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サカキシンイチロウノホトンドゼンブノブログ
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    1960/01/26
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    渋谷のミニシアターにて映画を觀ます。
    最近、娯楽大作系の映画ばかりで、渋谷の小さな映画館はひさしぶり。

    アンダーグラウンド」っていう映画。

    under11.jpg1995年に公開されたフランス・ドイツ、ハンガリーの合作映画でその年のパルム・ドールを受賞したっていう映画のデジタルリマスター版。
    試写室みたいな小さな映画館。
    あまりの人気で本当は昨日で上映終了だったのだけど、一週間の上映期間延長となる。
    それで見るのに間に合った。
    運が良かった、アリガタイ。

    テーマは重たい。
    第二次世界大戦からユーゴ紛争にいたる50年間。
    そこで必死に生きていこうとする人たちの姿を描いた物語り。
    エミール・クストリッツァっていう監督。
    旧ユーゴスラビアのサラエヴォ出身。
    今のボスニア・ヘルツェゴビナの人で、この作品を撮ったのが1994年前後。
    つまりボスニア紛争の真っ最中。
    だから気合の入り方が半端無く、3時間弱という長丁場映画にもなっていた。

    ca954bbc.jpgところが…。

    いい映画って時間を忘れさせるのですね、あっという間の3時間…、笑って、泣いて、劇場を出た後も、しばらくココロが熱いまんまで思い出しつつ涙がでました。
    今までに観た映画の中でも5本の指に入る映画と感じ入る。

    戦争から逃れるために地下に逃げる人たちがいる。
    20年間。
    戦争が終わったのにもかかわらず、まだ戦争は続いているよと騙さされてずっと地下に隠れる人たち。
    だから題名がアンダーグラウンド。

    当然、貧しい。
    貧しいけれど、皆がそれぞれを助け合い、仲良くシアワセに生活をする。
    みんなが同じものを食べ、みんなが同じ目標を持ち、誰かを恨んだり誰かを妬んだりすることのない世界に住んでる。
    まるで天国。
    ココロのシアワセがそこにはあって、けれどそれを地上から見ている人がいるのですネ。
    彼らを騙して地上で住んで、ひとりでシアワセになった人。
    経済的にはシアワセで、けれどココロのシアワセのないかなしい人が、ココロのシアワセはあるけれど経済的なシアワセのない人たちをみて、かわいそうだと思いながらもどこかで埋まらぬココロの空虚を味わい続ける。
    そこはまるで地獄のような世界だったりするのですよね。

    underground.jpgココロの豊かをなくしたら、どんなに財布が豊かでも人生なんて、はい、それまでよ…、ってわかっちゃいるけど忘れてしまう。
    そんな大切が映画の芯にズシンと入ってる。

    結局最後は、地上と地下の境が壊れて、地獄と天国がごっちゃになる。
    それまで蓋をしていた怨みや妬みが一気に吹出し、世界が混沌に巻き込まれていく…、それが戦争。
    最後は結果、めでたしめでたしになるのですけど、その大団円の寸前にその戦いの原因を作った人が「許してください」と主人公にたのむのですネ。
    許しをこわれた人はこういう。

    「許してあげる…、けれど絶対、今までの仕打ちは忘れない」って。
    忘れるコトを「許す」と翻訳する人がいる。
    それはそのまま「忘れることができないから許せない」というコトになり、それがそのまま戦争になる、そんな不幸が世界中でずっと起こってる。
    忘れてはならぬコトはあるけど、人を許すことを恐れない勇気ある寛容こそが世界を平和にするんだろうなぁ…、ってそんなコトを思った今日の3時間。

    予告編を貼っておきます…、もうこの動画をみているだけで気持ちが熱くなってくる。



    何かがあると歌って踊る。
    おいしいモノをみんなで分けあい、お酒を飲んで笑って踊って、そして疲れてぐっすり寝れば明日は明日の風がふく。
    生きて行くって、そういうことかもしれないなぁ…、って思ったりもする。
    スラブ系のロマの音楽が全編にずっと流れているのがたまらぬ魅力でもありまして、サウンドトラックにしばらくハマりそうな勢い…、明日も元気でニッコリと。
     

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    ■ コメント一覧
    嬉しい出会い
    久し振りに大笑いして、大泣きして。
    劇場出てからも
    感情押え切れなかった映画って
    なかなか無いんですが…いやあ、本当に素晴らしかった!
    サカキさんの文章読んでるだけで
    涙腺刺激されて大変でした。
    まりおさん / 2011/10/22(Sat) /
    一番前で
    > まりおさん
    一番前の真ん中で、おじさん二人が泣きべそかきかき見てるさまって、なかなか壮観だっただろうなぁ…って思いますね。
    いい映画。
    よくぞ、今日もやってくれてた…、って思います。
    サカキシンイチロウさん / 2011/10/22(Sat) /
    無題
    どんな映画なんだろ?
    お二人が泣いた映画、ちょっぴり気になります。
    lovekuma69さん / 2011/10/23(Sun) /
    間抜けな人たちの
    > lovekuma69さん
    間抜けな人たちの間抜けな人生。
    純粋が故に人を傷つけ、けれど最後は許してしまえるおバカな人たちの物語りであります。
    こういうのに、弱いのだよ…、おじさんたちは。
    サカキシンイチロウさん / 2011/10/23(Sun) /
    無題
    大好きな映画、大好きな監督。このVHSがあるために、ビデオ再生機を捨てられないです。今劇場でやってたとは知らなかった~。あの窮屈な、見づらい映画館・・でも見たい!情報ありがとうございます~。
    イトーユキさん / 2011/10/23(Sun) /
    無題
    ああ、すっかり忘れてました。いくとしたら最終日しかないですが、何とかがんばってスケジュール調整します。
    MOMIOさん / 2011/10/23(Sun) /
    一番前で
    > イトーユキさん
    たしかにとんでもなく小さく見づらい映画館。
    この日は一番前のど真ん中で足を伸ばしてみました。
    その窮屈もまるで気にならない素晴らしい3時間。
    ぜひ。
    この人気を機に、DVDが販売されることを切に願っておるしだいです。
    サカキシンイチロウさん / 2011/10/23(Sun) /
    ぜひぜひ
    > MOMIOさん
    やっぱり映画館で観たい映画。
    小さく場末感が漂うこの劇場ならではの、臨場感とでもいいますか、特別な気持ちがもてるように感じました。
    サカキシンイチロウさん / 2011/10/23(Sun) /
    そう、おじさんは弱いんです
    私も先週拝見しました。
    いやあ3時間短かったですね。
    楽しくて、悲しくて、良い友達がいて・・・
    時代に放浪されつつもたくましく生き残って、
    それにブラスバンドがいつも鳴っていて。

    ちなみにデジタルリマスターも秀逸なので、昔見た方ももう一度どうぞ!
    かぜさん / 2011/10/23(Sun) /
    久しぶりに
    観たくなりました。
    デートリッヒの凛々しいリリー・マルレーンが頭の中をぐるぐる。
    学生の頃レンタルビデオで観て以来・・・、思い出して胸が震えましたよ。
    doramiさん / 2011/10/23(Sun) /
    リリー・マルレーン
    > doramiさん
    リリー・マルレーンがこれほどあう映像って他にないですよね。
    実写映像との合成シーンがまるで嘘っぽくなく、しかも物語に真実味を与えている。
    これほどファンタジーで嘘っぽい物語もないはずなのに、現実以上に現実っぽく見える不思議。
    さすが、名監督の作品ですね。
    サカキシンイチロウさん / 2011/10/23(Sun) /
    泣かされました
    > かぜさん
    デジタルリマスター・バージョン。
    特に合成部分がとても自然な感じになってましたよね。
    ドキュメンタリー映画のような雰囲気…、なのにお伽話。
    おじさん、やられちゃいましたね!
    サカキシンイチロウさん / 2011/10/24(Mon) /
    年末年始再再スクリーン
    12月24日からまた4しゅうかんやりますよーっ
    しろはなげさん / 2011/11/26(Sat) /
    スゴいですね
    > しろはなげさん
    なんと、再リバイバル。
    この勢いを借りて、リマスター版のDVDが発売されないかなぁ…、って思います。
    うれしい情報。
    どうもありがとうございます。
    サカキシンイチロウさん / 2011/11/26(Sat) /
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