オーグードゥジュールにてフランス料理の豪奢なランチ。
友人が暫くの間ちょっと遠いところにいっちゃう…、それで一緒に食事をしようかと。
場所は東京都心で、四ツ谷、赤坂、神楽坂のあたりでどうか?
料理はガツンと、お腹と心にひびくようなおいしいモノなら何でもいいなぁ。
ならばフレンチ。
この界隈でフレンチだったら、絶対ココをおいて他なしと、そう思って予約をします。
さすがに繁盛店であります。
ランチタイムの終わり方…、1時半スタートの席しかないと言われたけれど、それもまたよし。
キッチンの中があたたまりフル回転が一段落した、おいしい料理が出来上がるのによきタイミングで、ノンビリ午後をたのしむ機会に好都合。
集合場所をお店に選び、直接集まり、おひさしぶりとシャンパンもらって乾杯します。
たのんだ料理が出来上がるまで、まずとりあえずの小さな料理を召し上がれ。
カリフラワーのフランと毛がにのアミューズがくる。
野菜の甘みと風味を生かして仕上げた冷たい茶碗蒸しのようなフランの上タップリ、茹でた毛ガニの身をのせてソースで飾る。
ソースは春菊。
茹でた春菊をピュレ状にして、そこに刻んだセロリを隠して忍ばせる。
こうして食べると春菊はまさにハーブで、色鮮やかな緑の香りにセロリの匂いが混じって蟹の風味を引き立てる。
お腹をやさしく揺り動かして、食欲わかせるスターター。
ここのランチはプリフィックスを拡大解釈したような、わかりやすくてたのしいモノ。
基本的なメニューは前菜2つに主菜をひとつ、それからデザート。
それぞれ何種類かの選択肢があり、自分の好きなコースを仕立てて食べられるようになっている。
それぞれにこのお店の一押しとでもいいますか。
スペシャリテが用意されてて、冷たい前菜のそれは野菜のテリーヌで、それ。
ヤングコーンや茄子、キュウリ。
人参、パプリカ、根セロリなどの色とりどりの野菜をゼリーでよせてキャベツで包む。
まるでモザイク画のように目に麗しく、しかもゼリーで覆われてるので色はシットリ、印象派的。
壊してしまうのが勿体無いようなうつくしさにて、けれどエイヤとナイフで崩す。
一口、そして一口と口に運んで噛みしめる。
野菜の味が鮮やかに口の中で花開く。
甘いの、苦いの、酸っぱいの。
色とりどりであるのと同じく、味わいとりどり。
どれも飲食的な味にて中でもビックリするのがニンジン。
細切りにしてラペのように仕立てられてて口に入れるとパラッとちらかる。
クミンシードを風味づけにして、ニンジンらしい土の香りと一緒にちょっとエキゾチックな風味がとても華やか。
同じく千切りしたのをまとめたキュウリは生姜の香りがフワッと漂いまるでおひたし。
茄子はフックラ、コーンはカリカリ、食感多彩で歯にもおいしい。
なにより特筆すべきなのが、野菜の並べられ方で、普通こうした料理を前にすると人って手前から食べ始めてく。
右利きだったら左下。
下に一列食べ終えてから上へ、上へと食べ進めてく。
その順番で、味が徐々に濃くなっていく。
味だけじゃなく食感も優しいものから強いものへと変わっていくように、野菜が並べられてるのです。
食べ手のおどろき、よろこぶ顔を、考えながら作られたなんともステキな見事な一品。
温かい前菜の中から選んだ料理が、イワシとモッツァレラのパートフィロ包み揚げ。
パートフィロは小麦で作った薄い皮。
いわば洋風春巻きの皮。
それでイワシとモッツァレラチーズを包んでカリッと揚げたモノ。
テーブルの上にやってきた瞬間、イワシの香りが鼻をくすぐる。
パリッと揚がった皮の隙間からとろけたチーズがこぼれ出し、コンガリ焦げてる。
ナイフを当てるとサクッと切れて、舌に乾いたパートフィロが触ってそれに続いてシットリ、力強いイワシの味がやってくる。
パートフィロに添えられたシャキシャキ、そして緑鮮でみずみずしいスプラウトの歯ごたえと、トリュフの風味。
そしてトリュフのザックリとした繊維を感じる豊かな歯ごたえ。
どれが欠けてもこの食感にはならぬたのしき用意周到…、見事なり。
お腹が徐々に温まってきて、メインの料理に気持ちもお腹も向かってく。
メインはこれもこの店が誇るスペシャリテ。
フォアグラのソテと白いんげん豆の力強くも洗練されたこの一品。
このお店。
フォアグラのおいしい食べ方にこだわりを持っている店で、実は前菜にもフォアグラ使ったスペシャリテがある。
フワッと軽やかなフォアグラのフラン。
ムッチリとしたフォアグラのパテ。
そこにフォアグラのソテをのっけた、三種のフォアグラ料理を重ねてそれら全部を一緒に口に放り込むという、贅沢すぎる一品で、それを選ぼうか。
それともこちらにしようかとかなり迷った。
できればその両方を一緒に食べたく、けれどそれじゃぁ、カロリー過多でお医者様にしかられまいかと、それで正気を取り戻し、メインのこれに気持ちを集約。
フォアグラ好きさんなのであります。
元気をなくしたときにはフォアグラ。
疲れたときにはフォアグラと、かつては自分の肝臓までもをフォアグラ化させんがばかりの勢いでフォアグラ食べてた時期もある。
ソテしたフォアグラ。
ほどよきサイズで、分厚く、しかもプックラ真ん中が盛り上がるように焼けている。
食べる前から口の中に、このフォアグラがプチュっと潰れてトロンとネットリ、口が旨みで溢れていくのが思い浮かんでヨダレがでてくる。
食べるとまさにその通り。
バルサミコとハチミツを使ったソースがフォアグラの旨みを引き立て、けれどフォアグラ自体の風味や味わいが一歩も引かず口の中でおいしい綱引きしていくさまがたのしく、舌の上にて弄ぶ。
脂が焦げてまるでキャラメルみたいな香りを発してて、鼻も旨みを感じるステキ。
なによりお豆。
白いんげんの火の入り加減が絶妙で、ほつほつコツコツ。
歯ごたえたのしい。
芯があるわけじゃないのだけれど、豆全体が固さを忘れぬ程度の火加減。
このホツホツと、フォアグラのジュブジュブトロンが一緒になると口がどっちの食感に集中しようかとウロウロ迷う。
頭も右往左往のするのがどうにもこうにもたのしくて、あぁ、おかわりって思わず声を発しそう。
この一品はフォアグラ料理じゃなくって実は、白いんげん豆のお料理なんだ。
そう思い込めばお医者様にも言い訳できる。
って、そんなコトを言いながら、フォアグラ堪能いたします。
そしてデザート。
ココのプリンは圧倒的においしいプリン。
ブランマンジェもムチュンと旨い。
けれど今日のおすすめのお菓子がロールケーキでそれにする。
焼き上げたケーキの生地の焦げたところをきれいに削いで、ムッチリシットリした食感を持った生地だけ使ったケーキ。
だからどこを食べてもムッチリしてる。
シフォンケーキとか、最近流行りの軽い食感のロールケーキとはまるで別物。
生地の食感はドッシリ重たく、なのに甘さは軽くて玉子の匂いがほんのりかおる。
巻いたクリームもかなりドッシリ。
一口ごとに満足感が高まってくる。
それにしてもこのお店。
お客様に厨房の中で料理を作っている人達の気持ちをひとつ残らず伝えきろうって、ホールでもてなす人たちの情熱的で丁寧な商品説明に感心します。
聞いてるうちに食べ方、楽しみ方が頭にイメージできる。
厨房の中でどうやって作っているのか、思わず聞きたくなるようなおいしい説明。
ウレシイなぁ…、って思います。
1時半からはじまった食事もあっという間に3時半。
コーヒー飲みつつあれやこれやと話しをしてると厨房の中から魚を焼くような匂いがしてくる。
賄い料理ができはじめてる…、そろそろ退散する時間とあいなりましたとお店を出ます。
また来なくっちゃと思って、see you、ゴチソウサマでございます。
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