銀座のはずれで仕事が終わる…、それで行きたいお店があってテクリと散歩。
銀座の街から南へ南へと向かって歩く。
昭和通りを越えて南へ。
かつて昭和通りというこの通りに川が流れていたという。
川を渡ると木挽町。
今では歌舞伎座を中心としたその界隈も、銀座と名前が付いている。
けれどちょっと前までここは銀座と違う街であったというコト。
飲食店も商店も、今でもずっと銀座と違ったお店が健在。
大衆的で、あたたかく、家業的なるお店が昔通りの営業を続けているのがステキと思う。
そこに新しく出来た超高層ビル「プラス」歌舞伎座が、今までは違った空気を良くも悪くも流し込んでいる。
歌舞伎座を中心とした地域にあるさまざまな店。
役者御用達ブランドとして認められた店に新たな行列ができ歌舞伎バブルに湧いている。
大きなオフィスビルに勤める人たちが好むようなオサレなお店もランチ時には大混雑。
そんな熱狂に包まれた街の中にも、ブームとは無縁のお店がいくつもあって、その中の一つのお店…、「豚児」に来ました。
前から来たかったお店であります。
それというのもFacebookでつながっていただいている人が何度もココのコトを書いていて、それを読む旅お腹をぎゅーっと鳴らしてた(笑)。
ランチタイムのまっただ中。
にも関わらず、お店の中はヒンヤリ静か。
親父さんがにっこりしながら、いらっしゃいと元気な声をかけてお茶を運んでくれる。
ランチをえらんでたのみます。
頑固で実直な面構えしたお店の外観。
その外観と同じ顔したご主人の顔。
そして同じく実直で、昔ながらのお店のしつらえ。
一貫性にまずはニッコリ。
お店に漂う甘い油の香りがおいしく、お腹がグーッとなって待つ。
お店の一番奥にある厨房の方から油の中で衣がはぜる音。
それと一緒に油の香りがひときわ濃厚になって
楕円形の皿にギッシリ、料理があれこれ。
コロッケ、イカのフライに玉子一個のハムエッグ。
ハムエッグをめくると下に肉焼売が隠れてて、千切りキャベツにポテトサラダでひとそろえ…、ご飯に味噌汁、漬物がつき、これでたったの600円。
頭がさがる思いであります。
両手を合わせて「いただきます」と食事の前のひとことを忘れずいいたくなる料理です、そしてサクリとまずは一口、コロッケ食べる。
サクッと壊れる衣のなんとおいしいコト…、フライの中には「パン粉を味わう」モノと「パン粉の存在感を忘れてしまう」モノの2種類があり、これはパン粉を味わう料理。
口の中で揚がったパン粉が散らかって、焦げた油の香りがフワッと鼻から抜ける。
ネットリなめらかなじゃがいもが、パン粉の食感ひきたてて、なにより甘い。
ソースをかけずまずは一口…、すると油の甘みがじゃがいもの甘みと一緒になってなんとも味わい深く、そこにソースをタラリと垂らすとご飯を思わずねだる味。
イカのフライもパン粉がおいしく、ツルンと滑るイカの食感ひきたてる。
それから焼売。
ホツホツ、豚ひき肉の食感が奥歯にたのしく、フックラとした噛みごたえ。
これまた油の風味が上等。
なによりびっくりするのがポテトサラダのおいしいコト。
油をタップリ含んだじゃがいも。
スキッと酸味が最後に芋の甘味をひきしめる、これでサンドイッチを作ったらおいしいだろうなぁ…、って思ったりする。
ご飯にポテトサラダをのっけて、醤油をタラリと垂らして食べるとご飯のおかずにもピッタリするのがなんだかステキ。
大盛りご飯がモリモリいける。
それにしても目玉焼きって自分で作るとありがたみのない普段着料理。
なのにこうしてお店の人に作ってもらうと、なぜだか特別感を感じる…、しかもハムエッグとなるとそのめでたさは格別ですな。
ただ目玉焼きの黄身がやわらか、生に近い半熟で残念ながら食べられる。
そこで、そうだ!とおいしい企み。
熱々の味噌汁の中に目玉焼きの黄身の周辺だけを沈めて、熱をくわえる。
ほどよく黄身のまわりの部分が半熟になり、芯の部分は箸をいれるとトロンと汁に流れ出し、チリチリ表面ただよっていく。
油のコクが味噌汁をドッシリ味にしてくれて、タップリご飯をたのしくお腹の中におさめる…、オゴチソウにしてオキニイリ。
関連ランキング:とんかつ | 東銀座駅、銀座駅、銀座一丁目駅
[6回]
PR