朝、芝公園のル・パン・コティディアン。
ベルギーに本店を持つオーガニックなパンが売り物のお店でかつて東京プリンスホテルの経営するコーヒーショップがあった場所を見事に改装して使ってる。
入り口部分にパンの小売店、うつくしい手仕事を眺めるコトができるパン工房にダイニングルームがシームレスにつながってパンの王国のような空間をつくってる。
ヨーロッパでパンというのは対面販売で売られるモノ。
なのにココでは日本風にセルフサービスでパンをみながら自由にとって選んで買える…、風情がないと思うのか、それともそれが便利と思うか、微妙なところ。
ダイニングルームで朝食にします。
このお店の象徴的な存在でもある大きなテーブル。
予約をせずにフラッと一人でやってきて、同じテーブルを囲む人たちと同じ時間を共有できる。
その大テーブルの上にはコンフィチュールやペースト類が瓶ごと置かれて並んでる。
パンをたのむと、それを好きなだけ。
自由に選んでパンと一緒にたのしむコトができるのですね。
お皿を持ってジャムを収穫しにいくみたいな感じがたのしい。
いちじくの種がプチプチおいしいジャムにアプリコットに黒すぐり。
皮がタップリ混じってホロッと苦いマーマレードに、イチゴの粒が残ったジャム。
ヘーゼルナッツやチョコスプレッドと、白いお皿に乗っけていくとパレットの上の油絵具のようになるのが、目においしい。
それをパンにのっけるように塗って食べると、まるでパンに絵を描くごときたのしい味わい。
ココのパンはスリムなのに筋肉質で、しかも味わい深いまるでバレリーナみたいな焼き上がり。
だからパンもジャムとスプレッドもどれもが互いに引き立てあっておいしくウットリ、食べはじめると手が止まらない。
何よりチョコスプレッドをほぼ同量のバターと一緒にパンにのっけて食べると、あぁっってため息が出る…、しばらく言葉も見つからず、ただただため息。
日本のパンはおいしく作られすぎている。
パンとはそもそも、何かと一緒に味わうコトで口の中でおいしくなっていく食品。
ミルクやワイン。
あるいは料理やスプレッド。
唾液でさえもが調味料になってく訳でだからおいしく作りすぎるのは野暮というもの。
日本の人が白米に味を付けずに食べるのと同じコトだと思うのですね。
日本のパンは味付けご飯。
もったいないなぁ…、って思ったりする。
スリムなパンだからこそ、味わい引き立つ料理がこれ。
タルティーヌ。
料理をパンに乗せて味わうフランス風のオープンサンド。
6種類ほどの料理が用意されていた。
フルーツだったり、豆を潰してつくったフムス…、どれもおいしそうに思えたんだけど、目についたのが「エビとアボカド」。
たのんでみるとこれがゴージャス。
アボカドをペーストにしてそこにクミンシードの香りとサワークリーム。
茹でたエビにバジルソース。
トマトピュレで酸味をそえて味わうもので、ザックリとしたパンが口の中でトロンとなめらかになる。
エビがプリプリ。
ディルとクミンの香りが地中海の南っ側のような味わい、風味を醸す。
他にも朝の料理がいくつか…、脂ののったスモークサーモン、ハーブのオムレツ、ハムとチーズを挟んだクロワッサンのサンドイッチとどれもパンにピッタリ料理。
中でもハムとチーズを挟んだクロワッサンの、ザクッと歯切れてバターが口のすみずみ濡らして消えていく、そのゴージャスにウットリします。
それにしても近所に住んでいる人なんでしょう。
欧米系の紳士がお店の人と握手をしたりハグしたり、大人の朝はこうしてはじめるもんなんだよ…、って教わるみたいでうらやましい。
今日は「手仕事たのしむ」大人の遠足…、先はまだまだ長い朝。
関連ランキング:カフェ | 御成門駅、大門駅、芝公園駅
[4回]
PR