表参道をテクリテクリと散策しながら、南青山、骨董通りにたどり着く。
それでちょっと来てみたかったカフェによる。
カフェというのはふらりと寄れるロケーション。
しかもちょっと歩いて、わざわざこれる場所にあるのがウレシク感じる。
散歩の目的になるお店。
あるいは、長い散歩の途中にあって、散歩の後半がたのしくなるような場所にあってくれるととてもアリガタイ。
このお店がそんなお店で、そんな場所にあるのがステキ。
「A to Zカフェ」というお店であります。
奈良美智さんっていう、近代日本のアート界を代表するアーティストの作品をテーマにしたカフェレストラン。
表参道の駅から行くと、骨董通りの一本手前の細い路地。
ちょっとクセのある飲食店がわりと密集している通りの、一番外れ。
外から見ると普通のオフィスビルのように見えるビルの上層階。
普通だったら、カフェを作る場所とは思えぬちょっと不思議なところにある。
「奈良美智」って言う世界的なるブランドがその背景にあってそれでこうしたお店で成立してるんでしょう。
今日も、外国からの観光客。
立派なデジカメ首からぶら下げ、お店の中をうろうろしながら写真を撮ってた。
エレベーターを降りるとそこは別世界。
使い古された古木や板を使ったしつらえ。
テーブルや椅子もどれもふるぼけていて、都心のビルの中にあってココはちょっと田舎な感じがするのがたのしい。
そのふるぼけて、のどかな空間のいろんなところに彼のアート作品がおいてある。
どれもがオリジナルという贅沢で、とはいえシルクスクリーンのような複製することを前提の典型的なるモダンアートでありますゆえ、呆気無いほど自然で普通。
無表情なのに不思議な表情と存在感のある、邪悪系の女の子の顔にかこまれながら飲むお茶、食べる食事も粋。
今の日本の気分を象徴しているみたいな感じもします。
とは言え中には一点物のポーセリンがあったりするのもスゴいとこ。
それらは客席の中というより、レジのまわりやお店の中にしつらえられた古ぼけた小屋のような展示スペースに陳列されていて、そこだけみあるとギャラリー的であったりする。
これって買える?
いくらなんだろう?ってギリギリ思わぬ程度に雑で、自然な陳列され具合がいやらしくなく、バランス絶妙。
オモシロイ。
かなり流行っておりました。
行った時間が1時を過ぎた昼ごはんの終わり時っていう時間帯だったのもあるかもしれない。
けれどほとんど満席で、ちょっと待ってテーブルにつく。
いわゆるカフェにありがちな、ソファー席とテーブル席の二種類が無造作に混在しながら構成されてるインテリア。
お茶を飲むのにソファはいいけど、低いラウンジテーブルに座るとどうしても後ろのめりになってしまうソファに座って食事をするのは、ちょっと苦手で好きじゃない。
だからテーブル席はむしろうれしく、アリガタイ。
サラダやチャーハン、ナポリタンやオムライスと典型的なるカフェ飯がある。
それらはお行儀悪く食べることも決して悪くはないのだろうけど、ランチタイムはそれらカフェ飯はオーダーストップ。
魚か肉がメインで選べる定食メニューだけになる。
やってくるのはお盆にのったメインに小鉢、ご飯に汁というまことの定食。
それらをソファにふんぞり返って食べる姿はかなり滑稽、うつくしくない。
アート作品にこだわる店も、お客様が食べる姿まではデザインできぬというなさけなさ。
底浅いなと笑っちゃう。
料理はおいしい。
小鉢替わりの刺身の悪くなかったし、なにより鯖の焼き加減。
こんがりやけて、脂がまるでからめるみたいに甘く、シットリ香ばしくご飯がいくらでもすすむところにビックリしました。
汁も味噌がおいしく出汁もキチンととってる。
だから尚更、昼はメニューが限定的になっちゃうところが残念だった。
多分、厨房が小さいんでしょう。
カフェの厨房とレストランの厨房を一般的にくわえると、その面積は2対3位の比率でカフェのそれは小さい。
それをあまり傷めつけぬよう。
調理時間がかかりすぎて、お客様に迷惑かけぬようにという配慮もあるに違いない。
ただどうだろう。
カフェってお店は、料理ができてくる時間すらたのしく我慢する余裕。
それがなくては成立しない…、成立しないしそこをあえてアピールしないと「カフェ定食屋」に成り下がっちゃうリスクもあるんじゃないのかなぁ…、って。
まぁ、どちらにしてもココのお店は奈良美智アートと空間が主役のお店というコトと思えば我慢もできましょう…、港区的と思えばいいのよと、ニッコリしながら後にする。
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