ひさしぶりの仙台の街…、半年ほど前にやってきたときは復興景気に浮かれたような、熱っぽさを感じたココも、平常心をとりもどしつつあるようで、かつてのやさしく穏やかな空気を感じてなんだかニッコリ。
現地のお客様を回って仕事。
こんなときだからこそ、人と人とのつながりがとても大切。
働く人とお客様とのつながりや、働く人同士のつながりを再構築するコトが、ステキな飲食店を作りなおすコトなんじゃないか…。
今おそらく、日本のどんな場所よりも「やさしくココロいやされること」を必要としているこの地域において、やさしく感じる店づくりってどんなモノかとか…。
あれこれたのしく打ち合わせをして、お昼ごはんを食べるの忘れた。
空腹すらも忘れるたのしい仕事ができて、あぁ、よかったなぁ、とそれで最後の仕事の場所へ…、夜はお腹の仕事です。
「仔虎」という、焼肉専門店にやってくる。
米沢牛にこだわった、とても上等な焼肉店で、もしかしたら東京にもなかなか見当たらないほどに若々しくて、真剣で、真面目においしい肉を追求しているお店。
近々、国分町の中にお店をオープンさせる。
その打ち合わせをかねてきました。
お店のコンセプトは早々にきまり、設計もでき、ところがお店を作ってくれる手が足りない。
復興需要で建築業者さんの手配がなかなかつかず、それで着工が先送りになっていたのをなんと解決しましょうと。
無事問題は解決されて、それでめでたく焼肉ディナー。
今ここで主力にしているコース料理を試食しましょう…、というコトになる。
ひさしぶりにビールをグビリっ。
あまり過ぎると足の先っぽが痛くなるから小さなグラスにグビリと一杯。
あぁ、生き返るとプハーッとやって、そして前菜。
帆立のグリルに韓国醤油とにんにくバター。
韓国かぼちゃを下に従え、風味豊かな三陸の幸。
後ろにそえられているのがナムル。
グリーンアスパラ、トマトとモツァレラ。
それから明日葉と、およそナムルの素材にみえぬ…、けれど塩と油と出汁の風味、味わいはまさにナムルでビックリします。
素材それぞれの香りがいきいき、口の中でひろがっていく…、腹ペコの胃がギュギュッと開いてお腹が空いてるコトをしたたか思い出す。
肉の前菜をお持ちしました。
そういいながら、まずはローストビーフがきます。
高級な焼肉店でこうしたコース仕立てにすると、肉の刺身がでてくるところ。
けれどここ。
米沢牛のようにサシが入って脂のおいしい肉は、生で食べると味がぼやける。
ちょっと熱を通して食べた方がうま味がシッカリ伝わる。
それでロースト。
しかも薄切りローストビーフと、サイコロ状に切った分厚いロースト肉を一緒に添える。
噛んだ食感、広がるうま味、脂の状態、そして香りと肉の形が違うとこれだけ違って感じるんだなぁ…、とちょっとビックリ。
使った肉はももの外側。
普通赤味が強いもも肉も、米沢牛のようになるとそれでもシモがふっている。
タップリのせた柚子胡椒すら、辛く感じぬほどのうま味になおさらビックリ。
それから続いて肉のにぎりがやってくる。
これはネットリ。
口の中が一瞬ヒヤッと冷たくなって、最初はシャリの酸味が広がる。
ところがそれが一転、霜降り肉のサッパリとした脂の風味と肉の酸味におきかわり、最後にわさびのツーンツと鼻に突き抜ける辛みで終わる…、目が覚める味。
そろそろ肉を焼きましょうかと、それで塩モノばかりを並べたお皿がきます。
分厚く切られた牛のタン。
焼肉屋さんの牛たんって、なんでこんなに薄いんだろう…、仙台牛たんの厚さがあって初めてタンはおいしいのに…、っていつも思うのだけれどココ。
その牛たんが分厚くしかもとても上物…、網にのせると脂を垂らし、煙となって再びタンにはりついていく、風味の良さが際立って、ザックリとした歯切れの良さもオゴチソウ。
イベリコ豚のロース肉を、ジェノべぜソースをまとわせながら焼いてそのまま食べてみせたり、コラーゲン質タップリのスネ肉焼いて、コリッと食べたり。
牛肉と一言でいってしまうのが、申し訳なく感じるほどに多彩な味わい、堪能します。
そして〆にタレ焼きを焼く。
大きなお皿にキレイに盛り付け、うやうやしくもやってくる。
この美しさまを見よ!と自分に言い聞かせつつ、ウットリとしたこの盛り合わせ。
このお店。
厨房の中で料理を作っている人は、和食出身の職人さんで、肉をあたかも魚の刺身の盛り合わせのごと、よそおい盛って提供してる。
日本の人にとって食欲そそられるのは、生の肉じゃなく生の魚であるはずで、だから肉を肉と感じさせぬように提供しようという心がけ。
とは言えひとつひとつの肉は誠に立派。
焼くとギュギュッと身を縮め、脂を吐き出し自分の肌で沸騰させる。
口に含むと脂が最初にヒヤッととけて、肉のうま味に置き換わる。
さしが入ってうつくしく、けれど決して脂っこくはないのがステキで、いくらだって食べられちゃいそう。
今日一日の仕事の〆が、こんなステキなゴチソウだとは。
なんだかうれしく、ありがたい。
電車の時間が近づいて、〆の食事を待たずして失礼しました。
あぁ、残念。
ここの冷麺は絶品で、それだけ食べに来てもいいかと思うほどにて、それに御目文字できずに席をたつご無礼を、ごめんなさいねと自分のお腹に誤った。
また参りましょう。
新しい店ができる8月までには再び、やってきますと挨拶をして新幹線に飛び乗った。
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