渋谷での仕事の一つが夕方終わりで、それで食事を近所のどこかでしようと「データベースインマイブレイン」を駆使してそうだあそこに行こうとテクリテクリと。
渋谷の街のはずれのはずれ。
もう渋谷と言うよりも代々木公園の入り口部分…、近所にNHKの放送センターというロケーションにある「魚力」という飯屋に来ます。
魚屋さんがやってるお店で、魚がおいしい。
小さいながら一階の入口部分には魚屋があり、魚や惣菜が並ぶショーケースの脇に小さな階段が…、そこをトントン上がって二階にいくと食堂があるという趣向。
ここの名物はサバの味噌煮。
サバの味噌煮という料理をを作る流儀にはいろいろあって、最近の定食屋さんとか居酒屋でたのむと大抵、水煮のサバに味噌ダレをのせて仕上げるタイプが多い。
ロスを出さずに。
手間をかけずに作るにはそうしたやり方がいいのだろうけど、やっぱり味噌でじっくり煮込んだものでなくっちゃ。
ココの味噌煮。
白味噌にほんの少しの赤味噌をまぜ、砂糖をタップリ。
甘めの味噌出汁でじっくり時間をかけて煮ている。
切り身は分厚く、脂がのっているのだけれど味噌出汁に脂が浮いていることもなく、見事にキレイで丁寧な仕事がされているのでしょうね。
豆腐にネギ。
どちらも味噌出汁の風味と味が入ってて、味わい濃厚。
サバはブリンと身離れがよく、ムッチリとした食感なめらか、骨までシッカリ煮こまれてホロホロ奥歯で崩れて味わうコトできる。
この東京でボクが知るかぎりNo.1のサバの味噌煮でございます。
それからもうひとつ、銀ダラのバター胡椒焼きっていうのをたのむ。
銀ダラと言えば、大抵、西京味噌か粕漬けにして味わうモノ。
脂がきつくてだから味噌のようなものに漬け込み、水気や脂をなじませ焼く。
ところがココのこの料理。
魚の脂をバターの脂でなじませる。
毒を以て毒を制する調理法。
これがおいしい。
ブリンとはじける銀ダラの食感そのまま損なわれず、バターで風味がしっかりついてる。
コンガリ焦げた表面が、サクッとなんとも香ばしい。
しかもムッチリ。
口の中に入れるとプルンと一旦弾けて、それがクシュッと崩れて口の中にうま味と脂の風味が広がっていく。
あぁ、オゴチソウ。
そして胡椒がタップリと。
切り身の表面が真っ黒になるほどタップリ使っているのに、脂のおかげで辛く感じぬ。
ときおりピリッと胡椒の風味がするだけで、うま味をシッカリ引き立てる。
これに大根おろし。
それからピクルス刻んでまぜたマヨネーズがついてくるんだけど、このマヨネーズをつけて食べると、まるでムニエルみたいな舶来味になるのがなんともオモシロイ。
ご飯がすすんでしょうがない。
それから刺身の盛り合わせ。
魚屋さんがやってる食堂となればやっぱり刺身を食べなきゃ損する感じ。
紙に描かれた今日の魚の中から自分の好みの魚を選んで注文することもできるのだけど、お店のおまかせの魚を盛り合わせにしてもらう。
マグロの中トロ、それから赤身。
かんぱち、イサキに生のサバ。
甘エビ、青柳、ホタテの柱にタコにイカ。
目利きの魚がズラッと並ぶ。
どれもピカピカ、鮮度抜群…、青柳なんて口に含むと海の香りがホワンとただよう。
もれなくおいしく、けれど中でも一番感心したのがかんぱちで、サクッと歯切れてネットリ歯茎にまとわりつくようなその食感にウットリします。
これら魚の料理にご飯、汁に小鉢に刺身がついて定食になる。
刺身と言っても赤身とタコとかんぱちの端材が入って、そこにワカメと大根のツマ。
案外このワカメがとてもおいしくてプルプルスベスベ、ほどよい口直しになるのにちょっとニッコリ、得した感じ。
小鉢はヒジキ…、これもシャクシャク、歯ごたえ抜群。
ご飯と汁はおかわり自由で、そのおかわり自由の汁がしじみタップリのしじみ汁。
しじみの出汁が強烈で味噌はほんの少々、色が付く程度…、にもかかわらず味噌の風味がしじみ独特の臭みをキレイに中和する。
ちょっと汁を飲むとお椀の水面一杯にしじみが顔を出すほどの、なんともめでたく豪華なサイド…、ご飯を一杯おかわりをして、今日一日の〆とした。
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