午前中から昼にかけ、京浜東北線を北から南に移動をしながら、午後は横浜…、横浜駅の近隣の仕事に備えてランチをします。
勝烈庵というお店。
横浜限定のとんかつの店。
かつてとんかつという料理が「カツレツ」と呼ばれた時代があった名残りのこの店名。
今では「カツレツ」といえば洋食屋さんの肉料理。
スープとサラダと、パンを従えやってくるモノ。
一方、とんかつと言えば和風の専門店で、千切りキャベツを背景に、ドッシリとした分厚い体を横たえて、ご飯と味噌汁。
漬け物などを引き連れお膳になってくる。
いつ頃、どこで、そうなったのか。
いっとき調べてみようかと、思いはしたけど諸説混在、あきらめた。
民芸調のこの店の、風情は和風。
「カツレツアン」という名が遠い昔に思いを馳せる。
関東の町にあって、「ハイカラ」という言葉が一番似合う横浜らしい名前と思ったりする、さて、ランチ。
そういえば、ココのとんかつ。
薄くのばしたロースの肉を、ほぼ長方形に形を整えパン粉をギッシリつけ、揚げる。
見た目はとんかつというよりも、カツレツみたいにみえるんだよね…。
ところがそこにソースをかける。
お箸でつまんで、ご飯のおかずに食べるというハイブリッドな、和魂洋才。
その独特をあじわいましょうか…、と思いもしたけど、なぜか突然。
エビフライを食べたくなった。
それというのも案内された席が揚げ手の真ん前で、たまたまその手にエビがある。
ドッシリとして重たげで、無理矢理のばしてサイズを偽ったりしていない。
正真正銘、大エビで、それを揚げる準備をしていた。
それで思わず。
お水とおしぼりもってきた、サービス係りの人に元気に「エビフライをいただきます」って言った途端に、揚げ手のおじさんと目と目があった(笑)。
軽く会釈で、よろしく、お願いいたします。
エビフライって普通はキャベツを山盛りにして、そこに沿わせてピンッと立たせて盛りつける。
けれどココのは立たせて盛るには大きいのでしょう。
それにキャベツと触れるところが濡れてしまって、サクッとならない。
だからお皿に身を横たえて、ゴロンと転がりやってくる。
食べやすいように真ん中を、スパッと斜めにまっぷたつ。
その断面は盛り上がるよう。
ブリンとエビの身が顔を出す。
汗をほんのりかいてツヤッと色っぽいエビ。
噛むとムチュンと前歯をくるみ込むよう、したたか最初は抵抗し、それが瞬間、ブチッと歯切れてちぎれる弾力。
甘くて香り濃厚で、エビを食べてる…、って実感がわく。
タルタルソースは付いてきません。
ソースが自慢。
甘くてちょっとセロリの香りがフンワカ漂うスパイシーな自家製ソース。
パンコや油がソースの持ち味を発揮して、一番おいしくなるように最適化されているからソース。
かなりタップリ使って食べても、素材の持ち味殺さない。
殺すどころか油の風味をひきたてて、おいしくさせる、こうしたところに力を注ぐ、さすが老舗と感心します。
扇のごとくきれいに開いてあがった尻尾。
カリカリ、サクサク。
そこまで甘い。
歯に軽快な砕け心地がたのしくて、お皿の上のすべてがきれいになくなっていく。
甘み、風味が程よく残った千切りキャベツ。
なにもかけずにそのまま食べると、緑の香りがさわやかでフライをますますおいしくさせる。
堅めのご飯。
ツヤツヤとして、口の油をきれいに拭って次の一口ねだらせる。
大根を千切りにして塩でもんだ浅漬け風。
みずみずしくて、やさしい味に舌がホッとしてくれる。
サイドを控えるこれらすべてが、メインの料理を際だたせるような、身の程知ったほどよいおいしさ。
ただ例外がシジミのお汁。
こってりとした味噌の風味と、貝のうま味がドッシリしてる。
これでご飯が一膳余分に食べられる…、そんなおいしさ。
本当はネ…。
シジミの殻に貼りついた、身のひとつひとつをきれいに剥がして食べたいところ、それも無粋と我慢をしました。
ズッシリ、重たい木のお椀…、分厚い木材を繰り抜いて、なんどもなんども漆木をかけて作った漆器で手にやわらかな中のお汁の温度を伝える。
口をつけてもなめらかで、おいしさ以上においしく感じる上等さ。
ご飯のおかわりしたいところ、ココ数日の過食をリセットするために、キャベツをおかわり…、ご飯の代わりにお腹に収めて膨らます。
そんなコトを気にするのなら、エビフライなんて食べなきゃいいのに「ゴメンね、胃袋ごめんなさい」…、そう言いながら横浜駅の周りをグルグル、散歩をします。
ほどよき昼のオゴチソウ。
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