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サカキシンイチロウノホトンドゼンブノブログ
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    1960/01/26
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    朝を近所で和食にします。
    1209.jpg日本海側の今日の日本は荒れ模様。
    けれど東京の空は驚くほどに青くて高くて、スキッと天まで見抜けるようでお天道様に感謝しながらテクリと歩く。
    空気が湿気を殆ど含んでいないからでしょう。
    街の景色も輪郭がくっきりしてて、とても透明…、その分、風が冷たくて歩く速度も早歩き。

    弁天庵で、いつものように、ほぼ全部のっけの朝定食をたのんで食べる。

    asatei.jpg玉子焼き。
    納豆、それから山芋とろろ。
    顎にやさしいモノばかり。
    考えてみれば朝食料理には「なめらか」系と「ガリガリ」系の二種類がある。
    シリアルや良く焼きパンの朝食は、顎を直撃する朝ご飯。
    おかゆやフレンチトーストは、顎を使わず食べることができる朝食…、あまやかし。
    日本の朝ご飯って、不思議なほどに顎を使わずスルンと食べるコトができるモノばかり。
    消化に良いから…、というコトなのかもしれないけれどお膳に並ぶ料理の中に、ひとつくらいはコツンと奥歯を叩いてくれる、モノがあってもいいんじゃないか。
    そんなコトを思いながらも顎を今朝もあまやかす。

    やわらかな焼けた玉子が層をなす、日本のこうした玉子焼き。
    なんでこんなにおいしいんだろう。
    オムレツにしてもスクランブルエッグにしても、どこを食べても同じ食感、一本調子。
    けれどクルンと丸めながら焼きあげていく硬い部分とやわらかなとこが、噛むと次々やってくるこの食感のにぎやかさって、他の料理にないオゴチソウ。
    ココのご飯はちょっと固めの炊きあがり。
    ホツホツとした歯ごたえが、とても快適。
    海苔がパリパリ。
    こうしてみると、過激ではない、程よい歯ごたえがこの和朝食にもあるんだなぁ…、ってちょっとウットリ。
    さてさて仕事をいたしましょ。

    ところで昨夜。
    家で食事をしながらDVDを観てました。

    tompa.jpg韓国映画。
    「息もできない」って言う題名で、劇場まで観にいきたくはあったのだけどほぼ単館な扱いで、気づけば終わってしまってた。
    ヨーロッパでは数々の賞を受賞したという。
    この監督のデビュー作。
    しかも脚本、主演までもを一人でこなす。
    さすがにスポンサーがつかなかったのでしょう…、自宅を売って制作費を調達したというその情熱の結晶のような一本。
    劇場で見たかなったなぁ…、って心底、思うほどの出来栄えでした。

    アウトローな映画であります。
    韓国社会の最底辺を生きる人たち。
    暴力以外に表現手段ともたぬ愛に飢えた人たち。
    見知らぬ者同士の人生が、微妙に絡まり縺れ合い、なのに何事もなかったかのように日々の生活が続いていく。
    圧倒的な表現力です。
    最後まで、息もつかせずグイグイ、気持ちを引っ張っていく。
    恐ろしい映画でもある。
    目を背けたくなるほどの残酷と、後味の悪い毒を含んだすべてが人のココロの中に巣食う影の部分がなせるワザ。
    日本の映画が「呪い」だとか「祟り」だとか言う超常的なモノの中に逃げこんで、直視するのを避けていた人のココロの中の暗闇。
    それをベロンとさらけ出して魅せる手腕にビックリしました。
    複雑な人間関係。
    なぜそうなったかの理由のすべてを観ているボクらは知っているのに、画面の向こうで演じている登場人物は誰ひとりとしてそれを知らない。
    まさにこれこそサスペンス…、って思いもしました。
    なにより、演じる役者の顔がみんないい。
    情けなくって、けれど情が深くって、情が深いがあまりに他人の損まで背負い込んでしまう人間的な人たちが、とても身近に感じられるのも不思議なところ。

    現代は「トンパ」となってて、直訳すると「糞蝿」って感じの言葉なんだと聞きました。
    たしかにそんな、どうしようもない人間たちの葛藤です。
    英語のタイトルがBreathlessで、その直訳で邦題が「息もできない」ってなったらしくてそれがなんとも残念なとこ…、だってこの映画が持っている執拗にまとわりついてくる絶望感を表すのに「糞蝿」って言葉以上の言葉はなかなか見つからないから。



    こうした映画ができる韓国…、熱いなぁって思いますネ。
    「映画でしか表現出来ぬコト」を必死になって生み出そうとしているこうした製作姿勢。
    今の日本の映画界にはない真剣でうらやましさすら感じたりする。
    時間があったら是非是非、これを。
    出来れば一人でなくて大切な人と一緒に観て感じたことを包み隠さず語り合ったりするのもいいかなって思いもします…、オキニイリ。

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    無題
    なるほど、たしかに日本の朝ご飯は優しいものが多いですね。おもしろいです。そんななかでお漬物が私にとっては顎系です。アクセント的な位置付けですが。朝、まだすっきりしないうちからお漬物を噛むとはっとすることがあります。
    Ryoさん / 2010/12/09(Thu) /
    息もできない!
    武蔵野館で見ました。韓国のコレ系の映画って見たあとで「・・・」ってなりますね。圧倒されるし、「面白かった」という簡易な言葉にはなりにくいというか。そう、まさに誰かと語ってみたくなります。井筒監督の「ヒーローショー」もよく似た映画ですが、いろんな意味で日本的だったな・・と、この映画を見た後だったので余計にそう感じました(でも好きです)。
    イトーユキさん / 2010/12/09(Thu) /
    キュウリ
    > Ryoさん
    キュウリの漬物のみずみずしさ。
    カリッとかじった瞬間に噴き出す緑の香り。
    たしかに漬物って日本の朝の歯ごたえを代表するものですね。
    サカキシンイチロウさん / 2010/12/09(Thu) /
    韓国的
    > イトーユキさん
    こうしたタイプの韓国映画。
    暴力的なほどに凄さを感じさせてくれますよね。
    オールド・ボーイや、カムジャさん。
    最後の最後まで目が離せない魅力があります。
    大好きです。
    サカキシンイチロウさん / 2010/12/09(Thu) /
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