サカキノホトンブログ初弁天庵

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初弁天庵

さてさて本日よりの御用始めに向かう前。

弁天庵で朝ご飯をいたすことにする。
年末はかなりガンバったようであります。
大晦日に昼ごはんを食べた「尾張屋」ってきしめんの店。
当然、そこでもそばを売ってる。
けれど彼らがこう言っていた。

通りをはさんだ向こう側の、あのお店にはかなわない。
がんばるんだもの。
一昨年前の大晦日も、深夜営業をしていてかなりの人がやってきていた。
休みもとらず、ずっとおんなじ状態で営業できるってスゴいよね。
やっぱり大企業ってしっかりしてる…、と。

飲食店って、同じコトをずっと続けていくことこそに価値がある典型的な産業で、そう考えるとチェーン店ってスゴいコトを軽々やれているところ。
本当はスゴク立派な店なんだけど、なかなかそうは評価されないところがちょっと寂しいトコロ。
今年もよろしくお願いしますと、お店に入って朝定食を注文します。
もらったレシート。
その番号が「７」番でした…、ラッキーセブンな新年最初の朝定食を、さぁ、いただきましょう、いただきます。

ちょっと器がかわりましたか…。

だし巻き卵が盛りつけられてる器。
今まで大きな平皿だった。
けれど、今日はちょっと小さめのボウル状のお皿になってた。
玉子は少々、窮屈そうで、けれどその分、お盆の上は余裕ができて、お皿がキッチリ、キレイにおさまる。
これはこれでいいコトでしょう。

玉子の焼けた甘い香り。
シットリとした焼き上がり感にて、噛むとクチュっと出汁がでてくる。
ほんのり甘く、そのまま食べても十分おいしく、けれど醤油をちょっとだけたらすと焦げた香りがキリッと引き締まる。
大根おろしにもちょこんと醤油。
ご飯のオカズにピタッとはまる。

他にもおかずがあれこれ揃う。
昆布の佃煮、焼き海苔に納豆、それから山芋とろろ。
山芋とろろがスベスベ、トロンと喉をなでてくる。
ちょっとイガイガするとこが、体にきいてるって感じがするのがオモシロイ。

納豆、パカッと容器の蓋開け、蓋と納豆を仕切ってる薄いシートをペロンとめくる。
この瞬間が、ちょっと苦手でおそるおそる慎重に。
納豆が食べられなかったときに一番、嫌だったのが納豆の糸。
絡むとなかなかとれてくれない。
手にくっつくとこれがネトネト、しかも匂ってだからなるべく糸を出さないようにユックリ、捻るようにして持ち上げる。
粘らせないよう、そのままそっと一口分だけ口に運んで、モグモグすれば納豆臭さも最小限。
醤油もかけず、そのままモグモグ。
それにしてもこの納豆の、豆の表面にこびりついてる白いネバネバ。
これが糸の素であり、同時にうま味の実態でもあるという。
じっとみてるとなんだかちょっといとおしくなる。
オモシロイ。

汁の代わりにつくそばに、そうだ、ちょっと一工夫。
ご飯のオカズについてる焼き海苔…、それをちぎってぱらりとのせる。
「花巻そば」のできあがり。
もともと江戸前でできた海苔のことを「磯の花」ってよばれてて、それでもみ海苔散らしたそばのコトを花巻そばって言うようになったんだという。
江戸時代の後期にはすでにこうしたレシピがあった。
旨いのですね。
海苔が出汁を吸い込んで、トロンとアオサのようになってく。
海藻独特の甘い風味とネットリ麺にからみつく食感なめらか、味わい深くてウットリします…、さてさて仕事といたしましょ。

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