昼を銀座で…、長崎料理の「吉宗」にくる。
吉宗と書いて「よしむね」ではなく「よっそう」と読む。
今、辞書機能が脆弱な初代ポメラで入力していて、入力のたび「よしむね」と入力して変換キーを押している。
辞書登録すればいいんだろうけど、まぁ、そこまではと…。
数寄屋橋の交差点で友人たちと待ち合わせして、銀座の街をテクテク歩く。
空は青くて気持ちいい。
天気のいい日の銀座の街の気持ちの良さは格別で、銀座のはずれ、新橋の手前あたりまでかなりの距離を歩くのもまるで気にもならぬたのしい時間。
ビルの地下にある小さなお店。
ホームページでは11時半開店となっていて、早めについたからまだやってはいないだろうなぁ…。
どこかで時間をつぶさなくちゃ…、とお店の前に来たらばなんと、営業中の看板がある。
さい先よきことこの上もなく、さっそくお店に入ってランチ。
ここの名物、夫婦蒸し。
同じ大きさの丼2つでひと揃え。
一つは蒸し寿司。
一つは大きな茶碗蒸し。
蓋をしたままやってきて、蓋をしたままどうぞとテーブルの上に置く。
3人分が一緒にきて、蓋をあけずに中身がわかるって不思議だなぁ…、と。
なんでわかるの?って聞いてみたらば、茶碗蒸しの方は持った時に蓋が揺れるからわかるんですよ、と。
ためしに二つの丼を、軽く持ち上げるとたしかになるほど。
片方だけは蓋がユラユラ、中の蒸気が蓋を持ち上げカチカチ音を立てている。
まずは蒸し寿司。
錦糸卵の黄色に、デンブのピンク。
刻んだ穴子の茶色い色が、色鮮やかで目のゴチソウ。
お料理的な色合いじゃなく、お菓子的なる色合いで、なんだかめでたい。
田舎のめでたい贅沢料理には、こうした極彩色な食材を好んで使う。
ちょっと中国料理的なる色彩感覚…、オモシロイ。
酢飯の中にはササガキゴボウは混ぜ込まれていて、とても甘い。
蒸しているからお酢の酸味が飛んでしまって、ボンヤリしてる。
けれど甘味はかなりドッシリ。
九州地方の味でござんす、ナツカシイ。
蒸しているのに乾いた感じに仕上がってるのが不思議なところ。
ご飯も固めの仕上がりで、なにより錦糸卵がモソモソパサパサ、口の中の水分うばっていくようで、食感独特。
口の渇きを癒やしてくれるのが茶碗蒸し。
フルフル揺れるなめらかで、ツヤツヤとしたその表面。
れんげを入れると、プルンとはじけて中から出汁が滲み出す。
おびただしいほどのおいしいスープを抱き込んだ、茶碗蒸しというよりも「おいしい出汁の玉子とじ」。
そんな感じの食べ物ですな。
透き通ったスープはやさしいおいしさ、風味もゆたかでホッとする。
中にはゴロゴロ、具材がタップリ。
お麩にカマボコ。
焼いたアナゴに鶏肉に、白身の魚、椎茸、タケノコ。
銀杏の実が一個コロンと沈み、レンゲで玉子をすくうたび新たな具材がそこにのっかる。
食べ進めていくのがたのしい、おゴチソウ。
それからお供に皿うどん。
一個をたのんでみんなで分ける。
他の長崎料理のお店と同じくココも、太麺、細麺の療法が用意されている。
ミロクヤさんの皿うどんのセットが一般的になってから、揚げた細麺を使ったモノが皿うどんの代名詞のようになった。
けれど元来、皿うどんはチャンポン麺用の太麺を使って作るモノだったんだろう…、って思う。
麺を炒めてそこにチャンポンの具材とスープを煮詰めてあんで固めたものをのっけて食べる。
揚げ麺をみて、これのどこがうどんなんだろう?って、思う疑問が太麺タイプを食べると氷解。
ムチムチした麺にあんがからんで、かなり確かな食べ応え。
揚げ麺がもつ香ばしさやパリパリとしが歯触りはない…、けれどあんの味わいと具材のうま味に集中できる。
これはこれにてオゴチソウ。
11時半、つまりWebに載ってる開店時間に合わせて次々、流れ込むようにしてやってくるお客様たち。
お店の外や店内告知の内容よりもWeb情報が優先する時代…、便利でもありおそろしくもある、なやましい。
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