昼を銀座の「矢部」に来る。
料理をつくるのが好きで好きでしょうがない「矢部さん」という方がやっていらしゃる割烹料理店。
調理道具から手作りしちゃうほどに料理に愛着のある。
たのしく、笑顔がステキな人で、もう10年近くもお世話になってる。
〆の蕎麦が有名で、ランチは蕎麦だけでも利用することができるというのがうれしいお店。
今日は昼の蕎麦を、まずはいただきましょう…、と。
蕎麦をたのんで、まずはおしのぎ。
一口大の寿司をもらった。
ひとつはサバのロール状の寿司。
脂がのってサクッと歯切れて、それと同時に脂がジワッとにじんででてくる。
キッチリ固めに巻き込んだシャリがムチュンと食感確かで噛みごたえもある…、寿司の形をした前菜と思えばなんとも味わい深い。
カワハギを肝と一緒ににぎったにぎりと、ザックリ切ったガリが盛られて一揃え…、厨房の中で料理ができていくのをみながらワクワクしながら待ってると…。
やってくるのが季節の蕎麦の「かきそば」一杯。
ポッテリとした木の椀に熱々の蕎麦。
牡蠣に三つ葉に海苔をあしらい、湯気と一緒にやってくる。
丁寧にとられた出汁の香りがフワッとただよい、みるみるうちに牡蠣の周りの出汁が白濁してきてウットリ。
海のうま味がにじんでおいしくなったところをズズッとまず味わって、蕎麦を一筋たぐってスルリとお腹の中へと流しこむ。
旨いなぁ…、酸味やエグ味を感じぬように、ほぼ純粋なるうま味が舌の上に広がるこのシアワセに、気持ちがホワンとおだやかになる。
牡蠣をプチュンと噛むととろりと。
なめらかにして豊かなうま味がやってきて蕎麦の香りがひきたてる。
食べてるうちにどんどんお腹がすいてくる。
なんてステキなゴチソウなんだろう。
特筆すべきは海苔の見事な存在感。
ギッチリ、高い密度で編まれたまるで板のごとき頑丈で、出汁を少々吸おうが壊れず、みずみずしさだけ取り戻す。
散り散りにならずトロンとなめらかになり蕎麦にからんでお腹の中におさまっていく。
香りも見事なオゴチソウ。
それから納豆うどんを追加でもらう。
うどんに卵黄、ネギに納豆、海苔に鰹節。
蕎麦出汁加えてそれらを一気に目の前でかき混ぜかき混ぜ、空気をタップリ含ませてまるでカルボナーラのような状態になるまで練って、さぁ、どうぞ。
自家製のうどんは、その表面から芯まで等しくがっちりしてて、スルンとたぐりこめないほどに頑丈なでき。
つまりゴリゴリ。
噛んで味わうコトが必要。
噛んでる間、ずっとうま味を麺の表面にとどめおくため、納豆の泡を活用している。
顎を使って噛み続けると、小麦のうま味がグイグイやってくるのがたのしい。
ボクが納豆という食材を、初めて食べることができるようになった記念すべき料理であります…、オキニイリ。
ポテッと濃厚なそば湯をもらい、体の中に自然な滋養をタップリ注ぐ。
そしてデザート…、和食屋さん的洋菓子がココのもひとつの名物でもある。
例えば黒豆のババロアや、今日もらったプリンが定番。
ツルンととてもなめらかなプリンに黒蜜カラメルの甘みと香りが切なさくわえ、グレープフルーツの苦味と酸味でキリッと後味ひきしめる。
何度来てもウットリするほどおいしくて、安定している…、また来なくちゃって背筋が伸びます、オゴチソウ。
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