赤坂で昼…、無性に冷麺が食べたくて、それでチョンギワ新館に来る。
昔、横浜の中華街の重鎮に話を伺うコトがあって、彼曰く。
中国料理店が沢山集まっているコトが中華街の価値であり、ただそこで商売し続けるということは他のお店の同等の料理よりも特徴があって明らかにおいしい「名物料理」を手に入れるコト。
その代表的な例が崎陽軒という会社なんだ…、と。
赤坂は東京にいくつかあるリトルソウルのひとつであって、ただ韓国料理店の中で「これが名物!」と自他共に認める料理をもってるお店は数少ない。
この店の「水冷麺」。
そんな少ない名物料理のひとつであります。
ランチタイムの人気はスンドゥブチゲ。
外は寒くて温かいものがいいのでしょうけど冬には冷麺。
スンドゥブチゲはそもそも暑気払いに食べるモノだよ…、と粋を装い冷麺たのむ。
まずはサラダを味わいながら、ゆっくりやってくるのを待ちます。
平壌風の細い麺。
灰色がかってはいるけれど、若干色白。
しかも極細で春雨よりも細いかも…。
その麺をクルンとまるめてボウル状にしてそれをスープの中に沈める。
透き通ったスープがなんと凍ってて、ボウルを揺するとシャリシャリ涼しい音がする。
具材はシンプル。
茹でた牛すじ肉をスライスしたモノに、半割にしたゆで卵。
酢漬けのキュウリがあるっきり。
寂しいほどに潔く、けれどこのシンプルこそがココの冷麺をおいしく味わうための極意なのでしょう…、だって味わうべきはスープのうま味でありますからして。
お店の人がニコッとしながら、鋏を取り出しジョキッジョキッと麺に十字の切り目をいれる。
頂きますと、まずはスプーンでスープをすくってゴクリと飲むと、さすがにヒヤッと口の中から喉を伝ってお腹まで一直線に冷たい筋ができていく。
キリッとお腹が冷たくなって、ところが舌の上に濃厚な肉のうま味が広がっていく…、とても上等なコンソメスープから焦げ臭さを取り除いたような味わい。
口の温度で氷がとけて、スープ自体の温度もゆっくり上がっていくとその濃密なうま味がどんどん強く、豊かになっていく。
細いくせして歯ごたえがあり、噛もうとするとネチッと粘って歯からスルリと逃げようとする…、それをすかさず捉えて噛むとムチッと豊かな噛みごたえ。
なによりスープを口へと誘うその極細の麺の力にウットリします。
芥子をプチュっと搾って入れて香りと風味を鮮やかにして、一緒にどうぞとやってきた大根の甘辛酢漬けを乗っけて一緒に味わうと、シャキシャキとした歯ざわり、歯ごたえたのしくて、お腹がますますすいてくる。
冷たいモノを食べているのに、お腹がどんどんあったかになる。
体がシャキッと元気になって熱いものを食べたときより、体がポカポカしてくるような気持ちさえする…、この冷麺ってまるで寒中水泳みたいな食べ物かもネ…、って思ったりした。
また来なくちゃ…、オキニイリ。
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