そばを食べます…、贅沢なそば。
新宿西口のメトロ街…、もしかしたら新宿駅を日常的に使ってる人でも、知らない人がいるんじゃないか?…、知らない人の方が多いかもしれないネ…、って、思うほどに隠れ家的場所。
天井の低い中地下で、けれど個性的ないい飲食店が揃ってる。
その中の蕎麦屋「永坂更科布屋太兵衛」。
更科そばを扱う蕎麦屋。
つまり、江戸前の今の蕎麦屋の原型を作ったお店のひとつと言われる。
老舗であります。
麻布十番に大きな店を構える大店。
そこの出店が、こんな場所にあるというのがなんだか愉快で、贔屓にしてる。
そばとは気軽な食べ物で、食べたいときにフラッとよって、待つこともなくテーブルにつく。
注文したらしばらく待って、やってきたらばズズッとたぐってゴチソウサン。
というのがボクにとっての理想的なそばの食べ方。
その食べ方をさせてくれるのがこのお店。
季節のメニューをたのみます。
煮穴子丼がついた定食で、そばが2種類。
御膳そばに更科そばという贅沢さ。
製粉を丁寧にした白いそば粉でつくった極細…、まるでそうめんみたいな細さの御膳そば。
この細さにしてバッサリ口でちらかり踊る。
みずみずしいことこの上もなく、しかもそばの香りが決して損なわれてない。
あまりに細くて麺と麺がくっつき絡んで口の中へとやってくる…、だから不思議ともっさり、なかなか喉の奥に届かず噛んで味わうオモシロキ麺。
若干太めで、そば粉の色がついた更科。
こちらはツルンとなめらかに、喉の奥へと滑りこむ。
喉で味わう、いわゆるボクらが食べなれたそばらしきそば。
同じそばでも作り方にて、こんなに違う。
同じ店でもこんなに異なるそばの流儀でボクらの舌をたのしませるってステキじゃないか、と感心します。
サッパリと煮た穴子を一尾、丸ごとのっけた小さな丼。
丼からはみ出すほどにタップリで、当然、下のご飯が見えぬ。
丁寧に、やさしく煮込んでいるのでしょうネ…、臭みもなくて箸を当てるとホロッとほぐれる、けれど決して煮崩れてない。
スキッと辛口の日本酒で、これを肴にしたらもっとおいしく感じるんだろう。
早くそんなお大尽になりたいものよ…、と思ったりする。
そばの薬味についていたわさびをのっけて口に含むと、穴子の甘みがキリッと立ってわさびまでもが甘く感じる。
鰻にはない繊細と、儚い食感、そしてうま味を堪能しながらお腹が満ちる。
それにしてもこのお店。
タレが2種類、甘口、辛口のどちらかひとつを選んで食べるのが普通のせいろの食べ方なんだけど、なんとこれには両方がつく。
そういえば、甘口のタレをボクは試したコトがなかったはず…、と試しにあま汁使ってみたら、みりんの甘みなのかなぁ。
甘みが強いというよりも粘り気のある食感とこってりとしたうま味があって、そばの先っぽをちょっとだけつけて食べても十分、味が行き渡る。
ボクはやっぱり辛口の、スッキリとした出汁の香りと醤油の風味が好きだなぁ。
ズルズルスルスル、たぐって食べて、最後にそば湯で薄めて飲んだら、なんとたのしい。
甘口の汁の方がふくよかおいしくて、悩みのタネがひとつ増えたネって思ったりした、夜のコト。
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