御茶ノ水にいったついでにランチをちょっと豪勢に…。
山の上ホテルのコーヒーショップを訪れる。
まっ平らじゃない東京という街の、中でも起伏の激しい御茶ノ水というこのエリア…、何しろ渓谷みたいな崖の途中にJRの御茶ノ水駅があるかと思えば、その下を地下を走っているはずの丸ノ内線が顔を出すという不思議の地形。
その街のひときわ小高い丘の上にある、クラシックな建物も凛々しく、そこだけ空気が明るく軽く、本当に山の上に来たような気持ちがしてくる…、それが「山の上ホテル」でござる。
東京で住みたいホテルがあるとしたら…。
定期的に、その答えを頭の中に思い描くことにしているのだけど、今ならココ。
山の上。
若い頃は帝国ホテルに住みたかった。
銀座に近くてホテルの中に何でもある。
ホテルというよりまるでひとつの街のごとき快適があり、そこならどんなにステキな生活が送れるだろう…、って。
すべての社会的な活動をしなくていいというのなら、椿山荘のフォーシーズンズホテルが良かった。
もうそんな名前のホテルはなくなっちゃったから、まだまだ引退しちゃいけない…、ってコトなんでしょう。
今、山の上ホテルがいいって思うのはこの特別なロケーションとそこで働く人達の一生懸命、それに客室とよきレストランしかないところかもしれないですネ。
ホテルという街じゃなくて、街の中にある小さなホテル。
いいんじゃないかと、しんみり思う。
さてランチをコーヒーショップの「ヒルトップ」。
フランス料理のメインダイニングや、とても有名な天ぷら屋。
小さなホテルのくせして沢山のレストランがある中で、ボクはコーヒーショップのココが好き。
そもそもコーヒーショップという場所は、そのホテルの普段着の姿や実力が如実にあらわれる場所でそれがステキなホテルは良いホテル。
贅沢すぎず、質素過ぎないほどよき雰囲気のこのお店。
サービススタッフは女性ばかりで、彼女たちの笑顔がとてもうつくしきコト。
お店がキラキラしている以上に、笑顔がキラキラ…、スバラシイ。
ステーキ丼がおいしかった記憶があって、それをください!と。
お願いしたら、お店の人が「フォアグラを乗せたステーキ丼もございますが」と。
もう、お願いしなくちゃいかんじゃないの。
フォアグラ好きでございます故。
真っ白な飾り気の無い深めのボウル。
ご飯をよそおい、上に牛ヒレステーキ。
フォアグラのソテ。
胡麻がパラリ、ネギがチラリと彩り添える。
ステーキ丼のほとんどが、照り焼き系の和風ソースを使うのだけど、ココはステーキソースの正統派。
グレイビーをタップリと。
それがご飯を覆ってどこを食べても肉の味がする。
スプーンですくって食べやすいよう、丁寧に包丁を入れ、ソテした玉ねぎをご飯の間に敷き詰める。
サイドに茹でたブロッコリと、マッシュポテトのグラタンをおき、これがご飯の上でなければ「ステーキ・ア・ラ・ロッシーニ」でございます。
柔らかな肉…、けれどやわらかなだけじゃなく、クチャっと奥歯で潰れてまとわりついてくる見事なテクスチャーが「肉を食べてる!」と気持ちをたしかに盛り上げる。
そしてフォアグラ。
プチュンと歯切れて、中からトロンとなめらかな甘くて旨みたっぷりの肝がまるでクリームみたいにとろけだして口いっぱいに広がっていく。
あとからじんわりやってくる仄かな渋みが、ほとばしり出る旨味を引きしめ、焦げた香りがその味わいの幕引きをする。
付け合せの野菜もおいしく、サラダ野菜もシャキシャキ冷たい…、すべてがあるべき状態にあり、すべてが自分の役目をただしく果たしてる。
なんとステキなオゴチソウ…、ココロの贅沢、いたします。
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