そして夜…、大人の遠足のメインイベントを六本木にて…、上海蟹を食べに集まる。
「小天地」。
東京の上海蟹の聖地の一つでもある「中国飯店」のディフュージョンラインとでもいいますか。
小さなお店。
個室もなくてテーブルもちょっと小さめ。
テーブルとテーブルの間隔が狭くはあるけどお店のど真ん中に階段があるという変則的な店舗のために、必ずどこかが死角になって他のお客様の目線がまるで気にならない。
接待には向かいないけれど、少人数の仲間同士のカジュアルなパーティーなんかにはいい感じの店。
その分、値段も安めで使い易かったりする。
それで今日、クリスマスイブを贅沢しましょうと蟹にした。
渋谷からバスにのって六本木ヒルズを目指して移動。
スゴい渋滞でありました。
ヒルズのクリスマスイルミネーションをみる車で246は大混雑。
バスの中も、おそらくそのイルミネーションをみにいく人たちなのでしょう…、カップル率がとてもたかくてラブラブ印が飛び交っている。
クリスマス。
愛の季節でございますねぇ…、羨ましい。
いいんだ…、ボクらは「上海蟹ラブ」でいくんだよね…、といつもよりちょっと余分にバスにのりそれで到着いたします。
地下の一番奥のまるで、個室みたいな一角に、腰をおちつけさていただきましょう…、と料理を選ぶ。
定番メニューに今の季節の上海蟹。
あまりメニューは変わらぬお店。
だって、ここの名物を食べに来るのがおなじみさんの流儀ですから、メニューを変える必要はなし。
ボクもいつもの料理をたのむ。
メニューみずともソラで言えるほどでございます。
まずは前菜、押し豆腐。
絹ごし豆腐を押して固めて、軽く干すようにして薄切り、細切り。
歯ごたえコツコツ。
湯葉と高野豆腐の真ん中みたいな食感の豆腐に香菜。
白と緑がうつくしく、それを塩とネギの油であえただけ。
シットリ、しかもフルフル口で固い豆腐が本来のなめらかだった頃を思ってよみがえる。
コリアンダーの緑の風味も潔く、お腹をすかせて食欲わかせる、ココで一番好きな前菜。
それから上海蟹の前菜。
酔っぱらい蟹をもらってチュバチュバ。
紹興酒の中に浸かって体を休めた蟹は、身があめ色に透き通り手づかみにしてススッと吸うとチュルンでトロンと舌にまとわりついてくる。
オレンジ色の玉子がトロリと甘みをもって流れだし、コッテリ、歯茎にねばりつく。
舌先つかってそれをこそげとりつつネロリと、うま味をユッタリ確かめる。
ああ、この味で、この食感。
今年も一年がんばりました…、すみずみまでを丁寧に味わいますからよろしくお願いいたしますと、お祈りしながら食べてるうちに蒸し蟹やってまいります。
上海蟹もはじまった頃は女の子、寒くなるにしたがって男の子がメインになってくる。
玉子のホツホツネットリとしたメスもおいしい。
けれど精巣がネットリブルブル、口のすみずみにまとわりついて、まるでおいしいマウスピースのように顎をがっちりかためる濃厚は、ひときわおいしくそれでオス。
ココのお店はお店の人が蟹をさばいて、食べやすいようにしてくれるのでありましてだからボクらはただただ味わうコトに集中すればよい。
だから無言にならなくたってよさそうなもの…、でも無言でムシャムシャ、食べるコトに集中しちゃう、寡黙を作る容赦なき味。
殻にこびりついた精巣、そして内蔵、本体の肉、そして爪。
食べるところが変わると味わい、それぞれ異なり、たべはじめるともう夢中。
蟹って不思議な食材で、種類が変わるとまるで別の食材じゃない?って思ってしまうほどに味が違って感じる。
バターで焼いたタラバ味わい。
玉子をもったワタリガニ。
シットリとした毛蟹の蒸し身。
どれもそれぞれ独特で、味の優劣つけることができないおいしさ。
この上海蟹の濃厚と、栗を感じる身の風味って、やっぱり何にも例えられないおいしさがある。
そのおいしさをもれなく味わいつくしましょう、とできた料理が板春雨と煮込んだ料理。
ネットリとした煮た板状の春雨がまるでフカヒレみたいな食感。
それに蟹の肉のうま味と玉子がコクを出してネットリ。
口のすみずみ満たしてトロンと、お腹の中に流れこむ。
あぁ、ありがたい、オゴチソウ。
それからココの不朽の名物。
黒酢の酢豚をガシッと食べる。
大きぶりの肉。
ぶつ切りにした筋肉質の豚肉をガリッと揚げて、それを黒酢でトロリとかためる。
中国料理のとろみ文化の見事で秀逸なところにウットリ。
コホンとちょっと咳き込むような、けれどそれが酸っぱいか?と言えば決して酸っぱいのじゃなくお酢のうま味がドッシリ、肉にまとわりついてる。
これでご飯をモリモリ食べたい…、そう思いつつ、今日の〆。
麺とチャーハン。
スーラータンと坦々麺、それにココの名物チャーハンの中国醤油で炒めたモノ。
中国醤油は甘くてコッテリ、カラメル風味でまるで九州の刺身醤油のような味わい…、それ自体が味と風味の塊でだからそれで炒めただけで十分おいしい。
固めのご飯、そしてラードで食感、香りをくわえてパラっと仕上げる、噛めば噛むほどおいしくなってく見事なゴチソウ。
スーラータンは絶品でした。
トロンとお腹に酸っぱいスープが流れこみ、後にポっと胡椒の辛みと甘みが残る。
それに比べて坦々麺の、かつてのおいしさ亡くした凡庸。
決してそれがおいしくないと言うわけでなく、けれどなんだか悔しくて、これで〆てしまうのがちょっとさみしく感じた夜。
たのしい散財、またこなくっちゃっと気合を入れる、クリスマスイブ。
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