サカキノホトンブログ根津で豆腐の朝の朝

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根津で豆腐の朝の朝

根津のとうふ工房「須田」っていう店。
上等な朝ご飯が食べられるというので有名な店。
ずっと前から興味があったのだけれどいかんせん、根津という場所が気持ちの上でちょっと遠くて、それが今日。
たまたま湯島で仕事があって、東京メトロの路線図みればなんと根津は湯島の隣。
ほんの少しだけ足を伸ばして、念願、かなえる。

商店街をなさぬ、けれど小さな商店が連なる路地に面してこのお店。
白木の外観が目にまぶしいほどの、こざっぱりとした店構え。

それにしてもこの街。
ひなびた具合が絶妙でいい。
地下鉄の駅を出て表通りをあるいていると、ほんの一瞬、さびれてしまっているのかなぁ…、と心配になる。
けれど駅からちょっと歩くと、表通りにも路地裏にも、間口の小さなお店がギッシリ。
チェーン店はほとんどなくてこの街、この場所、この路地裏で一生懸命がんばっているお店ばかりで、すがすがしくなる。
ここのお店も手前にパン屋。
お向かい側には八百屋さんと、おいしい生活を支えてくれそうなお店がたくさん。
暮らしやすい町なんだろうなぁ…、って思ったりする。

暖簾をくぐって引き戸をガラガラッ。
右手に豆腐やその加工品を並べた売店。
その左手にちょっと茶店っぽいテーブル席がしつらえられててそこで食事がたのしめる。
朝の定食、もらいます。

まずは豆乳。
ふかふかのおしぼりと一緒にそっとやってくる。
ストンと細めの陶器の湯飲みを、持ち上げたらば手に伝わってくるやさしい熱さ。
しかも豆の匂いがポワンと一緒に近づいてくる。
一口、含む。
やっぱりスゴイね、搾りたて。
ほんの少しの緑の匂いが後をひく。
けれどそれが決して嫌な匂いじゃなくて、甘くておいしい香りに感じる、なんともステキ。
旨みがとても頑丈で、ほんのひと舐めしただけなのに、口の中が豆腐の味で一杯になる、その迫力に目が覚める。

定食とはいえ、一度にドンっとお膳がやってくるわけじゃない。
塩に醤油、刻んでさらしたネギが次々、テーブルの上に運ばれる。
気持ちが徐々に高まっていき、しばらくしてからお膳が届く。
豆腐を作っているお店の朝の当然、メインはお豆腐で、しかも豆腐のいろんな状態、バリエーションを味わえる。

ホカホカあったか、出来たばかりの豆腐が塗りのお椀にタップリ。
ふわっとしててやわらかで、けれど不思議とお箸でつまんで持ち上げられる頑丈さもある。
味もそう。
とてもやさしく刺激的な味はない。
けれど豆の旨味と香りが口の中でひっそり静かに花開かせる。
醤油いらずでそのまま食べても十分おいしく、塩をかけると甘味が引き立つ。
お腹の中でずっとそのあったかさを保って、体を中からあっためてくれる…、そんな味わい。
ご飯にのっけて一緒に食べると、口の中でフワッと崩れて米粒包んでとてもやさしい食感になる。

油揚げに田楽味噌を塗ってパリッと焼いたモノ。
これがご飯のおかずにどうしようもないほどおいしくて、思わずご飯をお替わりしちゃうほどの好相性。
パリッと焼けた部分がまるで揚がったみたいで香ばしく、噛むとジュワッと油が滲む。
最初は味噌の甘い風味が、口いっぱいに広がっていく。
その強烈な味の一波がおさまると、豆の旨みが静かに舌をおおってく。
お揚げは豆腐を揚げたもの。
その当然をしっかり思いださせてくれる、これが本当は本当の味。
さらしたネギをタップリのせると、シャキッとそれがみずみずしくて味噌の旨味をほどよく調和。
煮込んだ豆に味噌汁に、そういやこれらもみんな「豆が原料」。
今日の朝餉は豆に元気をもらう献立、ありがたい。

ところでココ。
豆腐とご飯とお汁がなんとおかわり自由。
しかも今日のご飯は刻んだお揚げにふきのとうを混ぜて炊いた炊き込みご飯。
ふきのとうのほろ苦さが、びびっと舌とお腹に刺激を与えてくれて、食欲ズンズン、湧いてくる。

山の上ホテルの和食堂が朝食の営業をやめてしまって、上等な日本の朝を味わうことがちょっと難しくなっていた。
けれどココ。
身の程しった上等を1000円以下でたのしめる。
なにより体にやさしい食べ物で朝をむかえる贅沢は、他の何にも変えがたい心の贅沢、ラクシャリー。
たとえば海外から来た人たちに、こうした朝を味わわせてあげたいなぁ…。
絶対、喜ぶに決まっているもの。
ホテルの中に本当は、こうしたお店がなくちゃいけない、面白くない。
そんなことを思ったりした、さて移動のち、ちと仕事。

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2010/04/12 (Mon) 東京の他エリアのレストラン Comment(10)

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■ コメント一覧

表だけ。

表を素通りしたことあります。こちらのお店。。。
なるほどそういうお店だったんですね～。食べたばかりなのにおなかすきました。
根津の裏通りには「東京都指定食堂」というｶﾀｶﾞｷのついたお店もあったり
生シャンソンの弾き語りが聞けるお店もあったり、根津って噛めば噛むほど味が出てくるスルメみたいな町だと思います。。。

電マニさん / 2010/04/12(Mon) /

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再発見

> 電マニさん
今まで縁がなかったのが勿体なく感じるほどにステキな街…、ってそう思いました。
スルメみたいな街。
なるほどですね。
東京という街の懐の深さすら感じさせてくれるステキな体験でありました。

サカキシンイチロウさん / 2010/04/12(Mon) /

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わぁこれは・・・

素敵なお店！
お休みの日に、早起きしていかなくては・・・。
根津と言えば、「鷹匠」というお蕎麦屋さんがありまして、
このお店もとっても素敵です。
美味しくて、居心地が良くて。

ところでまったく方向が違いますが、
ぜひサカキさんに一度行っていたただきたい、
素敵なお店が練馬区（杉並区？）にあります。
「源烹輪」という中華料理屋さんなのですが、
とってもおいしいですよー。

麻婆豆腐と汁無し坦々麺が外せない名品ですが、
その他の料理も、ちょっと、他にないような材料の使い方というか、
味のアクセントが多彩で、印象的なお店です。
都心からだとちょっとおっくうですけれど、
機会があればぜひ一度おでかけください。

ｔｏｎａｍｉさん / 2010/04/12(Mon) /

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あれ？

根津の辺りってサカキさんちから割りと近いのかな～って勝手に思ってました。。
根津には沢山入ってみたいお店があるのですが、サカキさんの紹介でまた一軒増えちゃいました(笑)。
あの辺りはとにかくお寺が沢山あって、これからの季節、のんびり散歩をするのに素敵なエリアですね。

オレンジさん / 2010/04/12(Mon) /

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ステキなお店

> ｔｏｎａｍｉさん
こうしたステキなお店にわざわざいく余裕。
いいなぁ…、と思いました。
「源烹輪」。
麻婆豆腐と坦々麺は大好物中の大好物なので、是非いつか、と思いました。
おいしい情報、どうもありがとうございます。

サカキシンイチロウさん / 2010/04/12(Mon) /

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前のオフィスから

> オレンジさん
本郷の坂道をダラダラと降りていくとある街。
それが根津。
今日、しげしげと地図を見ていた、なんだ近かったんだ…、って再発見。
電車で遠回りも散歩だと案外身近な街ってあるんだなぁ…って。
次は谷中あたりをブラブラしてみようかなんて思いました。

サカキシンイチロウさん / 2010/04/12(Mon) /

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おあげさん食べたい

根津の駅、我が家から上野の美術館に行くときの最寄り駅として使っています。
けっこうな距離を歩くんですが、散歩にちょうどいい街なんですよね。
帰り道にこちらのお店が見えると、間もなくゴール（笑）
古きよき風景のなかに、さわやかに現れるので、ずっと気になっていました。
半年ほど前に初めてテイクアウトで購入しましたが、みんな、おいしかったです。
おあげさん、ただ焼いて醤油をかけるだけでOKなんですよね。
朝ゴハンもやっているとは、知りませんでした。
美術鑑賞前にぜひ寄らねば。

お蕎麦屋さんも多くて楽しめますが、目立たない路地にあるカフェnomadさんが好きです。
これからの季節、また散歩したくなりました。

ryoko*さん / 2010/04/13(Tue) /

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朝定食…！

サカキさん、今晩は。ちょうど前日の日曜日、根津神社のつつじ祭りを見て不忍通りから言問通りを抜け、谷中霊園まで散策いたしました。こちらのお店の前も通りがかりとても気になっていたので、先程サカキさんのブログを拝見し素敵な朝定食とお稲荷さんを知って近い内にまた訪れたくなりました。
言問通りでは天三昧さんの「ゆべし」を購入しました。
素朴な餅菓子オススメです。
谷根千…行けば行く程味わい深い街ですねぇ。

なこさん / 2010/04/13(Tue) /

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豆腐工房

> ryoko*さん
ちょっと迷うかなぁ…、と思ったのですが駅を出たところに大きな看板。
朝からやっている工房と、お昼以降の割烹の二軒があるのですね。
近所にはステキな喫茶店なんかも結構あって、なんだかハマってみるのも悪くないかなぁ…、なんて思いました。
次は谷中。
散歩をかねてさまよってみようかとも思っています。

サカキシンイチロウさん / 2010/04/13(Tue) /

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つつじのお祭り

> なこさん
この界隈はお祭りが日常生活に溶け込んでいる街。
人がおだやかに生活している街かなぁ…、なんて思います。
言問い通りはおいしいものの宝庫でもありますよね。

サカキシンイチロウさん / 2010/04/13(Tue) /

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サカキノホトンブログ

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