夏のゴチソウを先取りするため、今年最初のかき氷。
青山にある「とらや」に来ます。
豊川稲荷の真向かいにある、大きな暖簾が下がったお店。
格式、風格感じさせる、さすがに入りづらい雰囲気。
中に入ると、ズラリとキレイに磨き上げられたショーケース。
売り場にキレイなお嬢様方。
いらっしゃいませ…、と頭を下げる角度に時間、そして声のトーンもみんな一緒で、さすがに教育行き届いている。
地下に向かうとカフェがあります。
「虎屋茶寮」と名付けられてて、日本のいろんなところにいくつか、同じ「茶寮」が存在します。
例えば伊勢丹、高島屋。
上等な百貨店のデパ地下の一番目立つ上等な場所に、ひっそりお店を構えてて、そこでもココとほとんど同じ料理を食べるコトができる。
けれどココにはココの雰囲気。
なにより、ココでしか食べることができない料理がたくさんあって、最寄り駅の赤坂見附の駅から遠く、しかもかなり急な坂道上がって行かなきゃ辿り着かない、不便な場所でありながら、時折、こうしてやってくる。
季節は夏の入り口で、それを食べなきゃ夏をはじめるコトができない。
そう思っているアレを食べに、テクリテクリと坂道上がり、汗かきながらそしてココ。
食べようと思って来たのは「かき氷」。
実は先日、新宿伊勢丹の地下の茶寮で宇治金時を発見し、食べようかって…。
初物でして、だからココロがちょっと動いて迷います。
けれどやっぱり初物は、スペシャルな場所で食べたいから。
なにより気心知れた仲間と一緒に食べたいからと、それでその時我慢して、今日のこの日となった次第でありました。
しかもココにしかないかき氷がありまして。
それが「杏かき氷」。
乾燥杏と、それを煮含め潰して、まるでコンフィチュールのようにしたもの。
シロップは杏の香りがするお酒、アマレットを使って作った大人仕様ので、ここに来なくちゃ食べられない。
ココで一番、ボクが好きな氷でもあり、それでここまでワザワザ来ました。
ガラスの鉢に山なす氷。
円錐状の土台の部分にドライ杏で、そのてっぺんには杏のペースト。
氷の表面が透き通って見えるのはシロップたっぷり吸い込んで、かいた氷が透き通ってしまっているから。
スプーンをそっと突っ込んで、シャクッと軽くひとすくい。
口に入れると氷の香りがしてくるのです…、シロップの味はほんの最小限で味も氷の味がする、そんな気がする上等な味。
杏と一緒にすくって食べると、スキッと酸っぱくほのかに甘く杏の香りも鼻から抜ける。
間もなく夏がやってくるぞと口の中で叫んでいるようなそんなめでたさ。
友人がたのんだ宇治金時さん。
抹茶の色が深く鮮やか。
味もまさに抹茶の味で、口の中にいれると一瞬、熱々の抹茶を含んだような気がするほどの芳醇。
ココではいろんなトッピングを、くわえて自分ならではの味し作って食べられる。
一番下には当然、あずき。
トッピングとして白玉3つ。
練乳タップリかけまわし、甘みと香りと風味を足した。
この宇治抹茶のフレーバーは虎屋茶寮のスタンダードなかき氷にて、どんな店でも味わえる。
けれどココの上等で、凛と張ったような空気が一層これをおいしくさせる。
お菓子や甘味、あるいはデザート。
不思議なほどに、食べる環境でおいしさかわる…、お腹いっぱいにするものじゃなく、だから環境、空気感こそ味を決定する重要な要素なのに違いない。
ところでココのかき氷。
去年に比べてちょっと変わったように感じる。
昔のココのかき氷は、フックラまるで綿菓子みたいな状態で、やってくるのが常だった。
空気をタップリ含んだまんま。
だから一口目から、口の中での溶け感と、シャリシャリしない昔ながらかき氷。
けれど今年のコレはギッシリ、ちょっと手で押し形を作る。
富士山型の壊れにくい形をてにした代償に、一口目には潰れた氷のジャリッとするどい尖った食感感じる。
固めた表面を食べ終わると、中からフックラ。
やさしく溶ける昔ながらの氷がでてくる趣向なんだけど、なんだかちょっと勿体ない。
とは言えやっぱりココの氷は上等です。
あずきはほどよく甘く仕上がり、あずきの粒のサイズが揃い、どれひとつとして潰れてないのにウットリします。
杏はポッテリ、日向の薫りがしてピュレにしてもなおネットリとした風合い保つ。
しかも底にタップリそんなピュレが入って、後になるに従ってどんどん味が濃くなっていく…、飽きずに氷を味わえる工夫がなんだかウレシイ一品。
一緒についてくるほうじ茶が、風味豊かでほどよき温度…、冷えたお腹をやさしく温め、口の感度もよみがえる。
今年は何回、おいしい氷を食べられるだろう…、次は目白に行かなくちゃって思ってお店を後にした。
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