銀座へ移動、そしてランチを「むとう」でとります。
ちょっと食欲が湧いてきたようでもありまして、前から来たかったお店を訪ねる。
銀座と言っても数寄屋橋寄り。
外堀通りの北側という、銀座というより日比谷のはずれという感じの場所。
民家サイズの建物が多くて街の景色もどこか穏やか。
ビルも小規模。
だからお店もほどよく小さなところが多い。
チェーン店が少なくて、昔からあるお店が今でも活き活きしているところがステキ。
のどかな街並みの中でもひときわのどかな一戸建ての店。
実は一年ほど前まで改築中で、しばらくご無沙汰しておりました。
前は古びて風情はあるけれど地震が来たら崩れちゃうかも…、って心配するほど戦後な感じの建物だった。
どんなふうに改築するんだろう…、って思っていたら、昔の風情をそのまま残して完成してた。
端正な顔立ちの和風建築。
遠くからも、あぁ、あの店がむとうさんだってわかる昔ながらの顔で、近づくにつれその落ち着いたさまにニッコリ。
できたてなのに、ずっと今までここにこうしていたようなステキな建て替え。
おなじみさんの思い出を損なうこと無く、新しくなる。
なかなかできることじゃないよなぁ…、って思ってちょっとウレシクなった。
ガラッと扉を開けて中に入ると、うーむ。
店の雰囲気も昔に近い。
お店の一階部分のほとんどを占める厨房。
そのまわりをグルッと囲むようにしてカウンターがあり、テーブル2つ。
カウンターの中には板前さんがキビキビ働いていて、「板前割烹」の典型的なるお店の造り。
調理ができる様を間近にながめつつ、食事をたのしむ。
食いしん坊にはたまらぬお店で、二階は宴会用のお座敷がある。
使い勝手のよさそうなとこは、昔のままでただカウンターの位置が昔と左右反対。
何か理由があったのでしょう…、排気とかあるいは板前さんの作業の流れとか、みんなの快適を考えるとおそらく今の場所に作りが一番居心地よかったんだろうなぁって思う。
それからカウンターがちょっとだけ、背が低くなり椅子のすわり心地が良くなる。
カウンターだけを低くしちゃうと中で調理をしている人の目線がお客様を見下ろす位置になってしまう。
厨房をちょっと掘り下げ、それで目線がカウンターの外と中とでほどよく噛みあうようにした。
改築しないと出来ぬ工夫が、お店をやさしくステキにしてる…、いい感じ。
昼のメニューは定食3種。
刺身の定食、鯛茶漬け、それから今日の日替わり定食。
その日替わりのメインが今日は「銀ダラの西京焼き」というので迷わずそれにした。
まず小鉢や漬物がやってきます。
今日の小鉢は鯛のアラを唐揚げにしたモノ。
ピリ辛味の粉をはたいて、ガリッとかなり強めに揚げたものでこれが、和食と思えぬスパイシーでご飯が進む出来栄えでした。
魚の切り身が水気を吐き出し、かなりシッカリした歯ごたえでまるで鶏のササミを食べてるみたいな食感。
それと一緒にほうれん草と油あげを使ったおひたし。
出汁がおいしい。
小鉢の底に溜まった出汁をゴクゴクそのまま飲んでしまいたくなるような、スッキリとしてけれどうま味豊かな出汁をタップリ吸い込んだほうれん草のおいしさったら、ウットリするほど。
キュウリと大根の浅漬けもシャキシャキ歯ごたえとてもたのしい。
ジリジリ魚が焼ける気配がやってきて、それにあわせてご飯と味噌汁。
お味噌汁の実もほうれん草と油あげでおひたしの具と同じ所にちょっとにんまり。
出汁もお味噌もおいしくて、これにご飯で十分ココロ満たされる。
それにしても西京焼きのおいしいコト。
脂ののった銀ダラの身が、箸でおさえるとブリンとほぐれる。
みるからツヤツヤ。
焦げ目コンガリ、西京味噌の香りのほんわか、ヨダレが滲む。
口に運ぶと、見た目以上のおいしさと口に広がる脂のうま味に思わず膝を叩いてウットリします。
つやつやしていて、舌の上を滑るように、潰れるように。
焦げた西京味噌の風味と一緒にしばらく居座る、そこへご飯をそっとのっける。
ご飯と混じる魚のうま味に、ご飯をおいしく食べられるってなんてステキでアリガタイコト。
そう思ってお腹の中かがニッコリしてくる。
ご飯、お替りいかがですか?と言われて、ほんの少しだけ。
いただけますか、とよそってもらって、それもすんなりお腹の中に収まった。
徐々にお腹は正常モードになってきているみたいな感じ。
食事を終えて失礼しようかと思っていたら、デザートさしあげますからネ…、と。
やってきたのが、あんこと白玉。
昔、あんこは好きじゃなかった。
今でもこしあんは好きじゃないし、あんこを潰して使ったまんじゅうやおはぎはやっぱり苦手なお菓子。
けれど粒の残ったあんこ。
あんこと言うより、小豆を甘く煮たモノって感じのモノはときにおいしく感じる甘味。
特に今日。
疲れた身体にとてもやさしく、身体が芯からほぐれるようでホッとしました。
ネットリとして、けれど粘り気をほとんどもたない白玉団子のスベスベツルツルした食感も、喉にたのしくみるみるうちにお腹におさまる。
煎茶をゴクリと飲み干してまた参りますとお店をあとに…、ステキランチでありました。
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