富山の「テジカエン」という韓国料理の専門店で仕事とします。
富山市の郊外立地…、車がなくてはこれない場所でそんなところに韓国料理のお店を作っていいものかって、開店する前はいろんな人が心配をした。
けれどそんな不安は杞憂に終わる。
もともと富山駅の駅前近くで韓国料理の繁盛店を持っていたから、その評判も手伝ってでしょう…、わざわざ車でお客様がやってくる。
それも女性のお客様がほとんどで、今日も雨の中をやってくるのは女性客。
女性同士か、あるいは女性が主役の家族連れ…、おいしいモノへの好奇心は圧倒的に女性の方が強いというコトなのでしょう。
そのご婦人方の好奇心と向上心に負けぬように、料理を絶えずブラッシュアップいたしましょう。
と、それで新商品やこれからメニューに加わるであろう試作料理をあれこれ試食。
おいしい仕事とあいなりました。
まずはサムギョプサルのニューバージョン。
今でも、サムギョプサルがココのお店のナンバーワンの商品で、これは大久保に端を発する韓国料理店はほとんどがサムギョプサルを売り物にする。
豚の三枚肉を石版でこんがり焼いて、葉っぱでくるんで食べるというモノ。
脂ののった分厚い肉を、なるべく分厚く切って焼くのがおいしいのだけど、分厚くするとコストがかかる。
それだけじゃなく、焼ける時間がかかるから忙しいお店はあんまり厚く売らない。
手間がかかっても、時間がかかってもやっぱりおいしい料理を食べて欲しいからと、これから主力していくつもりの富山の銘水ポークの厚切りサムギョプサル。
分厚い肉がキレイにやけるよう、細かく包丁を入れて表面カリッとするようにして、それでもキチンと焼き上げるにはかなりの技量を必要とする。
けれど脂を存分に吐き出しながら、自分の脂で揚がっていくように表面カリッと。
細かく入れた切り目がまるで松かさみたいにめくれ上がって仕上がっていく。
中はふっくら、シットリしてて肉汁ジュワッと口に広がり、たちまち元気が舌から体にみなぎる感じ。
旨いんだなぁ…、この分厚さを経験するとなかなか普通のサムギョプサルには戻れなくなる、ルビコンの川を渡るが如きオゴチソウ(笑)。
で、焼き始める前の洒落ゴコロ…、キムチの土から元気に育つハート型の花。
脂の分厚い側面を最初に焼いて、石版に脂をなじませおいしく焼けるようにする。
ただそれだけじゃぁつまらないから、ちょっとお絵かきしてみましょうと、とある大久保の繁盛店の流儀を真似て、それからこんがり。
見事に焼けた豚肉を、まず塩をつけそのまま食べると、もうおいしい。
脂がおいしく、けれど若干、重たく感じるそれと一緒に焼いたキムチや、あるいは酢漬けのネギをタップリのっけて食べると、いくらだって食べられる。
サムギョプサルは、普通葉っぱ野菜でくるんで食べるのがおいしいんだって言われるんだけど、これは別。
葉っぱでくるむと豚肉自体の旨みや風味が損なわれる。
勿体無く感じるほどに、肉がおいしくもうそのままでバクリバクリと。
それと一緒にキンパを食べる。
焼いたスパムとキュウリにえごま。
白髪ネギをタップリ巻いて、それからマヨネーズという、ここオリジナルのレシピで作る。
旨いよ、旨い。
ネギがシャキシャキ歯ざわりよくて、キュウリがシャキシャキみずみずしい。
ご飯自体に塩と胡麻油の風味がついてて、薄味なのにうま味がグワッと口に広がる。
いくらだって食べられちゃうのが玉に瑕(笑)。
おいしいキンパになかなか出会えないよねぇ…、ってちょうど数日前に友人と言っていたのを思い出しつつ、これをお土産にもって帰りたいって思ったりする。
他にもオーソドックスにタクワン、カニカマ、おでんにキュウリを巻いたキンパも作ってもらい、どちらもえごまの葉っぱの香りがおいしくさせるアクセントだねって言ってニッコリ、食べ過ぎる(笑)。
定番料理を一工夫した新作料理。
トッポギにスパムやソーセージを入れてホットなトマトソースを加えてチーズ。
かなり辛いソースがチーズとスパムの脂で中和され、食べやすいのに後からグイグイ辛味が襲ってくるお酒がすすむ楽しい料理。
プデチゲ味といえもするけど、アラビアータのようでもあってつくづくイタリア料理と韓国料理って似たモノ同士って思ったりする。
キムチチヂミにチーズをくわえて焼き上げたもの…、発酵食品同士が手に手をとってうま味に向かってくシャキシャキとした食感にモッチリとした生地の歯ざわりもたのしくて、まだまだ試食が続くというのにもう十分に満足している、今日の夜。
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