朝のお腹はまだまだ重い…、今朝もそんなにお腹がすいてはいないのだけど絶対来ようと決めてたお店にやってくる。
有楽町の「パーラーはまのや」。
今年いっぱいで閉店する…、と聞かされた。
もしかしたらば22日で終わっちゃうかも…、ってFacebookで教えてもらってどんなことがあっても今日はこなくちゃと。
どこかでしようと言ってた今日の打ち合わせを、有楽町ですることにして、そのついでにとやってくる。
店じまいの準備をしているムードがあるか?というと決してそんなことはなく、いつも通りに「おはようさん」と挨拶されてお店に入る。
古いビルのお店です。
インテリアだって昔のまんま。
昭和な喫茶店的雰囲気。
三菱村のこの界隈も、そのうち丸の内だとか大手町だとかと同じように次々、新たなビルに変わっていくのでしょう。
そしたらこうした古いお店は跡形もなし。
しかもお店の人ももうみんな、おじぃちゃんやらおばぁちゃんやら。
悠々自適の生活を、たのしむ年齢になってしまってる。
だからいつかは…、と思ってた。
けれどまもなく…、って思うとさみしい。
哀しくってしょうがない。
ここのサンドイッチの作り方をいつか教えてくださいネ。
いいけど、うちの修行は辛いよ、なんて互いにゲラゲラ笑っていたのが1年くらい前のコト。
それもまもなく永遠の、思い出話になってしまう。
ブレンドください…、ってお願いすると小さなカップに熱々の、酸っぱくて濃くビリッと苦い昭和なコーヒーがやってくる。
ピカピカに磨き上げられたシュガーポットにミルクピッチャー。
小さなお水用のグラスに青い灰皿に、見慣れた景色にホッとする。
サンドイッチを作ってもらう。
ハムと玉子。
トーストで。
厨房の中からカシャカシャ、玉子をほぐす音がしてまもなくそれがジュジュっと焼ける音に変わってジリジリ、焦げる音で玉子が仕上がっていく。
トースターがチンとなり、しばらくするとザクリザクリとパンを切る音がやってくる。
いつもリズム。
そしてメロディー。
やってくるのはウットリするほどおいしげでウットリするほどおいしい見事なサンドウイッチでござります。
この店でサンドイッチを注文するとき。
最初にボクが、ハムと玉子と口にすると、それから先はお店の人との合唱になる。
焼いたパンで作るんでしたよね…、ってボクはおなじみ気分。
それだけじゃない。
ビルの階段をタンタンおりて、お店の入り口につくまで20歩くらいかなぁ…。
お店に近づくボクの姿を見つけると、お冷を片手にボクをお店の人が待つ。
ボクだけじゃない。
お店に近づく人を見極め、入り口のとこに近づきながら「いらっしゃいませ」。
みんなの顔を覚えてるんですか?って一度聞いたことがあり、そんな芸当できないけれどうちにやってきそうな人の顔は見てればわかるんだ…、って。
ニコニコしてて、舌なめずりしているように見える人はみんなうちのお客様…、って冗談めかして教えてくれた。
いつも以上に今日のサンドイッチはおいしげだった。
玉子はタップリ、
ちょっと中身がシットリしてて、オムレツ風に出来上がってる。
葉っぱも青々。
歯ごたえシッカリしていておいしい。
贔屓目なのか。
トーストだってこんがり、カサっとよく焼けている。
好きだなぁ…、大好きな味。
そして食感。
やっぱりココのこのサンドイッチの作り方をしっかり教えてもらうんだった。
そう思いながら、一切れ、そしてまた一切れと味わいお腹におさめてく。
いろんなモノを一緒に飲みたい。
例えばシェイク。
例えばソーダフロートや、バナナジュースを一緒にコクリと。
けれど今日は、やっぱりコーヒー。
そこにタップリミルクを入れて、砂糖をタップリ、ゴクリとやった…、ほろ苦くって、甘くっていろんなコトを思い出す。
お店をしめてしまうんですか?
いつまでおやりになるんですか?と、そんな質問をするのは野暮と思ってそれでなんにも言わずにお店をあとにすることにした。
なんて、切ない。
積年の恋人と長の別れをするような気持ちになった…、ニュースが噂であればいいのにって思いもします…、サヨナラじゃなく、シーユーアゲインといたしましょう。
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