渋谷のワイン食堂「がっと」の新年会に参加する。
オープンしてからもう2年。
去年の後半からかなり認知が広がって、予約が続々入るようになってきた。
岩井シェフが一人で頑張っていた厨房の中にも、女性シェフがアシスタントで入ってくれるようになり、男ぶりの良いビストロに女性的な気配りと華やかさが加わり使い勝手のよい店になりはじめている。
今年は飛躍の年にしましょう…、と、それで影に日向にお店をもり立てている人たちとみんなで、おいしい料理をつつきながらたのしい時間をという趣向。
イタリア料理が得意なシェフ。
にもかかわらず、今日は新年の宴会にふさわしい料理をメインにと鍋を作った。
ねじりはちまき。
まるで河岸から帰ったばかりの仲買人さんみたいな格好で、ソースを仕込むための深鍋でクツクツ煮込む。
大根にネギ。
豆腐にエノキに分厚いシイタケ。
メインは大きな生のタラ。
餅も入ってて、業務用のガスのレンジで煮込んで行くと、細かな泡がフツフツ湧いて、おいしい匂いがやってくる。
ブイヤベースを作るより。
タラを使ってトマト煮込みを作るより。
なぜだかこうして鍋やバーベキューのような料理を作っていると気持ちが上がる。
炊き出しだとか。
まかないだとか。
大勢の仲間にふるまう料理を作るときの気持ちは格別で、だから今日は結構気合がはいってますよ…、と。
なるほどそういうコトもあるに違いない。
余計な手間とか、余計な味とかをくわえぬ素直な味わいに、不思議と食がすすんでどっさり量のお鍋をみんなでハフハフ、たのしく食べる。
丸まる太った鯖もそのままオーブンで焼き、塩のうま味で味わう趣向。
オリーブオイルや赤唐辛子、ガーリック風味に仕立てても良かったのだけど、あまりに鯖がおいしげで、だからそのまま。
身内の食卓だからこその、気軽な料理にしてみたんです…、と。
これも素直な味わいで、バッサリほぐれる青い魚独特の繊維の強い食感に、最後に酸味が後味でサラッと残る味わい深さ…、冬のゴチソウ、アリガタイ。
食事をしながらシェフの修行時代の話をみんなで聞いて、そのときエピソードとして出てきた「オムレツ」。
洋食世界で鍋扱いはオムレツに始まってオムレツに終わるって言われる程に、オムレツ作りはむつかしい。
むつかしい以上に、フライパンを使って料理を仕上げるというすべての基本がオムレツ作りの中にある。
だから初めて調理長から、「明日からお前はオムレツを作れ」って言われたときにはうれしかったし緊張もした。
それから連日。
店のまかないが自分のオムレツ。
毎日毎日、それが続くものだから、店のみんなから「早く上手になってくれよ」と言われてそれから1ヶ月ほど。
調理長に「お前のオムレツはおいしくなった」と言われたときには、うれしくって、うれしくって。
と…、それじゃぁ、そのときのオムレツを作ってよ!って。
お願いしたら作ってくれたオムレツが、なるほどおいしくウットリします。
玉子にしっかり熱が入って生臭さのかけらもなくって、にもかかわらず玉子のうま味とバターの風味が引き立てあってなんともおいしい。
フルフル、スルンとなめらかで、喉からお腹があったかになるオゴチソウ。
そして〆…、ひとつは鍋の残りを使ったおじや風。
タラで十分味がでているにもかかわらず、そこにヒラメの身を入れてクツクツ煮つめて味をコッテリ濃厚味にさせたところに、ご飯をパラリ。
そして再びクツクツ煮詰め、最後に玉子でチリッととじる。
ハーブソルトで味をととのえ、だから鍋の最後の雑炊というよりどこか、リゾットみたいな味わい、風味でニッコリなります。
生のパスタを使って作ったトマトクリームのパスタも旨い。
今年もよろしくお願いします…、みんなで一緒にがんばりましょうとお店を後にいたします。
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