サカキノホトンブログ拍手で緞帳、上げる夜

S	M	T	W	T	F	S
					1	2
3	4	5	6	7	8	9
10	11	12	13	14	15	16
17	18	19	20	21	22	23
24	25	26	27	28	29	30

拍手で緞帳、上げる夜

映画を観終えて、舞台を一本…、今日はたのしい大忙し。
「梅ちゃんの青いペルセウスの誘惑」っていう舞台。

お笑い芸人のステージではある。
何しろ、柿の種を鼻に摘めてそれを息で飛ばしながら歌を歌う、と言うので有名な人で、だからみんなそれを期待して観にきはするけど、実は彼。
希代のシャンソン歌手だとボクはずっと思ってる。

シャンソンという歌。
泣くのも哀しすぎるほどの人生を、フフッとシニカルに笑い飛ばして歌にする。
自分の不幸を軽く突き放して、自分の手元に戻ってくるまでのその一瞬のシアワセを表現するコトができてはじめて一流の、シャンソン歌手になれるんだろうと思うのですけど、梅ちゃんという人。
どうみても女装が似合わぬただのおじさん。
そのおじさんが、女の服を身をまとい、普通ならせぬ「オバカ」なコトを真剣にするその哀しさがとてつもない笑いのエネルギーに向かってく。
まさにシャンソン…、ボクは好き。

最近、ＣＤが売れなくなって困るといろんな人が言う。
けれどそもそも歌と言うモノ。
実際、歌っている人を目にしてその息遣い、表情、そして空気感。
それらと触れてはじめて完成するもので、にもかかわらず「歌をレコードしたモノでお茶を濁す」ようなコト。
しかもそれを何万枚も複製して、お金を払って買わせるようなそんな商売はもう終わったと言うコトなのだろうと思うのですね。
けれどこの「梅垣義明」という人は、お金を払ってその場に行ってライブを聞く価値がある数少ない「歌手」の一人だと思う。
今年で彼も５１歳。
もう２０年以上も同じように舞台にたって、一年一年、旨くなってく。
歌も喋りも、彼独特の客席弄りも毎回、シッカリ上手になってく、それがスゴイなと今年は特につくづく思った。

緞帳がおりた舞台の上で、ワタシは独りぼっちで開演を待つ。
思い緞帳をあげる力はお客様の熱い拍手。
その拍手を聞きながら、ワタシは一人じゃないということに勇気をもらい、幕が上がって舞台がはじまる。
そんなコトをいいながら、お客様から拍手をもぎ取る。
なんだか胸が熱くなりつつ、しかもそれが涙になってやがて笑いに変わってく。
見事な舞台でありました。

しかも今回、上手だなぁ…、と思ったのがクライマックス直前の歌。
「パパラッチに追いかけられるスキャンダルまみれの歌手」を演じて歌ったときに、「みなさん、カメラでワタシの姿をおいかけて、ドンドン撮って下さいね」。
お客様はパパラッチ。
撮った画像はブログに載せたり、写メで友達におくってネ…、って、今の時代のプロモーションをちゃっかしねだる。
上手いなぁ…、って思いました、大拍手。

とは言えネタのほとんどはお下劣なモノ。
しかもとっても情けなくって、例えばこんなコトを１０００人近い人の前でするのがこのおじさんの仕事なのです。

この真剣。
この恥じらいと、けれどそれに負けぬサービス精神がボクは大好き。
今日がはじめで、これから日本を縦断しながら笑いをふりまく…、今日はなんだかステキな日。

[0回]

2010/10/03 (Sun) 映画・音楽・アート Trackback() Comment(12)

■ この記事にコメントする

お名前
タイトル
文字色
URL
コメント
パスワード

■ コメント一覧

動画

コンバンハ。
シャンソン上手と聞いて
聞いてみなくっちゃ！と
動画再生してみましたら・・・
あらら。
利用規約に違反しているため、
この動画は削除されました。。。
という無情なテロップ。
益々聞きたくなりました。
それにしても、
緞帳を上げるくだりのお話は
なんとも胸に迫るお話ですね。
かのエディット・ピアフなんかもそう思っていたのかしらん。。。

電マニさん / 2010/10/03(Sun) /

編集

すいませんでした

> 電マニさん
動画。
別のモノに貼り直しておきました。
ラビアンローズでお客様を弄り倒すという内容。
オリジナルのモノが体をはった体当たりモノで好きだったのですけれど…。
緞帳のくだりにはボクもウルッと来てしまいました。
お客様と舞台が一つになることの素晴らしさを噛みしめるような言葉ですよね。

サカキシンイチロウさん / 2010/10/03(Sun) /

編集

動画は見てないですが

梅ちゃんとバラといえば、
大妻の学園祭に行くという
梅ちゃん＆吹越さまをおっかけた　18年近く前。

吹越さまが先にやって（当時大人気）、その後の梅ちゃんまでの間にぎっしりの客がいなくなり、気がつけば
私、友達2人含め、合計4人。

「終電までやるわよ！」

と　肛門に挿した
大腸菌・サルモネラ菌いっぱいの
バラをいただきました。

4人のための本格シャンソン・爆笑ステージ、
友達と「大妻の子はお嬢様だね。梅ちゃんのほうがぜったい面白いのに！」と　言い合って帰ったのがいい思い出です。

しろはなげさん / 2010/10/03(Sun) /

編集

梅ちゃん

> しろはなげさん
吹越さんとはまたなつかしい。
吹越さんはワハハを卒業して今ではすっかり役者さんになっちゃいました。
当時はまるで無名で、おそらくお笑いというものに対しても今のように寛容じゃなかったのでしょうね。
苦労したと聞いています。
昨日の舞台なんて、うらわかき女性から熟女マダムまで、ほぼ７割が女性のお客様。
時代は変わったのでしょうね。

サカキシンイチロウさん / 2010/10/03(Sun) /

編集

ありがとうございます

動画拝見しました。
カッコイイですね～～。お客様が照れつつ嬉しそうなのが印象的です。
今日の当日券求めて行ってみようかしらと思いましたが、
体調不良につき断念
また次の機会に行きたいです。

電マニさん / 2010/10/03(Sun) /

編集

共同作業

> 電マニさん
梅ちゃんのステージは、お客様との共同作業でそのほとんどがすすんでいきます。
日本ではとてもめずらしいコトで、それがまた面白かったりするのですよね。
お体ご自愛下さいね。

サカキシンイチロウさん / 2010/10/03(Sun) /

編集

無題

梅垣さんの歌、初めて聴きましたが素敵ですね。
この動画を見て、梅垣さんの舞台を観てみたくなりました！
キスは男性しかしてもらえないのでしょうか？www

lovekuma69さん / 2010/10/03(Sun) /

編集

キス

> lovekuma69さん
女性とキスすると本気になっちゃうから…、って梅ちゃんは言ってました（笑）。
実際はもっとたのしいです。
もっとお下劣だし。
ノリのいい仲間とぎゃーぎゃー観るのが一番です。
次はご一緒しますか。

サカキシンイチロウさん / 2010/10/03(Sun) /

編集

無題

私も梅垣さんにキスされたら、本気になってしまうかも…。www
次回は是非、ご一緒させて下さい(^○^)

lovekuma69さん / 2010/10/03(Sun) /

編集

是非

> lovekuma69さん
ぜひぜひ。

サカキシンイチロウさん / 2010/10/03(Sun) /

編集

わあ、見逃してた

この公演、私も出かけておりました。
かなり前の方の左端で、特に端っこに座っていた友人はえらいものを見たと言っておりました。
学生だった20年前からちょいちょい出かけている梅ちゃんの公演ですが、お尻のハリは衰えたものの、妖艶さは増すばかり。プロの芸人の意地をたっぷり見せてもらい、笑って笑って汗かいて、幸せになって帰ってきました。
芸で人を笑わせる仕事、おいしいもので人のおなかを喜ばせる仕事、どちらも尊いですね。
早夕飯に、サカキさんおすすめのグッドモーニングカフェでマッシュルームバーガーとオニオンリングも食べてきました。食べものもサービスも素敵でしたが、トイレがきれいでなんだか感動しました。なるほど、いいお店ですなあ。

しずみんさん / 2010/10/18(Mon) / URL

編集

ステキな仕事

> しずみんさん
梅ちゃんはとても真面目な人なんですよね。
おかしいこと。
バカバカしいこと。
普通の人なら本当に馬鹿にするようなコトを、真面目に誠心誠意する。
だから笑えるんだろうと思います。
おいしいコトに一生懸命な仕事も同じですよね。

サカキシンイチロウさん / 2010/10/18(Mon) /

編集

■ この記事のトラックバック

この記事にトラックバックする：

サカキノホトンブログ

[PR]

拍手で緞帳、上げる夜