表参道で昼を迎えるコトになり、それでまい泉。
まい泉といえば、デパ地下や商業施設の中に販売店を持つ、カツサンドのおいしいお店ってイメージがある。
けれど青山のこの本店にやってくるとテイクアウトブランドじゃなく、老舗の豚カツ専門店なんでございますという空気がビンビン伝わってくる。
表参道の裏路地にある重厚な造りのお店の外観からして、ただのとんかつの店には思えぬ雰囲気…、ステーキだとかしゃぶしゃぶだとかを売っていそうな、上等な店構えにまずはドキドキします。
なにしろ今時、駐車場に整備員を置ける飲食店はそれほどはないです
しかも笑顔が素敵で、お店を出入り禁止するお客様にいちいち頭を下げながら、「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」と声をかけてくれる人がいるお店なんてそうそうなくてただそれだけでもうれしく感じる。
お店の中も活気があって、けれど騒々しい訳じゃない。
身をおいていて疲れぬ空間。
ありがたい。
ランチはかなりの混雑で、しばらく待ってカウンターい腰落ち着ける。
テーブル席を待つ人よりもちょっと早めに座れるところがうれしくて、まるでファストパスをもらったような気持ちになれる。
まずはお茶。
分厚いタオルのおしぼりに、大根おろしが小鉢に少々。
それを食べて料理がやってくるのをまってくださいな…、という趣向の気づかい。
ジアスターゼでお腹の調子を整える。
オイシイものを作る努力も必要だけど、オイシイもので、もてなす工夫もしなくちゃステキな食事になってくれないワケであります。
気がきいている。
豚カツの店ではあるけれど日本料理が程よく揃って、例えば今日の定食は根菜類の煮物に鮭の塩焼きがついた小さなロースかつ。
ちょっとでも栄養バランスを保てるような気がしてうれしい。
女性に一番人気という、御膳料理を選んでたのむ。
しばらく待ってやってくる大きなお膳。
その表情はココが豚カツの店というコトを、一時忘れさせてくれるような雅でにぎやか。
まず目に付くのは蕎麦であります。
ザルの上にこんもり盛られたツヤツヤしていて、みずみずしい蕎麦。
半生麺?…、あるいは乾麺かもしれないですね、ゴリゴリとした力強い歯ごたえたのしく、食べ応えのある独特の食感痛快。
それにお寿司がつくという、ちょっと田舎のみならず宴会料理のような風情が面白い。
ここに天ぷらがつけばまさに宴会料理。
けれどココは豚カツの店…、当然ながらカツがつきます。
それも少量。
ヒレカツ、それから椎茸フライ。
もともとココのカツはサックリ、脂っこさを感じぬように作られていて、特にヒレカツのホロッと前歯でほぐれるような食感は、魚のフライを食べてるような気持ちにさせる。
自慢のソース。
甘くてポッテリ。
野菜のうま味が風味を添える甘口ソースの他に辛口。
お店だけでしか提供されない、ウスターソースのようにサラッとしててスパイシーで野菜のフライにピッタリとくる。
千切りキャベツも辛口ソースで食べると、甘くてシャキシャキ、食感あざやか、オゴチソウ。
寿司のクオリティも確かなもので甘エビ、鉄火、赤身に中トロ、ヒラメと程よき品揃え。
何をどの順番で食べましょうか?と迷うたのしみ。
いわゆる豚カツ定食にはないたのしさで、確かにご婦人方がこれをはじめとして好んで食べるのが分かる気がする。
食事において、オトコは迷うコトを嫌って、いつものモノを好んでたのむ。
女性は逆に存分に迷ってたのしむ…、なんてステキと思ったりする。
季節の小鉢は菜花にイワシ。
梅と一緒にジックリ煮込まれて、ホロッと崩れるイワシの苦味と、菜花のたのしいほろ苦さ…、油で疲れた舌をなだめてご飯をおいしくしてくれる。
程よき量でお腹をみたし、くるたび勉強できるウレシイお店、またこよう。
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