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2024/11/27 (Wed)
かどや半兵衛、宇和島料理
勉強会を終え、夜の懇親会を地元の和食のお店でします。
「かどや半兵衛」というお店。
宇和島にある、宇和島料理の老舗のひとつ。
「かどや」という料理屋さんが、松山に作った料理屋さん。
できた当初はちょっとおしゃれな和食を売ってるお店だった。
けれど松山にあって、宇和島の海の幸をたのしむお店があればいいのに…、って街の人たちの声に押されて宇和島料理をメインにしたお店に模様替え。
愛媛県という県は横に長い県。
西から南予、中予、そして東予と三つの地域に分かれてる。
昔はほとんど交流がなく、だからそれぞれ文化が違った。
文化が違えば生活習慣が違って当然。
料理なんてまるで違ったモノを育み、郷土料理が多彩になってく。
特に宇和島が属する南予。
高知や九州、宮崎に地理的に近いというコトもある。
江戸時代には伊達のお殿様が収めていたというコトもあり、独自の文化が根づいてる。
しかも日本屈指の漁港や漁場があり、鮮度の高い魚が豊富に手に入る。
だから松山という、同じ県でありながら違った地方の街の人には、エキゾチックな料理がたくさんあるのですネ。
ココでなくては食べられぬ、もてなし料理をあれこれ作ってもらって食べる。
まずは刺身。
キラキラとしたキビナゴが、ココは九州に近いところと教えてくれる。
ひとつひとつ、指でしごいて開いて仕込む。
ゴリゴリとした骨がちょっと残っているのが好きな人にはたまらぬゴチソウ。
これからグングン、脂がのっておいしくなってくブリの切り身。
角が立ってて、味わい濃厚。
そういえば、田舎にいた頃、正月用の魚と言えば、まずは鯛の浜焼一尾。
それにブリがやってきていた。
関東に来て、正月の魚が鮭というのにかなりビックリしたのがナツカシイ。
サザエの刺身に鯛の刺身とまさに宇和島のおいしいとこがあれやこれやとドッサリ揃う。
それを食べる醤油がこれまたおいしい。
甘い。
そしてコッテリうま味がきいている。
関東の食の文化は風味の文化。
だから醤油もサラリとしてて、香りがたつように出来上がってる。
けれど関西。
特に四国から九州にかけての文化は「コク」の文化で、醤油もコッテリ、コクがある。
このお醤油をつけて食べて下さいネ…、と。
魚用の醤油をもらう。
これがドッシリ、味わい濃厚。
コッテリ濃くてけれど塩辛さはほとんど感じぬ…、甘くてまるで出汁が入っているんじゃないかって思えるほどにおいしさがある。
このお醤油で炊いた鯛。
それを一尾まるごと使った、宇和島を代表するもてなし料理。
鯛そうめん。
鯛とソウメンの組み合わせって、実は松山にもあるのですね。
鯛がお客様をおもてなしする一番いい食材。
ゴチソウ食材の代表でもあり、だからちょっと豪華な食事にかかせない。
そのゴチソウをソウメンと一緒にどうぞ…と気軽にお腹におさめてもらう。
粋な料理とでもいいますか。
肩の力をストンと抜いたたのしいゴチソウ。
しかもみんなでつついて食べる。
あるいは店のご主人が、大切なお客様にみずからせせって小分けにし、さぁ、どうぞと振舞う食べ方。
食卓を囲んだ人を仲良くさせる。
松山のそれは焼いた鯛をソウメンと一緒に食べるという鯛ソウメン。
鯛は焼くのが一番のゴチソウだからと、松山の人は思っていたからなのでしょう。
けれど宇和島の鯛ソウメンは鯛を煮る。
鯛の煮汁を出汁にまぜ、それをソウメンにタップリかけて食べるという、鯛のうま味を一滴残さず食べ尽くす贅沢なモノ。
煮た鯛のキチキチとした食感と、ツルツル、そうめんの異なる食感がとてもたのしく食べはじめるとやめられぬ。
ソウメンなのにコッテリ味で、だからお酒もすすんでく。
それからちょっと変わった名物。
「ふくめん」というコレも鯛を使った料理。
お皿に一杯に、焼いた鯛をほぐしてこまかくデンブ状にしたモノを白と赤。
鯛の身の色をそのまま活かしたモノと、食紅で色を整えたモノの2種類をまず飾る。
青いネギ。
それから黄色の部分はみかんの皮を刻んだモノで、それを色鮮やかにキレイに盛る。
その下に、控えているのが実はこんにゃく。
甘辛味に煮た板こんにゃく。
それを包丁で千切りにする。
糸ごんにゃくを使って作ればもっと簡単にできそうなモノ。
けれどこんにゃくを切ってつくるからこその歯ごたえがあるというので、その作り方にいまだにこだわる。
だからもう、これを作る人も少なくなったんですよ…、と。
食べるときには全部をくずして、ガガッと混ぜる。
きれいなお皿が一瞬にしてこんにゃくの、灰色がかった色に変わる瞬間が、なんとも儚く贅沢で、こういうもてなし方もあるんだなぁ…、と思ったりする。
だってボクらのために手間暇かけて、それを一瞬にして台無しにする。
「made for you」のひとつの表現方法だよなぁ…、ってウットリします。
味はやっぱり甘くて旨い。
鯛の風味がほんのり香り、けれどみかんの苦味と酸味がピリッとたのしいアクセントになり、しかも香りが口の中を爽快にする。
切りこんにゃくのコリコリでもなく、プルプルでもなく、クニュクニュでもない固い歯ごたえが新鮮で、食べはじめるとこれまたクセになる料理。
宇和島といえばじゃこ天でして…。
小魚…、つまりじゃこをまるごと。
皮から、骨から使って作った練り物を、油でフックラ揚げて作った宇和島名物。
最近では真空パックになったものとかが、東京なんかでも手に入るようになりはした。
けれどフレッシュ。
今朝揚げたのをそのまま運んで食べられる。
分厚い。
しかもしっとり、フックラ。
噛むとホツっと骨の名残りが奥歯をたたき魚のうま味がジンワリ広がる。
魚を食べてるような感覚。
これにも甘い醤油がピッタリ。
そして〆。
宇和島といえば「鯛めし」で〆というのが決まりで、その鯛めしがちょっと変わっているのです。
普通、鯛めしは鯛をまるごとご飯と一緒に炊き上げる土鍋ごはんの体裁をとる。
けれど宇和島の鯛めしは、鯛の刺身を生卵を溶いた出汁に絡めてご飯に乗っけてたべる。
しかも玉子を溶いた出汁をタップリ、ご飯に一緒にかけるので、まるで卵かけごはんのようなザブザブとした食べ心地。
満腹でも。
酒をタップリ飲んだ後でも、これならお替りできるというほど喉になめらかなゴチソウ。
…、なんだけど、残念ながらボクは卵かけごはんが食べられない。
それで鯛の刺身をご飯にのっけわさびを溶いた醤油をかけて海鮮丼のようにした。
あぁ、こういう時に好き嫌いがなければもっと食の世界が広がるのになぁ…、って思ったけれどしょうがない。
ブリブリとした鯛の食感たのしんで、良き〆とした。
そしてデザート。
まずはポンジュースを使ったゼリーっていうのを食べる。
ポンジュース。
ボクの中では半ばトラウマ。
小学校の頃、愛媛農協がオレンジ輸入自由化を前に、なんとか温州みかんの消費量を増やしたいとそれで作ったポンジュース。
ボクら、小学生が食味調査をすることとなり最初はビックリするほど酸っぱく苦く、まるで薬のような味だった。
今でもポンジュースを飲むとき最初に、おそるおそる味見をしちゃう。
ココのジェリーは当然そんな心配なんてまるでない、普通においしいゼリーで安心。
それからここの隠れた名物…、アイスモナカをごちそうになる。
アイスモナカという商品のそのほとんどは、アイスクリームを小麦を焼いた生地でくるんだ最中の形をしただけのモノ。
ところがココのアイスモナカは最中の皮で包んだアイス。
中はラクトアイスで甘み控えめ。
サラッとくちどけさわやかで、いくら食べても喉が渇かぬサッパリ味。
冷たくしてても最中の皮がへたっておらず、パリッと歯切れてやさしくユックリとろけてく…、お年寄りなんかまとめ買いしてお風呂の後には必ずこれ…、っていっていただいているんですよ、と。
このままコレをもち、道後温泉の本館でお風呂を浴びたらシアワセだろうなぁ…、って思ったりした、そんな夜。
明日も一日、おいしい勉強いたします。
かどや半兵衛
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2011/11/01 (Tue)
東京以外のレストラン
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かどやさん
新しい門出に鯛料理とは、なんとも縁起が良いですね。サカキさんの笑うかどに、たくさんの福が来ますように。
梅さん / 2011/11/02(Wed) /
編集
めでたい料理
> 梅さん
たしかに、ありがたい夜でした。
みんなが同じものを食べ、飲んでたのしむ。
おいしいモノの力ってスゴイなぁ…、って再認識いたしました。
笑うかど…、忘れず開くようにいたします。
サカキシンイチロウさん / 2011/11/02(Wed) /
編集
初めまして!
初めまして。いつも素敵なお店を、お知らせくださりありがとうございます。自分は松山出身なので懐かしく嬉しくなります。
「宇和島のかどや」さんが、松山にお店を出していた事、初めて知りました。今度帰省したら是非行きたいです!
すけろく、すしまる、とても懐かしいです。子供の頃、すでに「お母さんへ」の紙はすけろくに貼ってあったのを憶えています。
いつも素敵なお店を、お知らせくださりありがとうございます。
チャイティさん / 2011/11/03(Thu) /
編集
同郷ですね!
> チャイティさん
はじめまして、同じ街のご出身。
これからもよろしくお願いいたします。
そば吉だとか、あかのれんだとか、他にもたくさん、松山のナツカシイお店がありますよね。
今回は本当にひさしぶりの松山でしたが、また再びと思います。
サカキシンイチロウさん / 2011/11/03(Thu) /
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