仕事を終えて東京へ、帰る途中に寄り道をする…、名古屋に来たらあれを食べておかなくちゃって、それで駅前地下街の中にある店「山本屋」。
味噌煮込みうどんのお店で流儀の違いで「本店」と「総本店」の両派があって、ボクは本店の方が好きにて、その本店のエスカの支店…、なんだかちょっとややこしい(笑)。
ここのお店は「お客様をもてなす」というコトを一生懸命考えて、実践しているお店のひとつ…、お腹の満足以上にココロが満たされるいろんな工夫があって好き。
例えばうどんを注文すると、野菜がまずはやってくる。
煮込んで仕上げるうどんだから、ちょっと時間がかかるのですネ…、その待ち時間に野菜を食べてもらおうと、キュウリ、白菜の浅漬に晒したスライスオニオンがくる。
しかもこれが食べ放題で、お店の人が気遣い「いかが」と持ってくる。
サービス品といえどもこれがおいしくて、箸が進んでしょうがない。
今日は加藤晴彦くん似のサービススタッフがニコニコしながらいかがですかと何度も、何度も。
スライスオニオンおかわりをして、白醤油をかけてムシャムシャ食べる。
カーボローディングの準備万端…、今のボクにはうれしいサービス、ありがたい。
黒豚煮込みをえらんでたのむ。
もともとカシワに玉子とネギ、油揚げ、それからかまぼこという鉄板具材の組み合わせがある。
けれどカシワが嫌いな人も中にはいて、それで黒豚煮込みであったり天ぷら煮込みなんてバリエーションが続々登場。
冬には牡蠣や、今の季節はほうれん草。
ちょっと高級路線で名古屋コーチンをと、鍋の中で戯れるごといろんな提案がオモシロイ。
それにしてもこの店の感心するのが、基本的に煮込みうどんだけでずっと商売をやっているとこ。
お客様におもねることなく、自信をもてる料理だけ。
その頑なと、けれど時代や嗜好に合わせてうどんの具材は柔軟にという、バランス感覚が勉強になる。
コロンと下の張った独特の土鍋でグツグツ、蓋には蒸気を逃がすための穴がないのが名古屋流儀で、熱々のうどんを蓋に移してさましつつハフハフ食べれば合理的。
うどんが跳ねて味噌色の汁を飛び散らかさない工夫でもある…、そういえば。
ずっと最近、ハネで服を汚さぬようにという配慮の前垂れエプロンが、今日は用意されてなかった…、出さないようにしたんですね。
おじさんたちがあの前垂れを首からぶら下げ食べる姿が滑稽で、しかも女々しくあれはどうにかならないものかとずっと思っていたけれどめでたく「無し!」となったのですね。
蓋さえあれば、粋に食べれるものでしょうにと、蓋に装い一味をパラリ。
硬くて顎を使わず食べること適わない食感の麺…、けれど芯があるかというと中の中まで同じ歯ごたえ、つまり全てが硬くて歯ごたえ保ってる。
しかも味がシッカリしみてて、ときおり夢にまでみるほどのオキニイリ。
玉子が一個割り入れられる。
固めでお願い…、っていうと蓋して煮込む途中で玉子を入れてくれ、だからトロンとほどよく半熟。
それをご飯の上にのっけて、ハフハフムチュンと味わうシアワセ。
タップリの肉。
キュッキュと奥歯がくすぐったくなるネギの食感。
スープのうま味を吸い込んでフックラとした油揚げと、具材豊富で味わい多彩。
何よりしゃぶしゃぶ用の豚バラ肉がこれでもかって入ってて、とても贅沢。
オゴチソウ。
ところでボクの前にふんぞり返って座る若造ひとり。
野菜のおかわりを促し、やってくる人たちに「うん」と言ったり「ううん」と言ったり挙句の果てに「おい」と呼ぶ。
彼らはお前の部下じゃないから。
よしんばそこに不本意な上限関係があるとしたって、お前のような無礼なモノにはらう敬意はありはせず、たった2000円とちょっとで人を買ったつもりでいるかもしれず、けれどお前に売るほど安い誇りや汗はありはしないぞと、憤慨します。
そこな若造、承知せんぞ、無礼者!
と危うく声にでそうになって、喧嘩をするのは野暮なこと…、ココはひとつ、三十六計逃げるにしかず、不本煮ながらも席をたちお勘定しにレジにゆく。
そしていくつかやり取りをして、お釣りを受け取りニッコリしたら、可愛い彼女が「お客様の声はステキでらっしゃいますね」と褒めてくれるじゃあぁりませんか。
自分で聞けぬ自分の声を褒めてもらうってなんてステキなことだろう…、って不機嫌わすれて家路につきます、新幹線で東京へ。
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