新宿ではじめる今日のコト。
いつもとは違うお店で朝を食べてみようかとちょっと冒険。
「珈琲タイムス」という店にくる。
前からちょっと気になっていた店。
けれど入ってみるには若干、勇気のいる店でした。
それというのもこの店のある場所。
新宿の中でもちょっと暗めであやしい場所でしたから。
JRの駅の東側ではあるこのエリア。
けれどどちらかと言えば南口。
今、JRは一生懸命、新宿駅の南口を正面玄関のようにしようと再開発の真っ最中。
まもなくバスターミナルを擁する立派な駅舎が開業しようとしているけれど、かつてこのエリアは場外馬券売り場のある街。
赤鉛筆を耳にのっけて背中を丸めたおじさんたちが、うろうろしている場所だった。
今でも名残が感じられ、パチンコ店が沢山ある。
今朝も実質上の週の初めというコト。
おそらく新しい台が設置されているのでしょう…、おじさんたちがズラッとパチンコ店の前に行列作って待っている。
新宿の三越が鳴り物入りで別館つくった場所の近所で、その意気込みも吹き飛ぶほどにこの界隈はおしゃれや安心と程遠い、昼なお気持ちが暗くなる街。
そこに昭和の風情のお店が生き残ってる…、気にはなってもなかなかドアを押す勇気まではでなかったワケ。
今日はちょっと勇気を出して、おはようさんとドアを押す。
うーん、想像通りに中は昭和でしかもおじさんだらけの様子に、ドキドキします。
白いタバコの煙がたなびいていて、けれどお店がかなり大きいことと換気がいいからなのでしょう…、煙たいほどではない感じ。
クリムゾンレッドとでも言いますか…、深い赤色のビロード貼りの椅子に真鍮叩いて作ったテーブルトップの小さな食卓、柱の周りにも真鍮細工が貼りつけられていて昭和のゴージャスを感じるお店。
座ってメニューを見るとモーニングセットが1種類だけ。
それをたのむとまずはコーヒー。
喫茶店的コーヒーカップに、ミルクの入った陶器のピッチャー。
砂糖はタップリ、ガラスのシュガーポットに入ってやってくるのが鷹揚でいい。
すべてのモノがワンポーションになっていくのが、なんだか切なく感じるのです。
ミルク位は自分の思い通りに使わせてほしいよなぁ…。
甘さも自分の好みにしたい。
だからこうしてタップリと、使いたいだけどうぞという店。
ちょっと応援したくなる。
それからお塩。
これまたなつかしい赤いキャップの食塩が、瓶ごとドサッと。
中にはコーヒーの豆が入って、湿気取りの代わりをなしてる。
お米の粒とかコーヒーとか。
こうして塩の瓶におさめている光景って、絶滅危惧種のように感じて、あぁ、ここではお前も元気だな…、っていとおしくなる、そんな朝。
モーニングセットがそしてやってきます。
厚切りトースト。
関西的にはまだこれじゃぁ、厚切りじゃない程度の厚切り。
多分、6枚切りじゃないかな?
耳を落とさずそのまま焼いて、バターをタップリのせている。
塗るのじゃなくてのせてタランととろけるがままにした感じとでも言えばいいかな?
だからまだらに、グラデーションで輝いている。
パンの表面に斜めに切り目をいれていて、そこから溶けたバターが染みこみ、中まで濡れてるところがあるのがウレシイ感じ。
ただ、厚切りのトーストは、あまり好きではないのです…。
自分では絶対こんな厚さのトースト、焼かないですもの。
薄切りのモノをコンガリ焼く。
水気を飛ばしてクラッカーのようになるのをたのしむ、それがボクにとってのトーストでだからコレ。
お外で食べなきゃ食べられない料理でもある。
一口パクリと…。
シットリ、フックラ、パンというよりお菓子の食感…、ちょっと甘めの生地がペトペトとろける食感もこれがトーストじゃないと思えば悪くない。
なにより表面がかなり強めに焼けているので、サクッと乾いた食感が前歯にあるのがありがたいとこ…、ただ味が足りないように感じて塩をパラリとほどこしムッチリ食べる。
これにポテトサラダとゆで卵がつき一揃え。
ポテトサラダは普通においしい。
マヨネーズは控え目で、茹でたじゃがいものほくほくしている食感が、みずみずしくってちょっと好き。
残念なのがゆで卵。
茹でてそのままお水の中に付けていたのか。
あるいは鮮度が良すぎたのでしょうか?
なかなか剥けない。
殻と玉子の間に爪をそっとしのびこませてカリッと剥こうとするも、白身がベロンとくっついてなかなか上手に剥けてくれない。
挙句の果ては、玉子の上半分くらいが、ベコっと殻にもってかれ、黄身が丸出し。
まぁ、しょうがない。
塩をタップリほどこして、ムチュンプルンと食べておしまい。
お店の片隅で、何か悪巧みでもしているのかスーツの紳士が三人でヒソヒソ声で話しをしている。
スポーツ新聞を小脇に抱えてハンチングをかぶったおじさんが、「よっ、久しぶり」って片手を上げて挨拶しながらやってくる。
そのうち石原祐ちゃんとか、小林旭が肩で風きり入ってきておかしくないようなエキサイティングに身悶えしました。
ボクのいつもと違った世界。
なによりお店のおじさんが、ミッソーニみたいな派手なセーター着てたところにかなりしびれた…、さて仕事。
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