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2024/11/25 (Mon)
ルパンコティディアン
朝、ゴキゲン女子と朝ご飯をかねた打ち合わせ。
食文化をたのしいモノにしようって、
フードクリエーターの人たちのグループ
を一緒に主催している人たちと、ひさしぶりに情報交換をかねて朝をご一緒にいたしましょうと。
「
ルパンコティディアン
」にやってくる。
1990年にベルギーのブリュッセルで一号店を開店させてたった20年で19ヶ国26都市で151店舗という規模になったベーカリーレストラン。
業界の人が注目していた大物登場…、って感じのお店であります。
場所は芝公園。
東京プリンスホテルの入り口。
日本につれてきたのは伊藤忠商事。
かなりコトを構えているようで、事業計画を見せてもらうと5年で40億円の事業規模を想定している。
商社のビジネススケールから考えればかなり控えめではるのだろうけど、こと食の産業においてはかなりの規模感。
にもかかわらず目立たぬ場所で一号店を開業したのか…、って不思議に思った。
実はこのお店の創設者。
アラン・クーモンさんの「東京の中でも田舎じみた場所で一号店をオープンさせたい」っていうたっての希望でココが選ばれたんだっていう。
便利で目立つ場所で無理やりブームを作るより、ワザワザ来なくちゃいけない場所でジックリ、ファンを作って実力を付けることからスタートする。
地道で着実…、いいんじゃないの、とまず思う。
山小屋風の造りの店。
東京タワーと増上寺、それに東京プリンスホテルの庭が借景。
豊かな非日常感がただよっている。
ただ建物はかつて垢抜けないカフェの時の構造をそのまま使って改装したもの。
黒字にお店のロゴが白く抜かれたテントがなければ気づかぬほどにそのまま。
だから外からみるとあんまり代わり映えがしなくもある。
けれどお店を入るとまずベーカリー。
木造の棚がキレイに並んで、その後ろ側にはパン工房がガラスで仕切られ、みえてる。
わくわくします。
パンだけでなく、ジャムなどの食品や食器などが並んでて、日本離れしたステキな景色。
コティディアンのどこのお店にも共通してるやさしく自然な上質空間によるお出迎え。
悪く無いです…、ワクワクします。
ただ、あれって思うのがセルフサービスの売り場があること。
日本では自分で選んでパンを買うのが当たり前のようになっている。
けれど、ここを含めてヨーロッパではパンは対面販売で買うモノなのネ。
人間の体を作る大切なモノ…、しかもそのまま食べる食品を、誰でもさわれる状態で買えるというのがわからない。
日本の人って清潔ということに対して潔癖なのに、なんでこんなことができるんだろうってボクの知り合いのフランス人は笑いながらいったことがある。
まぁ、ただコレも「日本市場へのローカライズ」というコトなんでしょうと胸に収める。
販売コーナーに続く形でレストラン。
ここのレストランの象徴的な存在が、お店の中の大きなテーブル。
20人がけ位のサイズでしょうか。
コミューナルテーブルってよばれていて、どこのお店にもある。
相席を前提とした場所で、パンをたのしむひとときを見知らぬ人たちと共有することのシアワセを味わって…、という趣向のテーブル。
そういえば、パンとワインを分け合った宗教的なテーブルも大きなテーブル。
なんだかちょっと厳かなムードがただようステキな景色。
レストランの中にまで、パンのおいしい匂いがしてくる。
お腹が空いて、目が回るほど。
まずはコーヒーをもらってそれでメニューをみます。
ポットにタップリ、2人分くらいの量のコーヒーが来ます。
オーガニックのやさしいロースト。
ミルクをご用意いたしましょうか?と聞かれて、お願いって答えると、ピッチャー一杯に熱々のミルクを持ってくる。
カップでなくて、カフェオレボール。
そこになみなみ、コーヒー注いで飲もうと思うと両手でそっと持ち上げることになる。
ほんのり温か。
そっと口に近づけて、コクッと飲むとやさしくお腹があったまる。
カフェオレボールで飲むコーヒーって、ただの飲み物じゃなくてなんだか「飲むお料理」のような感じがする不思議。
全部で40種類ほどの料理のメニューがありましょうか。
ひとつひとつを読み上げなら、なるほど…。
そうなんだなぁ…、って思ったのがすべての料理、飲み物がパンをたのしむためにあるというとこ。
炭水化物はパンだけで、当然のようにパスタやご飯料理はない…、潔くって正直です。
まずは、ここ最大の売り物。
オーガニック小麦のベーカーズバスケットというのをとります。
バスケットの中に、何種類ものパンがどっさり。
真ん中にバター。
それと一緒に、コンフィチュールがボトルごと。
三種類もがやってくる。
このやり方をみると渋谷のビロンのコトを思い出すけど、実は渋谷のビロンの朝食はココのオマージュなのでありますネ。
バゲット。
レーズンの入ったライブレッド。
田舎風のパンであったり、種類さまざま。
しかもどれもが飾り気のない、昔からのパンの形をしているのです。
驚きはない。
けれど、なんだかなつかしい。
昔から人はこんなパンを食べて生きてきたんだ…、とそんな厳かな気持ちになっちゃう。
それもよし。
ちなみにココのパンは全部、オーガニックの小麦粉、塩、水に酵母をつかってる。
しかも小麦粉は石臼挽き。
だから色がくすんで地味で、けれど食べると味わい深い。
すべてがちょっとボソボソしてて、けれどそれがまた旨い。
お皿の上に、コンフィチュールをタップリおきます。
イチゴ、オレンジ、それからアプリコットのジャムで、どれもが果物の味がそのまま。
それをタップリ、塗るのではなくのっけるようにして食べる。
ジャムの香りは鮮やかで、味も見事でなのにパンの風味が消えない。
素朴なパンは意外に頑丈、たくましい。
噛めば噛むほど、おいしさ膨らむ、オモシロイ。
そもそも店名の「コティディアン」というのは「日々の糧」って言う意味で、その名の通り強烈においしいわけではなくて、素朴でしんみりおいしい。
強烈においしいものを毎日食べるわけにはいかない。
あきちゃうものネ。
噛めば噛むほどおいしくなって、しかもしみじみ、豊かな風味がやってくる。
体に染みいり、元気なココロを作ってくれる、日々の糧。
それからココの名物料理のひとつがオープンサンドイッチ状の料理「タルティーヌ」。
タルティーヌ用の板にのっかってやってくるのが、なんだか素朴でステキな感じ。
基本的にパンに何かを塗りつけて、そこに具材を飾って作る。
何種類かがある中で、気になったのが、フムスと白いんげんのツナサラダを乗っけたというモノ。
フムスって言うのは、ひよこ豆のペーストのコト。
茹でたお豆を潰してオリーブオイルを注ぎこみ、スパイスなどで風味をつける。
中近東から北アフリカでよく食べられてるお料理で、それをタップリ、パンの上。
ツナのサラダをのっけて、茹でた白いんげんをパラッとちらす。
バジルソースをタランとかけて、はい出来上がりというレシピ。
見目麗しく、さわやかで、シンプルなんだけど味わい深くてとてもおいしい。
ひとつひとつの食材の力がとても強いのでしょう…、調味料の味というより、素材同士の味が引き立ておいしくなってる。
なによりやはりパンがおいしく、それが主役をなしている。
しかも全粒胚芽のボソボソとしたパン生地が、フムスから出る水気、オイルでシットリとして口の中がみずみずしくて、さわやかになる。
豆のホツホツ、ツナのムッチリ、バジルの香りがパンを舞台に口の中でひとつになって、やさしくお腹が満たされる。
せっかくだからもう一つ、別の素材のタルティーヌをたのんでみましょうと、選んでみたのがスモークサーモン。
スモークサーモンてそのまま食べるより、パンにのっけて食べたほうがおいしく感じる。
あの脂。
あの香り。
あのネットリと濃厚な味。
そのまま食べると強すぎて、パンと食べると程良く中和されるのですね。
ココのパンと一緒になったらどれほどおいしく感じるだろう…、と。
アボカドが添えられているというのもたのむ決め手になった。
さてパクリ…、と食べると「あれっ?」って拍子抜け。
スモークサーモンがやさしいのです。
パンの風味をあまり損なわぬよう…、という配慮なのでありましょうか?
脂の香りが塩気が弱い。
ネットリとした食感はある。
けれどパンのフッカリとした食感に負けてしまって、モッタイナイ。
どうしようか…、とそれでちょっと一工夫。
一口大にカットして、アボカド刻んで乗っけた上に、サイドにあったトマトをちぎる。
それものっけて、塩と胡椒をかかっとふってオリーブオイルをかけまわし、それで食べると…。
なんということでしょう…、とビフォアアフターのナレーター声になってしまうほど、これがおいしい。
テーブルの上に普通に置かれた、塩や胡椒やオリーブオイルがなんとおいしく上等で、なるほど創意工夫も食事をするたのしみの一つなんだと合点する。
よいお店です。
ひとつひとつがちょっと高めで、料理そのもののコストパフォーマンスを考えると決して良くはないかもしれない。
けれどこうした「日常的な普通の贅沢」。
これから日本のボクらが一番、大切にしなくちゃいけないコトのヒントがココにはあるような…、そんな気がする、また来よう!
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2011/04/27 (Wed)
東京の他エリアのレストラン
Comment(4)
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無題
僕もこのお店よく行きます。近所なので散歩しながらふらっと寄ること多いですが、なぜか入りたくなるんですよね。パンのお値段も少々お高いのにもかかわらず、、、
大事な「何か」がひっそりと備わったお店なんでしょうね。
もーりーさん / 2011/04/27(Wed) /
編集
おだやかな雰囲気
> もーりーさん
不思議な空気感をもっていますよね…、このお店。
空間。
しつらえ。
そしてそこで働いている人たちも、どこか穏やか。
なんだか不思議な雰囲気で、気になってしまう。
ステキな場所と感じました。
サカキシンイチロウさん / 2011/04/27(Wed) /
編集
後から店を出したくせに
ルパンコティディアンは 元々茅ヶ崎の美味しい手作りパンの小さなお店の名前でした
(日本では)それがイキナリ店名が変わりました どうせ登録商標とか損害賠償とかと脅しをかけたのでしょう相手が小さな街のパン屋さんでは怖くて名前を変えた事でしょう かかる費用は多分実費で
同じパンを作っていながら弱いものイジメをするパン屋のパンなんか食べる気にはなりませんね
破裂の人形さん / 2011/07/26(Tue) /
編集
残念ながら
> 破裂の人形さん
茅ヶ崎のルパンコティディアンさん。
数年前に開業されたばかりで店名を変えなくてはならなくなった…、哀しい出来事だとは思います。
けれど、ルパンコティディアンが日本にやってくるということは2005年に分かっていたこと。
そのことをもしご存知だったら別の名前を選ぶ選択肢もあっただろうにとも思います。
「毎日の食事を支える"日々の糧"になりたい」という思い。
もしかしたら本家のルパンコティディアンが大好きでつけられた名前だったのかもしれないなぁ…、と思ったりもいたしました。
サカキシンイチロウさん / 2011/07/26(Tue) /
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