「雨は夜更け過ぎに雪へとかわるだろう♪」な雪、吹きなぶる、Oh!my、なんと寒い今日。
お昼をあったかなもので満たしたい…、と。
それで銀座の「おばこ」に来ます。
庄内地方の郷土料理の割烹料理屋…、冬はしんみり寒い地方の料理のお店。
ガラッと扉をあけると中はとてもやさしい昔ながらの和の空間。
角がとれるほどに磨かれた白木のカウンターの中にお燗のつけ場があって、奥に厨房…、おでん屋さんとか天ぷら屋さんとか気軽でちょっと上等な日本料理をたのしむための典型的なステキな空間。
女将さんがニコリとお辞儀をして出迎える、そのやさしさに、思わず笑顔がこぼれます。
お昼のメニューは基本的には1種類。
予約をすれば松花堂とかコース料理も用意してもらえるけれど、それは特別。
普通においしいお昼のご飯は1500円というちょっと上等な値段だけれど、納得出来るたのしいゴチソウ。
メインの料理に小鉢や汁、それからご飯が全部で8種。
次々、用意されて出てくる。
まずは冷たい、蕎麦の実雑炊。
殻から外した蕎麦の実を出汁で煮こんでそのまま冷たくしたお汁。
海苔とわさびで風味を添える。
よく混ぜ、サラッとすするようにしてお腹に運ぶ。
ホツホツ歯ざわりたのしい蕎麦の食感。
汁はトロンと軽く粘って、喉をやさしく撫でていく。
塩とお出汁の風味に旨みがドッシリしてて、お腹がたちまち空いていく。
本当は、熱燗飲んで暖かくなったお腹をこれで休ませる…、なんて食べ方すればもっとおいしんだろうけど今は昼.…、ご飯のおかずが次々並ぶ。
メインは目鯛。
「鯛」と名前はついてはいても、深海に棲むどちらかといえば銀ダラだったりメロに近い脂の強い白身の魚。
出汁をかけつつシットリ、フックラ焼き上げてぶりんと白身が盛り上がるよう…、そこに箸をそっとそえるとブリンと一口分が自然にほぐれてとれる。
口に含むと上等な脂の風味と一緒にドッシリとした旨みが口に広がっていく。
ご飯を一口、口のいっぱいに炊きたてご飯のおいしい湯気が充満していく…、なんてあったか、オゴチソウ。
そして小鉢の料理がいくつか。
イカのすり身で作ったシュウマイ。
中に刻んだイカの切り身が混じって、それがクニュクニュ。
フックラとしたすり身のなめらか。
それを包み込む、ツルンとすべすべした皮と食感がまずおいしい。
イカのうま味がドッシリしてて、ツンの鋭い練った辛子をつけるとキリっと味が引きしまる。
手作りならでは不揃いが、なんだかとてもやさしく感じる。
それから冬にうれしい風呂吹き大根。
分厚く切られた大根が、透き通るほどにシッカリ煮られて箸をあてるとサクッと切れる。
そっと口に運んで、舌においた途端にジュワッと出汁が染み出し、噛むとたちまち口一杯がみずみずしくなる。
炊いた大根のやさしく甘く、しかも風味の豊かなコトにウットリします。
普通はココにゆず味噌タラリという具合。
けれどココのは料理屋的に肉味噌たっぷり。
粗めにひかれた鶏肉を、丁寧に。
脂を出させてポロポロさせたものを味噌で味付けて、柚子の香りをあしらったのを山盛り、たっぷり。
大根と一緒に食べても当然おいしく、けれどそれをご飯のお供に食べると、食欲もりもりご飯がすすんでしょうがない。
湯がいたしらたきをたらこと一緒に炒りつけた真砂煮だったりカブの浅漬け。
すべすべとした炊き立てご飯のお味噌汁。
東北地方でありながら、味噌は甘めの白味噌で料理の味も塩味よりもうま味をひきだす四国生まれのボクにもやさしい。
海で京都や大阪につながっていた時代にできた食の文化を感じてステキ。
なにより笑顔をたやさぬ女将さんに見守られながらおだやかに、味わうご飯のおいしいコト…、お腹とココロがあったまる。
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食後にお茶…、ちょっと歩いて「どんパ」にきます。
銀座からも徐々に姿を消しはじめている、古きよき時代の喫茶店。
ココはずっと昔と変わらずがんばっている。
水だしコーヒーが売り物の店。
お店の中には大きな砂時計のようなガラスの容器がおかれていて、ポタリポタリと水滴をコーヒー豆の上に注いで抽出してる。
熱をくわえず水にコーヒーの成分を移していくので、味や香り、うま味がとてもやさしく鮮やか。
それを一杯ごとに手鍋でゆっくりあたためてカップに移して飲む趣向。
ここの名物のニッキコーヒーをいただきました。
コーヒーを落とすときにシナモンの皮を通して香りをうつす。
テーブルの上に置かれたコーヒーカップの中から、ニッキの甘い香りがフワッとかなり強烈に沸き上がってくるのにまずはビックリ。
飲むと榮太郎のニッキ飴を口に含んで、コーヒー飲んでるみたいな感じ。
なんだか切なくなつかしい、甘い気持ちになってくる。
どこにもないモノ。
おいしいモノ。
それを変わらず提供するために手間を惜しまぬ正直が、こうして確かに残っているとこ。
それも銀座のステキなところ…、またこなくちゃぁって思ったりした、冬の昼。
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