夏を先取りいたしましょう…、と、虎屋菓寮でかき氷。
宇治抹茶の氷をいただく。
シーズン初の縁起物。
だから、赤坂の本店にある喫茶室でと思ってはいた。
けれどいても立ってもいられずそれで、新宿伊勢丹の地下のお店。
土曜の昼のおやつどき。
さすがに行列、
ちょっと並んで、それでめでたき宇治氷。
ガラスの鉢にこんもりキレイな山なりに。
ススっと空に向かって積み上がる、凛々しき姿はまるで富士の山のごときで、背筋が伸びる。
そのてっぺんは墨の色かと見まごうほどに深い緑で、それが徐々に氷の色に薄まりガラスの鉢の中へと消えていく。
朝日がもしも緑色なら、まさに朝の富士山はこんな姿になるでしょうな…、と。
ぼんやり愛でてニッコリします。
氷の山の底には白蜜。
和三盆をじっくり煮詰めて作った蜜で、どっしりとした深い甘みでそれが抹茶の渋みとまじって、驚くべきかなさっぱりとした旨味に変わる。
サラサラとした氷の口どけすがすがしくて、甘い。
後口スッキリ…、一口ごとに体が涼しく、軽くなる。
雨は降らずとも、梅雨真っ最中、まだまだ気持ちは夏とは言わぬからでしょうか…、お店の中でこのかき氷を食べているのはボクらだけ、というのもなんだかめでたさ加速。
それにしても宇治氷というこのゴチソウ。
ことに虎屋茶寮における宇治氷というこのオゴチソウ。
大人の夏のためにあると信じる…、だから値段にしても大人の財布もいささか緊張する上等価格でありながら、それでも財布がパカッとひらく。
それにしてもココの氷の抹茶味。
シロップとしてあるのでなくて、注文を受けてから抹茶を点てて、冷ましてそれを氷の上にかけるというモノ。
だから三人前を一度に作って提供するコトができないんですネ。
ひとつづつ。
できた分だけがやってくる。
それがうれしく、しかも抹茶の香りや風味がフレッシュ、鮮烈。
宇治氷の底にアンコをくわえて宇治金時に、しかも練乳までかけ口の中で溶けると、とても上等な抹茶ラテのようになっていく。
そんな宇治金時を食べる「友人そのイチ」のを少々のいただき、ニッコリ味わう。
「友人ソノ2」は小さなサイズの宇治金時氷に練乳それから白玉のせて。
分けてあげようか?とも言わずに、ただただ一心不乱に自分の氷を貪っている。
かき氷をって心置きなく自己中心的になれるのがいい。
だって、分け合っていたらたちまち溶けてしまうんだもの!
冷たく儚く、甘くて切ない、生き急いだら胸が苦しくなってしまう少女のような食べ物。
そんな感じがするのがちょっといとおしく、みんなでシャクシャク。
頭、目頭おさえつつ、たちまち器が空っぽになる。
一緒についてやってくるスキッと苦くて熱い煎茶で体、お腹をあっためて、次は目白にいかなくちゃと思って席をたちました。
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