夜、有楽町でおいしいモノをと、「葡萄屋」という焼き鳥屋さんに来る。
銀座インズっていう高速道路のガード下をそのまま使った商業ビル…、大盛り炒めパスタの聖地として有名な店も入居するたのしいお店が入る地下にある。
本当は「三州屋」って言う魚が旨い居酒屋に行こうと思ってお店にいった。
そしたら早い時間というのにもう満席で、少々待っても入れなそうに感じてそれで、そうだここならなんとかなるかも…、ランチタイムに何度かやって来たコトがある。
民芸風の店づくりが、いい意味で銀座っぽくない渋い雰囲気。
鶏肉はあまり好きじゃないボクも、味わい深さにウットリできた。
夜はどんな雰囲気だろう…、とやってきたらば、これがにぎやか。
ほぼ満席という状態で、けれど一卓。
4人で座ってワイワイするのにちょうどいいテーブルが残ってて、そこをもらって落ち着いた。
お店の真ん中にある焼き場で次々、鶏が焼かれる。
もくもくと煙が上がって、お店の中を和服のおねぇさんたちがキビキビ歩く。
古き好き日の飲食店。
居酒屋的な気軽さと、料理屋風の凛としたおいしい空気が混じりあう。
こりゃいいじゃない…、とそれでまずは焼き鳥たのむ。
ズッシリ大きな串であります。
もも肉なんて一切口に含むとタップリ口いっぱいを満たすボリューム。
脂ものった健康的な鶏肉で、歯ごたえ確かでうま味が広がる。
鶏皮、ぼんじりと塩味の串も素材の持ち味活き活きとして、何よりレバー。
ブリンと角が立っていて、噛むとプルンと表面はじける…、そしてネットリ、レバーらしさこの上も無き食感、そして香りがにじむ。
焼き鳥なんて上品で気取った料理じゃ本来なくて、口いっぱいに頬張る料理…、だからこうした焼き鳥がボクは大好き、オキニイリ。
それにしても不思議な客層。
いぶし銀的人たちとでもいいますか…。
落ち着いたサラリーマンが中心で、スーツ姿が凛々しい人たち。
その人たちと一緒に女性や若い後輩サラリーマンと言った雰囲気。
銀座という街。
買い物銀座であると同時に、丸の内や新橋というビジネス街で働く人の遊び場でもある。
その後者の銀座がココにある。
そういう人達が馴染みにできるお店ならではの、たのしい料理がいくつか揃う。
「冷やし鶏」って言う季節のメニューがあってこれ。
鶏のもも肉を出汁の中でジックリ煮込んでそのまま冷ました料理であります。
骨も一緒に煮込んだスープ。
そのゼラチンでプルンとゼリー寄せになる。
アイスバインのようでもあって、氷河の中に埋まった何かを掘り出すように箸でせせるとがっしりとした鶏の身がバサッとほぐれる。
ひと口食べると、なんとオモシロイ。
ツナの缶詰のとびきり頑丈なモノを食べてるみたいな味わい。
そして食感。
ところが口で徐々に脂がとろけてまるでコンビーフみたいにもなっていく。
一緒にひやしたキュウリやピーマン、茄子などの野菜に鶏のうま味が入って、夏の暑さをしのぐにぴったり…、食べてたちまちオキニイリ。
どんな店でもあると必ずたのんでしまう、鶏の唐揚げ。
これもムッチリ、歯ごたえたのしくたくましい鶏そのものがおいしくて、中にズッシリ醤油味したタレのうま味が染みこんで、噛むとジュワリと肉汁中から飛び出してくる。
ちょっと高めの上等な店。
けれど料理はシッカリしてて、なにより女将さんたちの笑顔とキリッとしたサービスが気持ちをホっとほぐしてくれる…、いい店一軒、発見です。
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