大人の学芸会を前にして、昼を鉄板焼きにする。
新宿の歌舞伎町のど真ん中に「車屋」というとても上等な和食のお店が一軒あります。
今となってはちょっと場違い。
歌舞伎町は大人の夜の歓楽街。
このお店のまわりもいささか怪しいお店がたくさんあって、そこにぽつんと会席料理を提供しているココがある。
なんでこんな場所にと思ってしまうほど。
けれど「歌舞伎町」と言う名前の通り「歌舞伎という伝統的にして上等な文化をたのしむ街」にしようとできた街。
言ってみれば「オペラ座のある街」になるべくできた街で、そこに上等なレストランがあるのは当然。
…、だったのですね。
そこの別館。
歌舞伎町の中ではなくて、靖国通りを挟んだ健全な新宿の街のど真ん中にある。
こじんまりとしたビルの全部がこの店で、そこの一階。
お店のほとんど全部を使ってカウンターがぐるりと設えられている。
全部で20人ほどが座れる店で、中に立っている調理人ごしに反対側に座っている人の顔が丸見えというまるで炉端焼きのお店みたいな気軽さで、さすがに接待なんかには使いないけどその分、手軽な値段で楽しめる。
なにしろランチタイムは1000円前後でたのしめる。
しかもしっかり目の前で。
調理人が肉を焼いてくれるというのがなんともとてもありがたく、だからでしょうね。
お客様が溢れてる。
8種類ほどのランチメニューから好みものを選んでたのむと、まずはサラダがササッと即座にやってくる。
そのスピーディーがまずはゴチソウ。
レタスの上に切り昆布。
それもカリッと揚げたモノ。
最近、葉っぱ野菜に塩昆布という組み合わせのサラダが一般的になりはじめてるけど、揚げた昆布を乗っけたモノってなかなか他に見ない特徴。
パリッとみずみずしい葉っぱとカリッとした昆布がであって口の中がトロトロしてくる。
その食感の変化がたのしい。
歯に舌、そして頭がたのしむお料理で、どんどん食欲湧いてくる。
そうだ、前菜をひとつとりましょと、それで牡蠣を焼いてもらった。
牡蠣に粉をはたいてそれをバターと一緒に鉄板で焼く。
焼いてるうちに、牡蠣からおいしいジュースがでてくる…、それを牡蠣の表面の粉が吸い込みトロンとしてくる。
中はまだレア、外はカチッと焼けたところで口に運ぶとクチュっと中から海の滋養が流れだしてくる…、本格的にお腹がグイグイすいてくる。
ハラミのステーキ。
ちょっと大きめの一口サイズに切り分けた、ほどよく熟成をきかせたハラミ。
焼いたお肉を箸で食べるというときに、このサイズっていうのがとても大切。
ナイフを使わず食べやすいようにしなくちゃいけない。
けれど本当に一口でストンと口に収まるサイズに切ってしまうと「肉を噛み切る」というたのしさを、味わうことができなくなっちゃう。
ところがあまり大きく切ると、今度は本当に噛み切れずナイフがほしくなってしまう。
噛み切ろうかなぁ?
それともパクッと食べきろうかなぁ…、と迷う程度の大きさを、カプッと口に放り込む。
それが贅沢。
粋な食べ方というコトになる。
ここのサイズは見事にほどよく、塩と胡椒で表面カチッと、中は肉汁ほとばしりでる焼き加減にウットリしつつ味わいたのしむ。
自家製の濃厚デミソースにてキレイに仕上げたハンバーグ。
合いびきの肉。
パテを手のひらの上でペチペチ、薄く伸ばして焼いたモノ。
ほどよくジューシー。
けれど今風の肉汁ほとばしる系ではない、クラシックな仕上がりでそこにタップリ乗っけたソースがとてもよく合う。
ソースの上に焼いた野菜。
パプリカ、ピーマンと彩りゆたかで、特にネギ。
玉ねぎじゃなくてネギをこんがり焼いたのがいいアクセント。
トロンと芯がなめらかでシャクシャク、食物繊維が頑丈。
ふんわりとしたハンバーグパテの食感を引き立てとても良いパートナー。
ご飯とこれがあうのです。
洋食の味。
そこに和風の香りと食感が混じってだから、ご飯のおかずにほどよい感じ。
付け合せには茹でたじゃがいもを甘みが出るまでソテしたオニオン。
豆をくわえてバターソテしたジャーマンポテト風の料理が添えられていて、これがこれまたお腹にたまる。
出汁のしっかり聞いた味噌汁。
浅漬大根と紫蘇の実くわえた大根の葉の漬物そえてハフハフ食べる。
お腹と気持ちがあったまる、ほどよき贅沢、よい師走。
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それからちょっとヤボ用があり、表参道に移動する。
凄い人ごみ。
電車がつくたび、次から次へと人が駅から吐き出されてくる…、外国からの観光客がかなりの割合しめていて、この街、実は日本の人たちよりも特にアジアの人には人気があるのかもって思ったりする。
そしてお茶…、昨日いったばかりのセガフレード・ザネッティにいって昼のデザート替わりを食べるコトにした。
かなりの人気でありまして、お店の中はギッシリ満タン。
エスプレッソにジェラート…、プリンの味のジェラートがあり、ためしてみればたしかに口の中にはプリンがやってくる。
なのにサラッと口溶けてたちまちなくなり、舌の上に残るのはミルクの味という不思議。
そこにコクリとエスプレッソを飲むとスキッと口がさっぱり、アフォガート風の余韻を残して大人のデザート…、出来上がり。
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