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サカキシンイチロウノホトンドゼンブノブログ
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    1960/01/26
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    東京駅を始発の移動、寿司清で朝をとることにする。

    f6be886e.jpeg今日は小さな企みもって、おいしい朝を作ってやろうと。
    板前さんになった気持ちで注文します。

    まずは鯛の胡麻茶漬け。
    ブリブリの鯛の切り身に胡麻ダレたっぷり。
    鯛の切り身が新鮮で、しかもゴリゴリ歯ごたえがある。
    瀬戸内地方で当たり前の、歯ごたえたのしいネットリとした鯛のうま味に、まずはウットリ。
    胡麻ダレもその鯛の食感に負けず濃厚で、最初はそれをご飯にのっけてハフっと食べる。
    熱々ご飯の上でほんのり、熱が入ったゴマだれが風味豊かでどっしりしてる。

    本来これに熱々の出汁をかけて食べるのがココの提案。
    けれどなかなか出汁をかける勇気が出ない。
    だって鯛のこのネッチリと、胡麻の風味を思う存分味わいたくて…。
    出汁をかけるとそれが薄まるような気がするのです。
    だから都合、6枚ほどある鯛の切り身をあと何枚?と、残りの数をたしかめながらそのままパクリと鯛と胡麻の風味をたのしむ。
    お膳の上に一緒に並ぶ、お寿司屋さんの甘い卵焼き。
    昆布の佃煮で味をときおり変えながら、一枚、そしてまた一枚。

    63e6049f.jpegこの朝の定食に追加で刺身の切り落とし。
    その日の仕入れで顔ぶれが当然変わる刺身の中で、けれど大抵、マグロとイカ、サーモンだけは必ず入る。
    それに今日。
    ハマチとかんぱち、サヨリが混じって、しかもマグロが脂ののった中落ちだった。
    その中落ちを、鯛の浸かった胡麻ダレにトプリと漬けて味わう趣向。

    当然、刺身としても味わう。
    醤油にわさびで食べるとコッテリ、中落ちマグロの脂の風味が口いっぱいに広がってひんやりしてくる。
    けれど濃厚胡麻ダレを漬けて食べると、胡麻のネットリが最初に口に広がってマグロの酸味やうま味が舌にどっしりのっかる。
    なんとたのしく味わい深い。

    ずっと心の中にくすぶってた、ココの鯛胡麻茶漬けと一緒に、漬けマグロ丼を食べることができたらどんなにステキでシアワセだろうって。
    その憧れに近い食べ方を、こうして試して味わっている。
    なんともたのしい、オゴチソウ。
    刺身はそれぞれ味わい多彩。
    鮭のトロンと脂の香りが独特で、イカはツルンと前歯をすべり噛むとネットリ、甘く粘って消えていく。
    ハマチの脂と、サヨリのシャリッと歯ぎれる食感。
    どれもゴチソウ…、朝からなんと贅沢なコト。
    3e406004.jpegそしてとうとう、ご飯の上に最後の2枚の鯛の刺身をのっけて出汁をかけます。
    熱々の出汁…、カツオの風味がポワンとただよい、鼻から最初にこのゴチソウを味わっていく。
    出汁があたったところがチリチリ、鯛の切り身がめくれ上がって白く色を変えていく…、そのさまみると喉がなります、お腹もなった。
    あられをパラリとふりかけて、ザブっと食べるとたしかに旨い。
    熱が入った鯛の切り身はブリンと感からネットリ感へと食感変えて、キチキチ前歯をくすぐるような鯛独特の強い繊維を発揮する。
    出汁が混じっても胡麻の風味はそのままで、しかも出汁の香りが鯛の味わい、風味を引き立てていく…、また最初から食べ直したいってそんな野望を抱いてしまった、朝のコト。

    2692573b.jpegお腹もほどよく満たされました。
    お茶をゴクリと飲んでニッコリ。
    そしたらなんと、刺身の切り落としが山になります。
    寿司屋さんの言葉で、これで最後=山で、確かにボクが来てから続々、お客様がやってきてその半分くらいが刺身の切り落としを追加でたのんで食べていた。
    刺身の端材が切り落とし。
    だから量にも限りがあって、その限定品に間に合ったのがとてもウレシイ。
    ゴキゲンな朝。

    板前さんに「いってらっしゃいませ!」って言われてお店を出ていく。
    なんてステキなコトでしょう。
    働く人のハリのある、元気な声に背中押されて、さぁ、がんばろう…、ニッコリと。



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