横浜で仕事をしてから、いつもは東海道線にのって戻る帰り道を、京浜急行にのってそのまま都営浅草線に入った…、人形町に行く用があってそれでフラッと。
人形町で昼にしました。
小春軒。
人形町という街には、昭和風情の洋食店がかなりある。
特に揚げ物。
ビフカツだったりメンチカツだったりを売り物にした専門店が多くある。
今半という肉の老舗が近所にある。
あるいは揚げ物洋食がハイカラだった時代に栄えた街だったから?
日本橋とか浅草とか、都営浅草線でつながる近所の街は「揚げ物=天ぷら」だったりするのと違って、ココはカツレツ。
なんだかちょっとオモシロイ。
そんな専門店が多く集まるこの場所で、ひときわ家庭的な店がこのお店。
人形町通りと甘酒横丁の角にある、親子丼で有名な玉ひで。
そのちょっと先。
小さな店ではあるけれど、創業明治45年という歴史を感じる端正な顔の店であります。
間もなく昼の時間が終わるという時間にしても、まだほぼ満席。
テーブル席はひとつも開いていなくって、それでキッチンの前にあるカウンターに座ってぼんやり料理ができていくのを待ちます。
たのんだのは「特製盛り合わせ」。
ココのおいしい料理がほとんど、少量ずつだけれど揃った一品。
以前きたときは確か1200円くらいだったように記憶していたけれど、今日は1400円と値札がついてる。
ホッとしますね。
時節柄、こうして値上げをして尚も、お客様がやってきてるというコトに、なんだかニッコリ。
そしてきました。
丸いお皿の上にギッシリ、料理が並ぶ。
どっしり、一番目を引くものはエビのフライでブリンとこれが歯ごたえ頑丈、たくましい。
甘くてしかも細かなパン粉がカサッと歯ざわり乾いて旨い。
白身魚にホタテのフライ。
どれもカラッと揚がってて、中でもコロッケ。
ザックリ潰した茹でじゃがいもに肉をタップリ、これはメンチカツかと思うほどに入ってどこを食べても肉の味。
しかもなめらか、クリームコロッケとは違ったぽってりとしたトロミがついててなんとも旨い。
ラードを含んだ揚げ油…、そのためカリッと、しかも衣が甘く揚がって仕上がっている、ソースいらずでおいしく食べるコト叶う。
ココの揚げ物にはソースを合わせるよりも醤油がそもそもあって、ご飯のオカズにとてもおいしい、今日も醤油をほんの少々、油の匂いを封じ込めサラッと味わう。
それからココの盛り合わせには、カジキとイカのバター焼きがつく。
ニンニク風味の醤油味にて、バターの香りが洋食っぽさを発散している、これがあるからこの盛り合わせをたのんで食べるほどのおいしさ。
気取ってはない。
豪華でもない…、けれど心づくしのおいしいゴチソウがある。
飲食店はこれでいいんだ…、だから繁盛が長続きすると思ったりする、オキニイリ。
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それにしても人形町…、たのしく良い街、いつか住みたい街のひとつと思ったりする。
この店の近所にある、行列ができるで有名な玉ひでさんの店前に「今日のランチの親子丼は全部売れてしまいました」と立て看板が出ていてびっくり。
去年の地震の後にはさすがに、ココの行列にも元気がなくて厨房の中のスタッフを整理せざるを得ない状態だったと言う。
それもこうしてかつての賑わい取り戻す…、なんだかこれまたホっとする。
そうそう小春軒の隣のビルに「谷崎潤一郎生誕の地」という立て看板がたっていて、そうか、あの文豪が生まれてココで育ったという、谷崎潤一郎と言えば関西の洒脱な文化を描いた人でてっきり生まれも関西だろうと思ってた。
なんだかたのしい発見でした、なおさら人形町のコトが好きになったりした今日の午後。[8回]
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