りのあり方で、それをなぞって試してみよう。
再試作。
あったかい前菜料理にキノコのソテ。
もうこんな季節であります…、キノコの季節。
今年は実は、キノコの出来が早い上に良い。
本来ならば9月中旬以降じゃないと出てこないキノコもそろそろ出荷されてる。
今年はキノコの当たり年。
生のしめじにジロール茸にモーリーユ。
セップ茸やら椎茸やらと、いろんなキノコをバターでソテしてハーブで香りをつけてやる。
バターが焦げるギリギリ寸前。
その一瞬に出てくる香ばしくって甘いまるでカラメルみたいな風味をつけて味わうキノコの深くてドッシリ重たい風味。
シャキシャキとした歯ごたえたのしい、秋の味。
さてメイン。
甘鯛をつかった今年の秋のスペシャリテ。
鯛の皮に熱した油でマツカサ状にカラっと仕上げて、それをこんがりグリルしたもの。
パリパリ、サクサク。
まるで極薄のクラッカーが口の中で崩れて壊れる、そんな食感。
儚い歯触り。
にもかかわらず香りは見事に磯の香りで、ネッチリとした鯛独特の粘り気のある歯ごたえ、あとから追いかけてくる。
魚の皮。
特に鱗は苦手だけれど、ココまでサクっと揚がったものはまるで別物。
サイドに松茸のローストを添え、とっても軽いソースを流して日本料理とフランス料理のちょうど真ん中みたいな味をお皿にのせる。
今年の秋はこれを売る。
肉は仔羊。
真空にしてごく低温でジックリ熱を通して仕上げた、バラ色をした焼き上がり。
クチャっと歯茎にまとわりつくような、羊の食感、上等で草原の匂いがフワッと香る。
ブラックペパの甘い香りをアクセントにして、肉の旨味を煮詰めたソースでコクを加える。
よき料理。
ローズマリーの香りをのせたフライドポテトも上出来で、でも秋の料理にしたいよねぇ…。
栗をこんがり焼き上げて、ポテトと一緒に添えて秋の景色を作りませんか?
おいしい料理は季節をお皿に盛ったようであるべきだろう…、と思ってアイディア。
再試作。
タップリとしたブルギニオンや、ゴルゴンゾーラのソースで食べるハーブポークのグリルなどなど。
まだまだ手入れをするべきところはあるけれど、クオリティーはキチンと保ったよい料理たちにホッとする。
なにより打ち合わせのたび、料理のレベルが上がってく。
すばらしい!って思います。
これらの料理をどうお勧めし、ここを選んでよかったなぁ…、って思っていただくために今度はサービスのことをみんなと一緒に考える午後。
お腹も頭もパンパンになる。
[0回]
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2009/09/03 (Thu)
おいしい仲間
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変わらぬ、古久家
半日、これからの外食産業のコトをみんなであれこれ考える。
今の時代。
急速にさまざまなことが変わりつつあるこの時代。
お客様が「これからの必要」と「これからの不必要」を取捨選択しようとしている。
できることなら必要と言ってもらえるお店になりたい。
ならどうすればいいんだろうネ…、ということを、あれこれあれこれ。
結局、変わるべきでない部分を変えなくてもすむように、それ以外の部分を時代に合わせて変えるコト。
そこに尽きるネ…、って結論になる。
その見極めが一番むつかしいコトではあるけど、でもしなくちゃいけない。
勇気を持って…。
で、勉強を終え、その「変わらぬように変わった良き実例」を藤沢にまで見に行った。
古久家という店。
ボクが高校時代の最後の一年。
ちょうど松山から引っ越してきて、鎌倉高校で受験準備をしてた頃、よくお世話になったなつかしき店。
実は当時、住んでた場所は葉山の山奥。
だから本来。
高校前から江ノ電にのり、東に向かって鎌倉方面に行かなきゃいけない。
けれどその鎌倉という町。
腹ペコ高校生にやさしいお店がほとんど無くて、それに不思議と同級生はそのほとんどが藤沢、茅ヶ崎に住む人たちで、だから一緒に西に向かった。
藤沢駅の駅前のビルの地下の商店街の、その入り口がボクら腹ペコ高校生の天国に行く入り口だった。
安くて旨くて、何より温かい人間味にあふれてて、たとえば3人でお店に入る。
ごめんね、おばちゃん。
今日は二人前でいいかなぁ…、って言うと、いいよって。
いつも以上の大盛りで作ってくれて、2皿なのに充分3人のおなかが膨らむ、とてもうれしいおもてなし。
ボクの体の何パーセントかは、絶対ここの料理でできてる。
そう感謝する、ステキなお店。
当時はボクも学生で、ボクの親父がやってる会社のお客様でもなかったので、ボクはただただ純粋にこのお店のファンだった。
ところがボクが仕事を始めて3年ほどしてからだったかなぁ…。
問い合わせがあり、気づけばうちのお客様になってくれてた。
うれしかった。
これから一生懸命ご恩返しをいたしましょう…、って。
しかもこの店。
数年前に世代交代を見事に果たして、気づけば二代続けてのお付き合いをさせていただく誉に浴す。
世代を超えて続く繁盛。
味にサービス。
なんとステキなコトでしょう。
天井に張り付くシェードにテーブルに椅子。
どれも昭和にできたものにて、もし壊れたら補充すること叶わぬ今は作られてないモノ。
気持ちが当時に飛んで行く。
さていただきます。
まずは焼きそば。
ああ、なつかしい。
しかも今日は、普通の焼きそばじゃなくて「五目焼きそば」。
普通の焼きそばは、とろみのあんがかかった固焼きそばで、五目とたのむとそこに、五目の具材が貼り付けられる。
海老のてんぷら。
周りの赤い香港風の叉焼や、茹でイカ、かまぼこ、ゆで卵。
塩スープの五目ラーメンの上にのっかる具材をのっけた…、という具合にて、わかりやすくて華がある。
具を高級にして炒め合わせたのじゃなくて、具材をのっけるというこの脱力感がなつかしくって、ボクは好き。
細い蒸し麺。
それを中華鍋の中で水分を吐き出させながらこんがり焼く。
歯ごたえ、見事。
バッサバッサとした歯切れ。
でも麺の内側にはほどよく水分がのこってて、決して乾いているのではないパリパリ感がとてもたのしい。
白菜の甘みがタップリ混じって甘い、とろみあん。
シャキシャキもやしに、クニュクニュきくらげ。
どれをとっても昔ながらで、「甘いがご馳走」の昭和中期をいまだ引きずるおご馳走。
それからもひとつ、ここの名物。
サンマーメン。
横浜地方独特の、とろみのついたあんかけそばで、基本的には焼きそばのあんと同じあんがかかってる。
これまた甘い。
ちょっと太めの平打ちの、もちもちっとした玉子麺。
イタリアパスタのタリアッテレのような喉越し、そして歯ごたえ。
ヌメヌメっとしたその麺にとろみがからまり、なめらかなこと、この上もない。
実はこれ。
日本人が大好きな「玉子かけご飯」の喉越しを、ラーメンで再現したらどうなるんだろう…、って考えながら出来上がったモノ、なんだそう。
たしかに喉を満たしておなかにユルンと辿り着くまで、ヌルンヌルンとやさしく粘膜撫で回す、この食感はとても独特。
熱々がずっと続くのもあんかけパワーのすばらしいとこ。
学生の頃は贅沢で、たのむことすら考えなかった、シュウマイ。
それから餃子を食べる。
もともとここは和菓子屋さんからスタートした店。
だから粉を扱うことにかけてはこだわりがあり、今でも皮や麺は手作り。
ツルンとした皮。
ハリがあってモチモチしてても歯に張り付くような粘り気がなく、だからスルンととても軽い食べ心地。
皮そのものに甘みがあって、麺を食べても餃子を食べても、どれを食べてもやさしく甘い。
ほっとする味。
ありがたい。
昔の通ったその店が、今もこうしてあってくれること。
昔、食べた懐かしい味。
それが今もこうしてここでたのしめること。
当然といえば当然で、でもそこで働く人の我慢と情熱で、はじめて叶う奇跡的なコト。
そんなことを思ったりして感謝する。
バイバイ湘南、新宿経由で帰ります。
[0回]
2009/06/17 (Wed)
おいしい仲間
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おいしい広場
横須賀のおいしい広場。
横須賀市の郊外で、40年ほど前までボーリング場があった大きな広場があって、そこを25年ほど前でしたか…。
街の人が気軽に集まれる場所にしましょう、とレストランばかりをあつめた商業施設に模様替えした。
洋食、和食、回転寿司と最初は三店。
のちに焼肉レストランを加えて今では4店が軒を並べる、地域ではちょっとした名所のような場所になった。
普通こうして一ヶ所に何軒ものお店がならぶと、それぞれがお客様がほしいからって足の引っ張り合いになったりする。
けれどここでは、それぞれの店が互いに負けぬようにとがんばって、独自にお客様を獲得し、結果、すべてのお店が地域一番店になっている。
立派なお店が4軒ある。
…、のではなくって、ステキな店長が4人いる。
だから街の人に支持されているんだろうなぁ…、ってずっとボクは思ってる。
計画を立て、その計画通りに運営をすることの重要。
お客様のよろこぶことを考えながら一生懸命がんばって、ときにはお客様に笑顔でわがままを聞いてもらえる人間関係を作ること。
繁盛店とよばれるためにしなくちゃいけないいろんなコトを、教わりながらお店を見ます。
試食をしたのはこの2軒。
ファミリーガーデンという洋食レストランと、にぎり一丁、回転寿司。
このどちらとも日本全国でチェーン展開しているお店のフランチャイズとして始まって、けれど地元の人のあれやこれやに真摯に対応してくとどんどん、独自コンセプトになっていった。
今ではここにしかないブランドで営業してる。
自然なことかもしれないですネ…、おもしろい。
たとえばファミリーガーデンという店。
ピザにパスタにピラフにサラダ。
おいしいケーキにコーヒーと、つまり「ファミリーのハレの食事の場」としての黄金時代のファミリーレストランがそのままここに残ってる。
世代を超えて愛される、中でも力をいれているのがステーキ、それからハンバーグ。
今日はオージービーフのステーキ、もらう。
リブロース。
ほどよき厚さに切り分けられた大判の肉。
ミディアムに焼き鉄板の上。
醤油ベースのソースを目の前にてジャジャッとかけて、ジュジュッとおいしい湯気が立ち、食欲誘う。
ナイフをあてて、ザクッと切って口に運ぶと、肉汁タップリ。
顎においしいガッシリとしたまさに肉。
ご飯のおかずにシックリとくる、アメリカ的でもオージー的でもないまるで日本生まれの日本のステーキ。
いい感じ。
回転寿司では、不思議とホタテを食べてしまう。
三崎港のほどちかく。
東京湾に駿河湾。
太平洋とさまざまな海のすぐそばにある地の利を活かして、地元の魚をタップリそろえた。
たとえば今はマコガレイがおいしんですヨ…、ってすすめられはしたのだけれど、まずはホタテ。
それも活きてたホタテに生のわさびをタップリのせたのをもらってパックリ。
口の中をネットリ満たすホタテがなんともおいしくて、ああ、これこそボクにとっての回転寿司の第一番のお気に入り。
そう思う。
旬の魚。
地の魚はどれもそれぞれきちんとおいしく、しかも寿司以外にも自慢の料理があるんですヨ…、とこれ。
鶏の唐揚げ。
和食の調理スタッフが作ったレシピの、色白唐揚げ。
片栗粉でフワッと包んだ、醤油とみりんが香りを甘みを添える確かに和風の唐揚げ。
先の洋食のレストランにも唐揚げがあり、そこでは小麦粉をはたいて作ったフライドチキン的唐揚げがあり、どっちが人気があるんですか?って聞いたら不思議とここの和風のがお土産にまでなるんですよね…、って。
同じ食材。
同じような料理でも、お店、お店が特徴がある。
とてもたのしい。
おもしろい。
それにしてもアメリカ系のお客様が次々、やってきてはカウンターに陣取り寿司をつまんでく。
基地の町、横須賀という地域性。
しかも港に大きな軍艦が一隻接岸しているといい、毎日、英会話レッスンみたいでたのしいですヨ…、って。
地域に根ざしたお店であること。
ステキだなぁ…、ってそう思う。
夜の土砂降り、怖いほど…。
[0回]
2009/06/16 (Tue)
おいしい仲間
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大黒うどんに、宇和島の幸
大黒屋
っていう、うどんのお店。
七福うどんっていう7種類のうどんが名物。
大黒、弁天、布袋と、七福神の名前をもらったあったかいのあり、冷たいのあり。
普通のうどん屋さんだと、具材はせいぜい、天ぷら、お揚げに肉ってところを、ここでは自由自在にいろんな料理をのっけてオリジナルにする。
それじゃぁ、アイディアだけの変わりうどんの店なのか?…、っていうと、しっかりうどんも手作りで麺も出汁もキチンとしてる。
他にない、たのしみかたを提案しましょう…、ってサービス精神がちょっと好き。
そもそも松山。
うどん文化圏ではあるのだけれど、隣の讃岐とはまるで違ったうどんを食べる。
ヌルンとしたやわらかな麺。
歯ごたえよりも、喉越しのなめらかさの方を好む。
麺そのものより、出汁の旨みを優先しだからこうした「変わりうどんのお店」が素直に受け入れられる素地があったのかもしれません。
ここの名物。
店名をそのままもらった大黒うどん。
細めの麺を冷たい水でキュキュッとしめて、そこに出汁。
錦糸玉子と天かす、刻んだ海苔に青葱。
タップリかけて、ザザッとかき混ぜズルッとたぐる、ぶっかけうどんの体裁をとる、これがびっくりするほど旨い。
「冷たい麺はざるよりぶっかけ」派のボク的には、最近食べたうどんの中で5本の指には入るほどのお気に入り。
ツルンとした麺。
そこにフンワリ、錦糸玉子の空気を含んだ軽い食感。
ネギがシャキシャキ、みずみずしくて爽やかな歯ざわりそえて、海苔が風味を、そして天かすが旨みをくわえて、一口食べるともうやめられぬ。
気に入りました。
今度、自分で真似してみようか…、って真剣に思うほどのオキニイリ。
熱々のうどんの変り種がコレ。
弁天うどん。
とろみをつけた塩味の出汁の中に、たっぷりの野菜。
ごま油の風味がポワンと鼻をくすぐるちょっと中華料理風の味わいで、体がポカポカあったまる。
なにより野菜がタップリ食べられるのが、女性のお客様には人気なんです…、って。
確かにうどんやそばのお店に行って、野菜を食べようと思うとかなりの苦労。
てんぷらくらいしか野菜を使った料理がなくて、でもてんぷらはやっぱり野菜料理じゃないよねぇ…、て思う。
もともと調理人じゃない人が、自分が食べたいうどんでお客様もてなしたい。
…、ってそんな気持ちでできた店。
だからこうした柔軟な料理ができた…、のかもしれない。
何しろ名物の大黒うどんは、まかない料理から出世したモノ。
弁天うどんはお客様の意見が生んだ料理だっていう。
かたくなで不機嫌な職人気質が作ったのでなく、民主主義的ご機嫌が作ったお店。
いいじゃないか…、ってそう思う。
そして夜。
愛媛県の南部の漁師町。
宇和島というところに
「かどや」
という古い食堂があって、「鯛飯」「じゃこ天」「さつま」なんていう田舎の料理がめっぽう旨い、そこの松山の支店のひとつ。
「かどや半兵衛」
という寿司と刺身が売り物の気軽な居酒屋で今日の〆。
ジャコ天あぶり、寿司つまみ、これからの外食産業の行くべき道をあれこれ語る。
気持ちよき夜。
また明日。
[0回]
2009/05/16 (Sat)
おいしい仲間
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松山・すけろく・餃子に中華
松山にくる。
生まれ育った街…、であります。
街の真ん中に小高い山があり、そのてっぺんにお城があって、ちんちん電車が走ってる。
緑豊かでのどけき都会。
能天気で小さいことを気にしない、幸せなボクの性格はこの街がプレゼントしてくれたモノ…、って今でも思う。
ひさしぶりのこの街は、今日もおだやか。
いい気持ち。
「チャイナハウスすけろく」って店にきます。
ボクが小さな頃には餃子がおいしい中国料理の専門店として有名で、街の中に何軒かのお店があった。
けれどその後、人の生活の中心が街の中から郊外の住宅地の方に向かっていった、そんなタイミングで郊外型のファミリーレストランの姿を借りた、気軽な中国料理レストランに転身をした。
それがあたって、今でも繁盛。
ひさしぶりにここの餃子を食べる。
これが、本当、懐かしかった。
プルンとした薄皮。
半分カリッで、でもペロンとやわらかで中国風の風味が口の中いっぱいに広がってくる。
五香粉や八角の香りがほのかに漂う、ちょっと癖のある香りに、なるほどボクが他の地方のどの餃子にもなんだか一味足りないなぁ…、と思っていたのはこの風味だったんだ…、って再認識する。
なつかしい。
平日の昼のお店には、お年寄りのお客様がたくさん集まる。
食べなれたモノ。
メニューを見ずともたのめるほどに、ずっと昔から食べられ続けたここの料理をたのしみにくる。
たとえば冬が終わって暖かくなりはじめると、冷やし中華はまだですか?って電話で問い合わせがくるほどだともいう。
錦糸玉子に蒸し鶏に、きゅうりにシイタケ。
それらを富士山を見立てた山型に綺麗にもって、さっぱりとした酢醤油ベースのタレかけた、まさに普通の冷やし中華に、なるほどこれなら安心できる…、って思ってしまう。
お年寄りに愛される店っていいですよね…、って言ったらなんと、うちには78歳のパートさんがいるんですよ。
その人、実はお母さんのおなかの中にいたときがちょうどこの前の世界恐慌の時だったそう。
だから100年に1度の不況を二回も経験したのよ…、って最近、自慢げにいう元気がとってもうらやましい…、って。
へぇーって思う。
素晴らしい。
料理はどれも本物です。
仕入れたタレで具材をいためて出来上がり…、ってする中国料理レストランが多い今、ここはキチンと鍋の上で調味料を合わせて作る。
だからちょっとブレが出ることもあるけれど、出来合いじゃない手作りの味がする…、というのですね。
確かにどれを食べても気合の入った味。
ちなみにこの画像の一番手前にあるのが、ここの名物ラーメン。
すけろくラーメンという名前で、縮れの少ない細玉子麺を、とろんととろみのあるスープとあわせる。
とろみが麺のヌルンとした食感をより一層に引き立てて、細い数本が太い一本の麺のようになって口の中に放り込む。
唇はまるでうどんのように太い麺を感じる。
ところが口の中でとろみがなくなって、するとパサッと幾本もの麺にほぐれてちらかる。
オオッと思う。
思うまもなく麺がスルンと消えていく。
そのはかなさがとてもたのしく、次から次へと麺を口へと運び込む。
しかもとろみがスープを冷まさず、ずっと熱さが長持ちするのが、またうれしい。
ラーメン屋のラーメンじゃなく、レストランのラーメンというお行儀のよい味わいがよい。
なつかしい。
厨房の中では、ズラッと並んだ中華レンジ。
その前で、汗をかきつつ猛烈な勢いで鍋を振る人。
つまり、裏方部分はまるで昔の中国料理の専門店で、なのにお客様にはそんなコトを微塵も感じさせない努力。
テーブルにいて出てくる料理をみていると、まるでファミレスみたいな気軽とわかりやすさに満たされていて、こんなギャップを「粋」と感じる。
いい店だなぁ…、って思います。
プロの人たちが、自分たちにしかわからぬ専門用語で語る店ではなくって、お客様にわかりやすい言葉でやさしく語りかける、そんな店。
ますますいいなぁ…、って思いました。
また、来ます。
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2009/05/15 (Fri)
おいしい仲間
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