開店前からずっとお付き合いさせてもらっている渋谷のワイン食堂がっと。
新しいメニューの試作に本日、つきあいました。
開店してからずっと試行錯誤をしながらなにか、他に誇れるメニューを作ってお客様によろこんでいただくことはできないかしら…、と。
あれやこれやを試しつつ、やっと方向性が見えてきたよう。
それで今回かなり思い切った新たな料理を導入しようと、その新商品の試作に試食。
とてもたのしく、しかもどれも見事な出来栄え…、食べてるうちに勇気がわいてくるような料理にニッコリ、いい感じ。
スペイン料理の代表的な前菜料理。
エビやにんにくをオリーブオイルで煮る「アヒージョ」を、ハーブ混じりの塩でアレンジしたもの。
香りが変わるとまるで違った料理に感じる。
ぶどうのタネをしぼってとったグレープシードオイルで揚げたフレンチフライ。
これにはハーブを混ぜた特製マヨネーズをつけ、パクリパクリと。
メキシコ料理的フレーバーがついて油がサッパリしてくる。
甘鯛をトマトと油で煮た料理。
これも「魚の煮物」のひとつで、醤油や味噌をオリーブオイルに替えただけで、こんなに味の印象が変わるなんて、なんとたのしくオモシロイ。
油がトロンと乳化して魚にからんでおいしくさせる。
おいしい油は料理をおいしくしてくれるんだと、油の力を再評価。
その油の力をいかんなく発揮しているのが「肉の天ぷら」。
ポッテリとした衣をまとわせ、グレープシードオイルで揚げる。
するとザックリ。
フィッシュアンドチップスみたいなあがり方で仕上がっていく。
揚げてる肉は豚肉、鶏肉。
鶏はフックラ、やわらかでザクザクとした衣と見事なコントラスト。
一方、分厚い豚バラは繊維が頑丈。
噛むと前歯でしたたか抵抗。
ムチュンと歯切れて噛めば噛むほどうま味が口に広がっていく。
まるでスルメの天ぷらを食べてるみたいな顎にたのしい噛みごたえ。
豚の脂もまたうまし。
ちなみに同じ豚の三枚肉を分厚く切ってスープと油で炒め煮したもの。
もっと時間をかけて煮こめば、カスレになってく。
繊維がほぐれて脂も筋もとろけて焦げて、顎を使わずとも味わえる料理になっていくのだけれど、そこまで時間をかけずに作る。
そのため肉の繊維がそのまま。
噛みごたえがあり、顎においしい。
豚のステーキを食べてるような感じがあってけれど同時に煮込んだ豚のシットリ感も同時に味わえる、なんだか得した気持ちになれるゴチソウ料理。
何より少ないスープと油で煮込んでいるために肉の表面が焦げてくる。
そこがコンガリ、カラメル状になって仕上がり、風味もよければ甘みもでてくる。
何より脂。
サクッと歯切れてクチャっと潰れ、甘み、うま味が広がっていく。
豚は脂が旨いって知ってはいるけど、これほど甘くて旨い脂はなかなかお目にかかれない…、キッパリとした塩の風味もおいしくて、泡のお酒がすすみそう。
付け合せにしてキャベツのステーキ。
ブイヨンスープでクッタリするまで煮込んだキャベツを、肉の脂で焼き上げた甘くてシットリ、芯までやわらかな野菜の料理。
もっと時間をかければカスレになるってコトで、「カスレになりそこなった豚肉」って名前の料理にすることにした。
シェフのアイディア。
オモシロイ。
〆の目玉にしましょうと「オトナポ」作ってもらいます。
大人のナポリタン…、それを略して「オトナポ」ってこれ。
ケチャップじゃなく甘いトマトを使って炒める。
だから麺だけ食べるととても上品で上等な味…、けれど具材のメインのパンチェッタ。
太い拍子木切りにしてコンガリ焦がして脂をタップリ吐き出させ、それをソースのうま味にかえる。
塩味、豚の脂のうま味。
それがギッシリ凝縮しているパンチェッタをフォークで一本。
それを芯にして麺をグルリとまきつけて、一緒にパクリと口の中へと放り込み、もぐもぐ食べると口の中で昔なつかしナポリタンの味になっていくのがたのしい。
今度の料理はなかなかに良い…、今度はお客様としてこなくちゃねって思ったりした、また来ます。
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