さてさてお昼を新宿で…、ポッテリお腹を温めるモノが食べたくそれで小籠包。
「阿杏」というお店に来ます。
新宿の東側。
かつての新宿三越南館のあった場所に向かって一直線に伸びていく、一方通行の細い通りに面したお店。
この通り。
飲食店が軒を並べるレストラン通りのような場所。
かつてはチェーンストアがあまり出店しないローカルショップの巣窟だった。
なのに今では、マクドナルドをはじめとしたチェーンストア。
それも若い人達をターゲットにしたファストフードのお店が、幅を利かせるようになっちゃった。
時代の流れを如実にあらわす街の景色の変貌に、ちょっと切なく、さみしく思う。
でも彼らが絶対店を出さない小さなビル。
あるいはビルの上層フロアに、隠れた良き店があるのは確か。
この店も、そんなお店の一つであります。
大きな看板もなく、手がかりはビルの壁面にくっついた小さなサインぐらいであります。
何度いってもぼんやりしてると通り過ぎちゃうような店。
エレベーターにのり、ドアが開くといきなりそこはお店の中って感じもビックリ。
しかも降りた目の前が、点心をくるむ小さな厨房。
そこでモクモクと女性点心師が小籠包をくるみ蒸し、あるいは焼いて提供される。
注文してからくるみはじめる、だからおいしく、けれどほんの少々、時間がかかる。
まずはご飯とスープ、それにランチで選べるメインディッシュがやってくる。
ココのランチは10種類ほどのメインディッシュの中から一つ選んでそれに、小籠包が4つつく。
今日、選んだのは酢豚であります。
ここの酢豚は真っ赤な酢豚。
昔懐かしい系の、黒酢の酢豚が人気の今ではちょっと古さも感じるけれど。
ご飯のおかずにするにはこっちの方がずっといいのであります。
スキッと酸っぱい。
甘みもあるけど、酸味とうま味がしっかりしていてオレンジ色のタレがご飯にくっつくだけで、そこが新たな料理になっていくようなそんなおいしさ。
細長く切りだされた豚ばら肉がシットリ、中のみずみずしさをなくさぬ程度に揚げられている。
黒酢の酢豚の豚はがっしり。
水気をなくしてギュギュッと固く仕上げた豚もおいしいけれど、あれでご飯を食べるとどうしても肉が最後に残ってしまう。
シットリ揚がったココの豚肉。
ご飯と一緒になくなってくのがありがたくって、ウレシイ限り。
ピーマン、玉ねぎと野菜もタップリ。
ココのご飯は中国料理のお店にしては、フックラ炊けててバサバサ味気のないモノじゃない…、チャーハンなんかには向かいないけれど、定食御飯にピッタリでいい。
女性だけでやってるお店でしかもみんな中国系の人たちだから、お国の言葉でガールズトークをしながら料理が出来上がってく。
それをききつつ酢豚を食べてると、おまたせしましたって今日の主役がやってくる。
ココの小籠包はとても繊細。
薄皮タイプの、つまり台湾風のスープが透けて見えるタイプ。
端の先でちょっとひっかくだけで生地が破けて、中からスープが流れだす。
にもかかわらず、生地をよじるようにしてまとめたてっぺんのドレープ部分は、箸でつまんで少々揺すってもちぎれず、頑丈。
ひょいとつまんでレンゲにのっけ、箸でつついてチュチュっとスープを啜って飲んだ。
ドッシリおいしい…、中国の上等なスープのとり方は、器に具材を入れて蒸し器でうま味を水に移すのだけど、薄皮の中は蒸し器と同じ状態で、だからキレイで透明な肉のうま味のスープがタップリ。
なのに肉を食べるとしっかり、肉のうま味が残っているのにビックリします。
うま味、風味を外に出さずに皮の中に閉じ込めた、だからのおいしさ。
中国の人の味に対する執着心って、スゴイよなぁ…、って惚れ惚れします。
黒酢に刻んだ生姜をタップリ、それをれんげの中の小籠包の上に乗っけてパクリと食べると黒酢のうま味とやさしい酸味にウットリとなる。
塩味スープはとろみも完璧。
ほんのすこしだけ胡椒を足すと、不思議な程にスープが甘くなっていく…、シャキシャキとした千切りきくらげの食感たのしく、喉もスッキリ、たのしめる。
いいお店です…、料理はどれも的確で、特に小籠包は圧倒的においしく値段のコトを考えるならわざわざ来るだけの価値があるって正直思う。
ただ、残念なのがサービスがあんまりよくないコトかなぁ…、そんなところも中国的って思えばそれも味のひとつと思うなり。
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