雪の夜です…、温かいものが食べたくて、それで尾張屋。
四谷三丁目の交差点の角にある、しおれた小さなお店でけれど実力派。
昔からある個性的にして偏屈な店がなぜか集まるこの界隈でも、ひときわヘンテコリンな店…、震災前からずっと看板が真っ暗で年中節電、やっているのか近づかないと分からない。
これでやっていけるのかしら…、って思うほどにいつも静かで、けれど不思議と前を通ると必ず一組、お店の中にお客様がいる。
「尾張屋」って名前の通り「名古屋名物のきしめん」が売りというのも、お江戸の店としては偏屈…、オモシロイ。
我が道を行くこの店には個性的な料理がいくつも。
バター風味のあさりきしめんとか、ニシンそば用のニシンの煮付けを丼にした料理であったり。
中でも一番個性的にて、しかも好きな料理が「味噌煮込みきしめん」。
きしめんを煮込むというそのスタイルがまずは独特。
自分じゃまず試してみようと思わぬレシピ。
ところがコレがなかなか旨い。
自家製きしめんがムッチリしていて、グラグラ煮てもへたらぬハリがあるのがいいのでありましょう。
八丁味噌と白味噌をあわせて作った、大豆の風味がコッテリとたまり醤油の香りにも似た発酵臭が味わい深い汁を吸い込み、色がほのかに変わってる。
それだけ味が入っているという証。
具材も豊富。
緑の小松菜、ニンジン、ゴボウにネギに白菜。
ザクザク切られて不揃いなのが、熱の入り具合がそれぞれ異なり、シャキシャキだったりトロトロだったり、いろんな食感あるのがたのしい。
これでもかってほどに入った油揚げ。
味噌の風味の汁をタップリすいこんで、ポッテリみずみずしくておいしい。
チュルンとすするとペロペロ唇わけいって、口の中でスルンと滑る…、噛むとムッチリ歯ごたえ感じ小麦の旨さと味噌の風味が体の中を駆け巡る。
ご飯がつきます…、小さなお茶碗に軽く一杯。
それに出汁をタップリ吸った油揚げのせてハフっと食べる…、固めでスベスベしたご飯にて味噌にまみれてそれがスルスル、舌の上をすべるよう。
七味をかなりタップリかけても、味噌の力でヒーヒー辛くは感じない。
むしろ胡麻や陳皮の香りがたのしく、味噌のうま味の輪郭をはっきりさせておいしくさせる…、ズルズルハフハフ、おいしく食べて、体が芯からあったまる。
そういえば、ココのカツ丼がまたおいしくて、今度はそれも食べに来なくちゃって思ったりした、オキニイリ。
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