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サカキシンイチロウノホトンドゼンブノブログ
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    映画を觀ます…、「イノセント・ガーデン」というアメリカ映画。
    inocentgarden.png東京で4館ほどの映画館で上映されてる、けれどそれらがほぼアート系の小さい箱で、ニコール・キッドマンが出ていながらの地味な扱い…、理由はわかる。
    監督が韓国の鬼才と呼ばれるパク・チャヌク氏で、彼の初のハリウッド映画という、興行側にしてみればかなりリスキーな映画であるに違いない。
    韓流映画とも呼べずハリウッド大作とも呼べぬ宙ぶらりんなポジションで、しかもサスペンス・スリラーという地味さであります…、観る人選ぶ映画でもある。

    7e934786.jpegつい最近まで、飲食店だけが入ったテナントビルの地下。
    ビアホールがあったところを改装し、作った小さな劇場、映画館。
    低い天井というハンディキャップをもろともせずに、傾斜をシッカリとった客席。
    すわり心地の良い椅子にまずは感心。
    劇場の中はちらりほらりと10人ほどという入りですか。
    大々的な宣伝もしていないから、しょうがないかと思うんだけど、これがどうにもいい映画。
    個人的には、今年一番。
    いやいや、ここ数年で5本の指にはいる名作と思うほど。

    オープニングから、目が離せない。
    小さな音、スクリーンの中の小さな動き、文字にセリフとすべてに意味がありそうで、息を詰め見ているうちに胸が痛くなってくるほど、話の中にのめりこんでく。
    もしかしたらと思う予測が次々見事に裏切られ、まさかと思う結末に雪崩をうって転がり落ちる。
    「落ちる」という表現がピッタリとくる内容で、エンドロールも下からせり上がってくるのでなくて空から文字が落ちてくる。

    inocent1.jpgニコール・キッドマンが儚く憐れで、しかもあまりにうつくしく、それがなおさら憐れを誘うよい役柄を演じてる。
    主演の女優さんが、グウィネス・パルトロウがトビー・マグワイアのお面をかぶったみたいな表情してて、その不自然が実はこの物語の一番の見どころだったりするのもスゴい。
    もっといいたいコトがある。
    けれど、言ってしまうとネタバレになる。
    だから言わずにおきましょう。
    機会があったら是非みてください…、絶対、損はしないから。

    それにしてもまたもや邦題。
    イノセント・ガーデンって一体、ナンジャラホイ。
    配給元はこれを文芸映画として売りたかったの?
    わけわかんない。
    困っちゃう。

    原題は「ストーカー」。
    つきまとう人としてのストーカーではなく、苗字としてのストーカーで、そのあたりを混同されたくないからなのかもしれません。
    けれど、この映画。
    ストーカー家の物語。
    ストーカーという苗字をいただく人に流れる禍々しい血のなせる業が大切なテーマなのだから、もっと邦題の付け方があったろうに。
    特にパク・チャヌクという監督はずっと「血」を描いてきた人。
    代表作に復讐三部作っていうのがあって、「復讐者に憐れみを」「オールドボーイ」「親切なクムジャさん」と、どれも人の体の中に流れる愛と憎しみの血がドクドクほとばしりでる様を描いた、コッテリとした作品ばかり。
    「乾き」なんていう吸血鬼映画を描いた作品も、当然ながら「血」がテーマ。
    だからこの作品も「庭」がテーマじゃなくて、「血」の物語としてイメージづけをしてほしかった…、まぁ、個人的なる希望ですけど。


    そもそも「純真無垢」って訳されて、なにやら前向きな意味で日本では使われるイノセントって言葉…、本来、世慣れていないとか罪の意識もない半人前と言った後ろ向きなニュアンスを持った言葉で、例えば「あなたってイノセントだね」って大人が言われたら喜べない。
    罪から無縁というコトは褒め言葉じゃなく、罪も意識できない人、と言われたコトって思え!というのが西洋世界の理なのです。
    罪深いとは人間的というコトで、ボクはとっても人間的(笑)。
     

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